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第十五章:結婚式

儀式

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 伊吹いぶきは巫女装束の少女達に手を取られ、着替えていた小部屋を出て、武三たけぞうが待つ火が焚かれている土間へと戻った。
 伊吹は火の前に敷かれたござの上へと座らされた。伊吹の周りを少女達が囲むように座る。

「それでは始めさせて頂きます」

 武三が祝詞を読み上げながら、乾いた木のようなものを火へくべていく。
 火の周りには鉄で出来たかめのようなものが複数置いてあり、中に石が詰められているのが見える。
 武三が祝詞を読み上げながら、時折柄杓で水を汲んで熱せられた石に掛ける。じゅっ、という音を立てて蒸気が吹き上がり、室内の温度がさらに上がる。

(何だか不思議な香りがするな)

 伊吹がすんすんと鼻から息を吸い込むと、ほんのり甘く、しかし刺激的で濃厚な木の香りを感じた。

「失礼致します」

 伊吹の周りに座る少女が伊吹の額に手拭いを当て、優しく汗を拭き取った。
 また、別の少女が濡らした手拭いを伊吹のうなじに当てて、身体を冷やしてくれる。
 水を汲んだ柄杓を伊吹の口元へ運び、飲ませてくれるなど、甲斐甲斐しく世話を続ける少女達。
 伊吹が水を飲んだ後、少女達は柄杓を回して各々で水を飲んでいく。

「失礼致します」

 少女が柄杓を掲げ、伊吹の頭の上から水を垂らす。

「失礼致します」

 別の少女がすぐさま手拭いで伊吹の頭を拭く。

「失礼致します」

 また別の少女が手拭いで伊吹の濡れた顔を拭く。

 伊吹は熱で火照った少女達の表情や、汗で濡れて透けている巫女装束のその下が気になり、少女達から感じる汗の匂いも相まって、どんどん気分が高まってくる。

(柔らかそうだなぁ……)

(お尻の形がくっきり見えるなぁ……)

(うなじが白くて綺麗だなぁ……)

(谷間に汗が溜まってるなぁ……)

(あれ? 今何してるんだったっけ……)

 サウナほどではないしにしても、室内の温度は高く長時間座っている伊吹の頭はぼーっとしており、どんどん正常な判断がつきにくくなっていく。

 首元の汗をぬぐっていた少女を抱き寄せようと手を伸ばしたが、伊吹の視界の端で武三が大汗を掻きながら祝詞を上げているのに意識が向いて、昂っていた気分が急激に萎えた。


 伊吹が火にあたり続けて一時間ほどして、武三が伊吹へ終わりを告げた。
 伊吹はまた少女達に手を引かれ、小部屋を抜けてさらに向こうにある風呂場へ連れて行かれた。
 脱衣所へ着いた伊吹は少女達の手により、ずぶ濡れになった白装束を剥がれ、同じく巫女装束を脱いだ全裸の少女達と共に風呂場へと入る。

「あ゛ーーーーー」

 水風呂へ入れられて、伊吹はまた頭がぼーっとさせる。

「こちらへどうぞ」

 水風呂から出るよう促され、伊吹は広い洗い場に敷かれた畳に寝かされる。

(これって、俺が死ぬ直前に行こうとしていたアレでは……?)

 伊吹の全身を少女達が隅々まで洗ったあと、丹念に揉みほぐされていく。
 良い香りがするマッサージオイルが全身にまぶされ、指の一本一本まで丁寧に指圧される。
 再び全身に血が巡り、伊吹の気分がまた昂ぶり始める。
 伊吹が一人の少女の手を取って、自らの腰へと跨らせて……。


 その後、浴室内で四人の少女が気絶した。
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