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第十五章:結婚式
結婚指輪の交換
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治ノ塔、十二階にある仏間へ呼び出されたのは、藍子、燈子、美哉、橘香、智枝、紫乃、翠、琥珀の八人。
そして、伊吹の補助役として|美子と京香が控えている。
伊吹がこの八人を集めた理由は、咲弥と心乃春の仏壇の前で結婚指輪を贈る為だ。
仏間は畳敷きの和室で、広さは十二畳ほどの広さが取られている。押し入れには布団などの寝具も用意されており、気分を変えて和室で過ごしたいと伊吹が思った際に使用出来るようになっている。
仏壇の上には咲弥と心乃春の遺影が笑い掛けており、伊吹はこの仏間にいるととても心が落ち着くような気がしている。
今日結婚式を挙げたのは伊吹と藍子と燈子だけだが、伊吹は今日を八人全員との結婚記念日とすると宣言。
本来であれば、式を終えてすぐに伊吹は藍子と燈子、美哉と橘香の四人との婚姻届を作成し、役所へ提出するつもりだったのだが、伊吹は皇族である為に皇国民が持つような戸籍がない。
戸籍がないと婚姻届も作成出来ないので、せめて儀式的な意味合いとして、伊吹は結婚指輪を送る事にした。これは帰りの公用車の中で藍子達と決めた事だ。
ちなみに、結婚の儀を上げた藍子と燈子は、すでに皇族の戸籍のような扱いになる皇族譜に、伊吹の妃として名を連ねている。
美子が一度、伊吹と藍子と燈子が外した指輪を受け取り、リングピローへ収める。
「藍子。これからもよろしく」
「うんっ」
伊吹が藍子の左手薬指に結婚指輪を通し、肩に手を置いて口付けを交わす。結婚指輪の内側には、伊吹から誰に送ったものかが分かるよう、刻印がされている。
美子が差し出した燈子の結婚指輪を伊吹が受け取り、燈子の左手薬指へ通す。
「燈子。俺も他の妻達の事も、支えてくれ」
「任せて」
伊吹が燈子の肩に手を置いて、口付けを交わす。仏間なのであまり雰囲気は出ないが、母親と祖母への報告としての側面が大きいので仕方ない。
美子が震える手で美哉の結婚指輪を伊吹へ差し出し、伊吹は両手で美子の手を包み込み、美子へと頷いてみせる。
「美哉。無理はしないように」
「……うん」
侍女としてではなく、幼馴染として答える美哉。伊吹は美哉の左手薬指に結婚指輪を通し、肩に手を置いて口付けを交わす。美哉は軽いキスではなく、伊吹の顔を両手で包み込み、舌と舌を絡ませた濃厚なキスをした。
そして美哉は一歩下がり、橘香の背中を押し出す。
美子から京香がリングピローを受け取り、京香も震える手で橘香の結婚指輪を伊吹へと渡す。同じく伊吹は両手で京香の手を包み込み、京香へ頷いてみせた。
「橘香も。自分の身体が一番大事なんだからな?」
「……分かってる」
橘香も侍女ではなく幼馴染として答える。伊吹が橘香の左手薬指へ結婚指輪を通したと同時に、橘香が伊吹へ抱き着く。そして自分から伊吹へ口付けをした。
「私達がいっちゃんを幸せにしてあげる」
「……これからもよろしくね」
美哉と橘香は子供を無事出産した後も、基本には伊吹の侍女として、伊吹の近くに控えていたいと希望を口にしている。
伊吹は二人のお腹を撫で、そっと離れる。
「智枝。皇宮との連絡や諸々の調整を頼む」
「はい」
執事としての立場から、一歩引いたところにいるべきである為、内縁であっても妻として頂く必要はないと訴えた智枝であるが、伊吹のお姉ちゃん攻撃により瞬時に陥落した。
伊吹が妻以外の女性を抱く際は、智枝が必ず同席する事と決まっている。美哉と橘香は妊娠中で、藍子は社長業へ支障が出る恐れがある為。そして燈子は大学へ通っているからだ。
智枝は身体こそ小さいが、八人の中では一番伊吹の相手を出来る時間が長い。
伊吹は指輪を贈り、智枝を抱き締めてキスをする。耳元でお姉ちゃん大好きだよと囁いて、智枝の腰を砕く。
「紫乃。これからも会社全体を支えてほしい」
「お任せ下さい」
伊吹は紫乃をVividColors系列全体の事業統括秘書に任命した。ゆくゆくは秘書ではなく、役員を任せたいとも考えている。
「翠。食堂のメニュー、楽しみにしている」
「はい、これからも色々な料理を教えて下さいませ」
伊吹は翠を主に飲食事業担当秘書に任命した。伊吹やマチルダの前世知識を元にした飲食事業を宮坂家へ伝える役割というのが大きい。
また、鉄板テーブルや回転寿司の設置など、新社屋の食堂施設の充実も期待されている。
「琥珀。家庭内の娯楽環境を整えていこう」
「楽しみですわ」
琥珀はレジャーやレクリエーション関係の事業担当秘書に任命。会社事業として展開していくのはもちろんだが、本社ビル内の娯楽施設なども充実させて行きたいと考えている。
三人それぞれに指輪を贈り、抱き締めてキスを交わす。この三人は他の四人に比べ、内縁の妻というよりも秘書としての役割の方が大きいが、本人達は福乃の働きを目にしているので全く気にしていない。
最後に、伊吹の指輪を藍子から順番にそれぞれの手に渡り、皆が指輪を握り締め、伊吹のこれからの健康や子孫繁栄や事業成就などの願いを込めて、再び藍子の手へと戻される。
代表として藍子が伊吹の左手薬指へ結婚指輪を嵌めて、九人で微笑み合う。
「これからも、今まで以上に楽しくやっていこう。よろしくね」
そして、伊吹の補助役として|美子と京香が控えている。
伊吹がこの八人を集めた理由は、咲弥と心乃春の仏壇の前で結婚指輪を贈る為だ。
仏間は畳敷きの和室で、広さは十二畳ほどの広さが取られている。押し入れには布団などの寝具も用意されており、気分を変えて和室で過ごしたいと伊吹が思った際に使用出来るようになっている。
仏壇の上には咲弥と心乃春の遺影が笑い掛けており、伊吹はこの仏間にいるととても心が落ち着くような気がしている。
今日結婚式を挙げたのは伊吹と藍子と燈子だけだが、伊吹は今日を八人全員との結婚記念日とすると宣言。
本来であれば、式を終えてすぐに伊吹は藍子と燈子、美哉と橘香の四人との婚姻届を作成し、役所へ提出するつもりだったのだが、伊吹は皇族である為に皇国民が持つような戸籍がない。
戸籍がないと婚姻届も作成出来ないので、せめて儀式的な意味合いとして、伊吹は結婚指輪を送る事にした。これは帰りの公用車の中で藍子達と決めた事だ。
ちなみに、結婚の儀を上げた藍子と燈子は、すでに皇族の戸籍のような扱いになる皇族譜に、伊吹の妃として名を連ねている。
美子が一度、伊吹と藍子と燈子が外した指輪を受け取り、リングピローへ収める。
「藍子。これからもよろしく」
「うんっ」
伊吹が藍子の左手薬指に結婚指輪を通し、肩に手を置いて口付けを交わす。結婚指輪の内側には、伊吹から誰に送ったものかが分かるよう、刻印がされている。
美子が差し出した燈子の結婚指輪を伊吹が受け取り、燈子の左手薬指へ通す。
「燈子。俺も他の妻達の事も、支えてくれ」
「任せて」
伊吹が燈子の肩に手を置いて、口付けを交わす。仏間なのであまり雰囲気は出ないが、母親と祖母への報告としての側面が大きいので仕方ない。
美子が震える手で美哉の結婚指輪を伊吹へ差し出し、伊吹は両手で美子の手を包み込み、美子へと頷いてみせる。
「美哉。無理はしないように」
「……うん」
侍女としてではなく、幼馴染として答える美哉。伊吹は美哉の左手薬指に結婚指輪を通し、肩に手を置いて口付けを交わす。美哉は軽いキスではなく、伊吹の顔を両手で包み込み、舌と舌を絡ませた濃厚なキスをした。
そして美哉は一歩下がり、橘香の背中を押し出す。
美子から京香がリングピローを受け取り、京香も震える手で橘香の結婚指輪を伊吹へと渡す。同じく伊吹は両手で京香の手を包み込み、京香へ頷いてみせた。
「橘香も。自分の身体が一番大事なんだからな?」
「……分かってる」
橘香も侍女ではなく幼馴染として答える。伊吹が橘香の左手薬指へ結婚指輪を通したと同時に、橘香が伊吹へ抱き着く。そして自分から伊吹へ口付けをした。
「私達がいっちゃんを幸せにしてあげる」
「……これからもよろしくね」
美哉と橘香は子供を無事出産した後も、基本には伊吹の侍女として、伊吹の近くに控えていたいと希望を口にしている。
伊吹は二人のお腹を撫で、そっと離れる。
「智枝。皇宮との連絡や諸々の調整を頼む」
「はい」
執事としての立場から、一歩引いたところにいるべきである為、内縁であっても妻として頂く必要はないと訴えた智枝であるが、伊吹のお姉ちゃん攻撃により瞬時に陥落した。
伊吹が妻以外の女性を抱く際は、智枝が必ず同席する事と決まっている。美哉と橘香は妊娠中で、藍子は社長業へ支障が出る恐れがある為。そして燈子は大学へ通っているからだ。
智枝は身体こそ小さいが、八人の中では一番伊吹の相手を出来る時間が長い。
伊吹は指輪を贈り、智枝を抱き締めてキスをする。耳元でお姉ちゃん大好きだよと囁いて、智枝の腰を砕く。
「紫乃。これからも会社全体を支えてほしい」
「お任せ下さい」
伊吹は紫乃をVividColors系列全体の事業統括秘書に任命した。ゆくゆくは秘書ではなく、役員を任せたいとも考えている。
「翠。食堂のメニュー、楽しみにしている」
「はい、これからも色々な料理を教えて下さいませ」
伊吹は翠を主に飲食事業担当秘書に任命した。伊吹やマチルダの前世知識を元にした飲食事業を宮坂家へ伝える役割というのが大きい。
また、鉄板テーブルや回転寿司の設置など、新社屋の食堂施設の充実も期待されている。
「琥珀。家庭内の娯楽環境を整えていこう」
「楽しみですわ」
琥珀はレジャーやレクリエーション関係の事業担当秘書に任命。会社事業として展開していくのはもちろんだが、本社ビル内の娯楽施設なども充実させて行きたいと考えている。
三人それぞれに指輪を贈り、抱き締めてキスを交わす。この三人は他の四人に比べ、内縁の妻というよりも秘書としての役割の方が大きいが、本人達は福乃の働きを目にしているので全く気にしていない。
最後に、伊吹の指輪を藍子から順番にそれぞれの手に渡り、皆が指輪を握り締め、伊吹のこれからの健康や子孫繁栄や事業成就などの願いを込めて、再び藍子の手へと戻される。
代表として藍子が伊吹の左手薬指へ結婚指輪を嵌めて、九人で微笑み合う。
「これからも、今まで以上に楽しくやっていこう。よろしくね」
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