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第十六章:なぎなみ動画始動

「ゆるりクラフト生活」サービス発表(後)

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『えーっと、三人が家を建ててくれている間にこのゲームの詳細を説明します』

『まだあたし達するって言ってないんだが?』

『はーちゃん、私達がやらないとこのゲームが始まんないんだよぉー』

 葉月と睦月がそんなやり取りをしているが、VC副社長は気にせず説明を始める。

『ゲームをする為には月額料金が必要となります。「なぎなみ動画」の登録自体は無料ですが、こういうところでお金を頂かないとサービスは続けていけないのでね』

 VC副社長の後ろに≪「ゆるりクラフト生活」は現在初月無料キャンペーン実施中!≫という説明文が表示される。

『「なぎなみ動画」の有料会員登録制度についてはすでに公表済みで、皆さんもご存知だと思います。
 「なぎなみ動画」の有料会員と「ゆるクラ」の月額会員については別だと思って下さい。
 「なぎなみ動画」の有料会員でなくても「ゆるクラ」を楽しむ事は可能です』

 VC副社長の後ろに≪詳細は後日発表予定!!≫という説明文が表示される。

『このゲームは離れた友達と同じゲーム内ワールドで遊ぶ事が出来ます。
 ワールドは随時自動でセーブされており、常に友達と一緒にプレイする必要はありません。
 ただし、ワールドに登録されたプレイヤーが全員「ゆるりクラフト生活」を辞めてしまうとワールドは消滅します』

≪任意でワールドをリセットする事も可能です≫

『今は分かりやすいように何もない真っ平らな土地になっていますが、ワールドはゲームを始める際にランダムで生成されます。
 村が最初からあったり、遺跡が隠されていたり、砂漠にピラミッドがあったりと、ざっくり四十三億種類の生成パターンがあります』

 ≪よんじゅうさんおく???≫
   ≪遊びきれないがwww≫
      ≪思考が追いつけないです≫

『精神を加速させろ!!

 ではなく、えーっと。この生成パターンは生成値という数字の羅列で表され、生成値を控えておくと何度も同じワールドでやり直せます。
 例えば安藤家あんどうけの四兄弟が「ゆるクラ」を始めたとして、公開された生成値を入力してやると、全く同じワールドでゲームを始められるという事です』

 ≪それは魅力的ですね≫
    ≪全く同じワールドにショタきゅんは出現しますか?≫
       ≪一緒にプレイ出来たら最高だな≫

『「ゆるクラ」の同一ワールドの最大上限同時プレイヤー数は、二百五十六人です。ワールド登録者上限人数は、四千九十六人です。つまり、安藤家と視聴者が同一ワールドで同時プレイする事が理論上は可能です』

 ≪マwジwかwww≫
   ≪登録しました早く生成値公開してくだしあ≫
     ≪旭様はどちらにおられますか今すぐ向かいます≫
        ≪理論上可能という事はつまり……?≫

『で! す! が!
 うちの大事な息子達にあーしろこーしろ下手くそ云々かんぬん言われるのは癪に障るのでね。
 どうしたもんかと考えているところです』

 ≪すみませんでした二度と指示出ししません≫
  ≪あっあっあっあっあっ≫
    ≪失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した≫
      ≪まだだ、まだ終わらんよ……≫
        ≪お前達は何という愚かな事をしてしまったのか……≫

『視聴マナーは守りましょう。配信者は見られる前提で配信してるんだから何言っても許される、なぁんて事はありません。
 配信者も人間です。感情の浮き沈みがありますし、ゲームなんですから楽しくしたいに決まっています。
 皆さん、分かって頂けますか?』

≪はい!≫ ≪了解です!≫
  ≪理解しました≫  ≪以後気を付けます≫
     ≪なるほどなぁ、視聴マナーって大切ですね≫

『それとは別の問題で、安藤家を四人同時にプレイさせるのはまだちょっと難しいかなって思うなって』

 ≪あっwww≫ ≪そっか、副社長はお一人www≫
  ≪しょんにゃぁ……≫ ≪並行世界の謎技術で何とか!≫
     ≪安藤家なら、安藤家なら何とかしてくれるはず!!≫

『現在何とか出来るようにしようとしている最中ですので、続報をお待ち下さい』

『おうちが出来て来た』

 真智がVC副社長の膝を離れ、玲夢と睦月と葉月が建てた家へ向かって歩いて行く。
 その途中、不意にチカチカと光を発する謎の物体が近付いて来る。

『え、もしかしてこれって』

 ボンっ、という音を立て、謎の物体が爆発し、真智の体力ゲージがゼロになって死亡してしまった。

『そうそう、「ゆるクラ」には敵性キャラクターが自動的に出現するようになっています。何の障害もないゲームなんてつまらないのでね。
 ワールドの設定変更で敵の出現をなしにする事も可能ですが』

『ほな何で今出現せんよむぐっ!?』

『そろそろ未成年である真智が出演出来ない時間帯となりますので、ここらへんで一度お開きとさせて頂きます。
 それではまたねぇ~』
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