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第九章:事業拡大
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大会議室での打ち合わせが終わり、新たな秘書十四名が関係各所へ散らばって行った。
「これがお兄様の帝王学なのですわね、御見それしましたわ」
他家の家中のごたごたに付き合わされる事となった多恵子だが、伊吹の活躍を間近で見れて喜んでいる。
「それほど立派なものじゃないけどね。
会社の代表に対して尊敬の念を持てないような人達に、乃絵流が開発してくれているアバターの技術や、今後研究開発していく新規事業の機密情報を扱わせる訳にはいかないからさ。
今のうちに不穏分子を排除出来て良かったよ。付き合わせて悪かったね」
「とんでもございませんわ。
ワタクシもよりお兄様のお役に立てるよう、仕事に戻りたいと思います」
御機嫌よう、と微笑んで、多恵子は二階のVCスタジオへ戻って行った。
そして昼食後、伊吹達は事務所で寛ぎながら『あんどうかたる』について話し合っている。
「お館様はご自分の声を使われて、あんな事やこんな事を言わされてもご不快に思われないのですか?」
紫乃はソフトウェアのイケない使い方について質問する。
「気にならないね。まぁ犯罪に使われると困るから、『あんどうかたる』の使用に関する規約はしっかりと考えないといけないかもね」
「いえ、犯罪という訳ではなく……」
翠と琥珀も、紫乃が伊吹に対してお伺いを立てている本当の意味に気付いている為、伊吹を心配そうに見つめている。
「下ネタを言わされるんじゃないかって心配してるの?」
三人がうんうんと頷いてみせる。
伊吹は何を今さら、と生配信や囁きの切り抜き動画を例に挙げて説明する。
「自分からやってるから。むしろ下ネタ言わされてる投稿を生配信で紹介して、本家の方がエロいって言って対抗するかも」
「「ありえる」」
藍子と燈子が笑っているが。秘書の三人は本当に良いのだろうか、伊吹が嫌な思いをするのではないかと、不安そうにしている。
それを見て、伊吹は実際にやってみれば良いと思い立った。
「そうだ、『あんどうかたる』がどんなイケない使われ方をするのか実験してみよう。
皆でそれぞれ紙に『あんどうかたる』に言わせたい一言を書いてよ。一人何個書いてもいいよ。
それを切って、見えないように折って箱の中に入れてさ、それを僕がくじ引きみたく引いて、読んでみせるから。
誰が書いたか分からない状態で読むから、気後れする必要ないよ。万が一僕が嫌だと思ったら読まないしさ」
伊吹はあえて「僕に言わせたい」、ではなく「『あんどうかたる』に言わせたい」と表現する事で、皆の罪悪感的なものを和らげてやる。
(ソフトウェアが出力する音声より、お兄さんが生で喋る方がより破壊力が高いと思うんだけど……)
燈子の懸念について、伊吹は全く気付いている様子が見られない。
「え、美哉と橘香も参加するの?」
二人は伊吹の問い掛けには答えず、黙々と紙に文章を書いては切って折り、次の文章に取り掛かる。
伊吹の侍女である自分達が遠慮なく文章を書く事で、周りの抵抗感を薄めて云々。ではなく、単純に伊吹に言わせたい事がいっぱいあるだけだ。
そんな美哉と橘香を見て、他の女性達もようやく文章を書き出した。
「これがお兄様の帝王学なのですわね、御見それしましたわ」
他家の家中のごたごたに付き合わされる事となった多恵子だが、伊吹の活躍を間近で見れて喜んでいる。
「それほど立派なものじゃないけどね。
会社の代表に対して尊敬の念を持てないような人達に、乃絵流が開発してくれているアバターの技術や、今後研究開発していく新規事業の機密情報を扱わせる訳にはいかないからさ。
今のうちに不穏分子を排除出来て良かったよ。付き合わせて悪かったね」
「とんでもございませんわ。
ワタクシもよりお兄様のお役に立てるよう、仕事に戻りたいと思います」
御機嫌よう、と微笑んで、多恵子は二階のVCスタジオへ戻って行った。
そして昼食後、伊吹達は事務所で寛ぎながら『あんどうかたる』について話し合っている。
「お館様はご自分の声を使われて、あんな事やこんな事を言わされてもご不快に思われないのですか?」
紫乃はソフトウェアのイケない使い方について質問する。
「気にならないね。まぁ犯罪に使われると困るから、『あんどうかたる』の使用に関する規約はしっかりと考えないといけないかもね」
「いえ、犯罪という訳ではなく……」
翠と琥珀も、紫乃が伊吹に対してお伺いを立てている本当の意味に気付いている為、伊吹を心配そうに見つめている。
「下ネタを言わされるんじゃないかって心配してるの?」
三人がうんうんと頷いてみせる。
伊吹は何を今さら、と生配信や囁きの切り抜き動画を例に挙げて説明する。
「自分からやってるから。むしろ下ネタ言わされてる投稿を生配信で紹介して、本家の方がエロいって言って対抗するかも」
「「ありえる」」
藍子と燈子が笑っているが。秘書の三人は本当に良いのだろうか、伊吹が嫌な思いをするのではないかと、不安そうにしている。
それを見て、伊吹は実際にやってみれば良いと思い立った。
「そうだ、『あんどうかたる』がどんなイケない使われ方をするのか実験してみよう。
皆でそれぞれ紙に『あんどうかたる』に言わせたい一言を書いてよ。一人何個書いてもいいよ。
それを切って、見えないように折って箱の中に入れてさ、それを僕がくじ引きみたく引いて、読んでみせるから。
誰が書いたか分からない状態で読むから、気後れする必要ないよ。万が一僕が嫌だと思ったら読まないしさ」
伊吹はあえて「僕に言わせたい」、ではなく「『あんどうかたる』に言わせたい」と表現する事で、皆の罪悪感的なものを和らげてやる。
(ソフトウェアが出力する音声より、お兄さんが生で喋る方がより破壊力が高いと思うんだけど……)
燈子の懸念について、伊吹は全く気付いている様子が見られない。
「え、美哉と橘香も参加するの?」
二人は伊吹の問い掛けには答えず、黙々と紙に文章を書いては切って折り、次の文章に取り掛かる。
伊吹の侍女である自分達が遠慮なく文章を書く事で、周りの抵抗感を薄めて云々。ではなく、単純に伊吹に言わせたい事がいっぱいあるだけだ。
そんな美哉と橘香を見て、他の女性達もようやく文章を書き出した。
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