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第九章:事業拡大
新規事業設立にあたって
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VividColorsからイサオアールへ新人Vtuner対決を受けるという返事がなされた。
イサオアール側の代表者は以前、弁護士事務所で対面した人物であり、藍子と紫乃がイサオアールへ出向いて準備期間や詳細な条件などが話し合われた。
準備期間は二週間で、ハム子と安藤家は新人Vtunerのチャンネルに出演・共同生配信をしてはならない。
チャンネル開設から一ヶ月後のチャンネル登録者数のみを競う。
視聴回数や同時視聴接続者数や投げ銭収益などは勝敗条件に含めない。
イサオアール側Vtunerが勝利すれば、ハム子を安藤家の中の人、つまり伊吹に会わせなければならない。
VividColors側Vtunerが勝利すれば、ハム子はYourTunesを引退しなければならない。
以上の内容で契約書が交わされ、準備期間に突入した。
「例えば、今まで僕が生配信で喋った声をぶつ切りにして繋ぎ合わせて、全く別の文章を合成出来るようにする、そんな技術を確立したいと思っている。
そして会話させるだけではなく、歌わせる事も出来るようにしたい。その為に必要な知識や技術を持っている者を集めるんだ」
現在、伊吹はビルの四階にある大会議室に人を集めて話をしている。
前世世界では一般層まで浸透していたVOCALOIDとVOICEROIDを、こちらの世界でも再現すべく動き出した。
まずはそういう事が出来そうな人に声を掛ける事から始める必要がある。宮坂家から新たな秘書が二十名参加しており、宮坂財閥系列の会社や研究者をリストアップさせる。
VividColorsと宮坂家が共同出資して専門の会社を立ち上げて、リストアップした人達に声を掛けて内部に取り込むか、もしくは共同開発者とするのが計画の第一歩となる。
「台本を読み上げて事前収録したお兄様の声を流すのではなく、全く喋った事のない文章をソフトウェアを使って喋らせるという事ですの?」
VividColors内部の技術者代表として、VCスタジオの多恵子も参加している。ソフトウェアが完成した際、最初に使用するのはVCスタジオの人間になるからだ。
多恵子はクラシカルなふわふわした水色のドレスを着て、カクテルハットと呼ばれる小さな帽子を斜めにずらして被っている。
伊吹はそろそろ戻って来れなくなるんじゃないかと思うが、本人が幸せならその方が良いかと放置する事にした。
「将来的には安藤家の四兄弟が全員同時に出演する生配信をしたいと思ってる。
それとは別に、安藤家に歌わせる事が出来るソフトウェアを販売して、第三者がYourTunesで自由に投稿・公開してもらえるようにしたい」
自由に公開出来るようにしてやれば、各個人が様々なメロディや世界観を持った楽曲が生まれ出て、この世界の音楽は急速に発展していくはずだと伊吹は考えている。
そして、そのソフトウェアを公開する前には大前提としてやっておかなければならない事がある。
伊吹は藍子へ目配せし、多恵子の頬に触れてから、美哉と橘香と智枝を伴って大会議室を出て行った。
燈子と紫乃と翠と琥珀はその場に残っている。
藍子が立ち上がり、メモを取っていた秘書二十人に対して指示を出す。
「喋らせるソフトウェアと歌わせるソフトウェアは別で開発した方が良いと判断した。仮称として喋らせる方を『あんどうかたる』、歌わせる方を『あんどうた』として、今この場にいる人員を二つに分けたいの。
貴女達は自分がどちらを担当した方がより役に立つか考えて、自主的に分かれてくれるかしら?」
今まで静かに話を聞いていた秘書達に、小さなざわめきが起こる。
イサオアール側の代表者は以前、弁護士事務所で対面した人物であり、藍子と紫乃がイサオアールへ出向いて準備期間や詳細な条件などが話し合われた。
準備期間は二週間で、ハム子と安藤家は新人Vtunerのチャンネルに出演・共同生配信をしてはならない。
チャンネル開設から一ヶ月後のチャンネル登録者数のみを競う。
視聴回数や同時視聴接続者数や投げ銭収益などは勝敗条件に含めない。
イサオアール側Vtunerが勝利すれば、ハム子を安藤家の中の人、つまり伊吹に会わせなければならない。
VividColors側Vtunerが勝利すれば、ハム子はYourTunesを引退しなければならない。
以上の内容で契約書が交わされ、準備期間に突入した。
「例えば、今まで僕が生配信で喋った声をぶつ切りにして繋ぎ合わせて、全く別の文章を合成出来るようにする、そんな技術を確立したいと思っている。
そして会話させるだけではなく、歌わせる事も出来るようにしたい。その為に必要な知識や技術を持っている者を集めるんだ」
現在、伊吹はビルの四階にある大会議室に人を集めて話をしている。
前世世界では一般層まで浸透していたVOCALOIDとVOICEROIDを、こちらの世界でも再現すべく動き出した。
まずはそういう事が出来そうな人に声を掛ける事から始める必要がある。宮坂家から新たな秘書が二十名参加しており、宮坂財閥系列の会社や研究者をリストアップさせる。
VividColorsと宮坂家が共同出資して専門の会社を立ち上げて、リストアップした人達に声を掛けて内部に取り込むか、もしくは共同開発者とするのが計画の第一歩となる。
「台本を読み上げて事前収録したお兄様の声を流すのではなく、全く喋った事のない文章をソフトウェアを使って喋らせるという事ですの?」
VividColors内部の技術者代表として、VCスタジオの多恵子も参加している。ソフトウェアが完成した際、最初に使用するのはVCスタジオの人間になるからだ。
多恵子はクラシカルなふわふわした水色のドレスを着て、カクテルハットと呼ばれる小さな帽子を斜めにずらして被っている。
伊吹はそろそろ戻って来れなくなるんじゃないかと思うが、本人が幸せならその方が良いかと放置する事にした。
「将来的には安藤家の四兄弟が全員同時に出演する生配信をしたいと思ってる。
それとは別に、安藤家に歌わせる事が出来るソフトウェアを販売して、第三者がYourTunesで自由に投稿・公開してもらえるようにしたい」
自由に公開出来るようにしてやれば、各個人が様々なメロディや世界観を持った楽曲が生まれ出て、この世界の音楽は急速に発展していくはずだと伊吹は考えている。
そして、そのソフトウェアを公開する前には大前提としてやっておかなければならない事がある。
伊吹は藍子へ目配せし、多恵子の頬に触れてから、美哉と橘香と智枝を伴って大会議室を出て行った。
燈子と紫乃と翠と琥珀はその場に残っている。
藍子が立ち上がり、メモを取っていた秘書二十人に対して指示を出す。
「喋らせるソフトウェアと歌わせるソフトウェアは別で開発した方が良いと判断した。仮称として喋らせる方を『あんどうかたる』、歌わせる方を『あんどうた』として、今この場にいる人員を二つに分けたいの。
貴女達は自分がどちらを担当した方がより役に立つか考えて、自主的に分かれてくれるかしら?」
今まで静かに話を聞いていた秘書達に、小さなざわめきが起こる。
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