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第七章:安藤さん家の四兄弟チャンネル始動
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「音楽事務所からデビューしないかって連絡が来たんだけど、どうする?
もちろんVtunerとしての活動は続けたままで大丈夫だって」
二回目の配信を終えて翌日、事務所にて伊吹が藍子からVividColors宛てに来た連絡について報告を受けた。
「今のところは考えてないって断って。正直プロの歌手としてやっていくほどの才能はないって自覚してるし」
「へぇ、お兄さんはとりあえず何でもやるのかと思ってた」
燈子がスマートフォンを弄りながら呟く。
画面にはYoungNatterにハッシュタグ安藤乃絵流を付けて投稿された英知と旭のイラストが表示されている。
昨夜よりもさらに増え、トレンドには常に #安藤乃絵流 が上位に入り続けている。
「何でもは出来ないよ。出来る事だけ」
伊吹はキメ顔でそう言った。その表情を見て、燈子が首を傾げている。
「じゃあ伊吹さんは何だったら受ける?」
藍子に聞かれ、うーんと天井を見上げて考え込む伊吹。藍子と燈子の視線はぼこりと出ている喉仏へ吸い込まれる。
「あ、それこそ作詞作曲なら無限に出来るな。
YourTunesに歌ってみた動画を投稿して、それを元に各アーティストが楽器で肉付けしてもらうって形のコラボとか?」
「コラボ? コラボレーション……、合作って事ね」
伊吹は前世世界の覚えている限りの歌を動画として公開し、その歌に楽器の伴奏をしてもらって伊吹が歌っている動画と掛け合わせれば、楽曲として完成させる事が出来る。
問題は、昨夜の生配信で自ら言ったように、楽器が出来ないからアカペラの動画になる事と、伊吹の歌唱力が特別上手な訳ではない事。
アーティストからしたら、何で楽器出来ないし歌が上手い訳でもないのに無限に歌が作れるんだと不思議に思われるだろうが、自ら並行世界人である事を公言しているので、伊吹としては問題ないと思っている。
「そうそう、伊吹さんが配信で言ってたYourTunesの引用元動画云々の話だけど、YourTunes運営がすでにそういう機能の追加拡張の開発を進めていて、近日更新予定って発表してたよ」
「へぇ、対応早いな」
伊吹の生配信での発言を受けて、YourTunes運営が開発を決めたのは明らかである。
しかし伊吹は特に気にした様子を見せないので、燈子は不思議に感じた。
「お兄さんの発想をパクられた形になるけど、良いの?」
「弁護士を立てて裁判しますか?」
智枝が会話に入って来る。智枝は司法書士の資格を持っているのである程度の法律知識があり、たびたび伊吹へ助言をしている。
「裁判はしないよ。僕の発言の前か後、いつから開発を進めてたなんて客観的に証明出来ないと思うし。
それに僕は前世の記憶にある歌を歌ってる時点で著作権侵害してるようなもんだしね。
権利保有者がこの世界にいないってだけで、僕がしてる事はパクリそのものだし、あんまり人の事をどうこう言えないと思ってるんだ」
藍子と燈子、そして智枝は何とも言い難い表情で伊吹を見つめている。
伊吹は生配信で自分が並行世界から配信していると視聴者へ話しているが、その設定を日常生活でも続けている事に戸惑いを感じているのだ。
伊吹としては、美哉と橘香に前世の話を打ち明けた事と、生配信で並行世界の話をした事で、身の周りにいる女性全員が自分の前世の記憶がある事を打ち明けたつもりでいる。
もちろんVtunerとしての活動は続けたままで大丈夫だって」
二回目の配信を終えて翌日、事務所にて伊吹が藍子からVividColors宛てに来た連絡について報告を受けた。
「今のところは考えてないって断って。正直プロの歌手としてやっていくほどの才能はないって自覚してるし」
「へぇ、お兄さんはとりあえず何でもやるのかと思ってた」
燈子がスマートフォンを弄りながら呟く。
画面にはYoungNatterにハッシュタグ安藤乃絵流を付けて投稿された英知と旭のイラストが表示されている。
昨夜よりもさらに増え、トレンドには常に #安藤乃絵流 が上位に入り続けている。
「何でもは出来ないよ。出来る事だけ」
伊吹はキメ顔でそう言った。その表情を見て、燈子が首を傾げている。
「じゃあ伊吹さんは何だったら受ける?」
藍子に聞かれ、うーんと天井を見上げて考え込む伊吹。藍子と燈子の視線はぼこりと出ている喉仏へ吸い込まれる。
「あ、それこそ作詞作曲なら無限に出来るな。
YourTunesに歌ってみた動画を投稿して、それを元に各アーティストが楽器で肉付けしてもらうって形のコラボとか?」
「コラボ? コラボレーション……、合作って事ね」
伊吹は前世世界の覚えている限りの歌を動画として公開し、その歌に楽器の伴奏をしてもらって伊吹が歌っている動画と掛け合わせれば、楽曲として完成させる事が出来る。
問題は、昨夜の生配信で自ら言ったように、楽器が出来ないからアカペラの動画になる事と、伊吹の歌唱力が特別上手な訳ではない事。
アーティストからしたら、何で楽器出来ないし歌が上手い訳でもないのに無限に歌が作れるんだと不思議に思われるだろうが、自ら並行世界人である事を公言しているので、伊吹としては問題ないと思っている。
「そうそう、伊吹さんが配信で言ってたYourTunesの引用元動画云々の話だけど、YourTunes運営がすでにそういう機能の追加拡張の開発を進めていて、近日更新予定って発表してたよ」
「へぇ、対応早いな」
伊吹の生配信での発言を受けて、YourTunes運営が開発を決めたのは明らかである。
しかし伊吹は特に気にした様子を見せないので、燈子は不思議に感じた。
「お兄さんの発想をパクられた形になるけど、良いの?」
「弁護士を立てて裁判しますか?」
智枝が会話に入って来る。智枝は司法書士の資格を持っているのである程度の法律知識があり、たびたび伊吹へ助言をしている。
「裁判はしないよ。僕の発言の前か後、いつから開発を進めてたなんて客観的に証明出来ないと思うし。
それに僕は前世の記憶にある歌を歌ってる時点で著作権侵害してるようなもんだしね。
権利保有者がこの世界にいないってだけで、僕がしてる事はパクリそのものだし、あんまり人の事をどうこう言えないと思ってるんだ」
藍子と燈子、そして智枝は何とも言い難い表情で伊吹を見つめている。
伊吹は生配信で自分が並行世界から配信していると視聴者へ話しているが、その設定を日常生活でも続けている事に戸惑いを感じているのだ。
伊吹としては、美哉と橘香に前世の話を打ち明けた事と、生配信で並行世界の話をした事で、身の周りにいる女性全員が自分の前世の記憶がある事を打ち明けたつもりでいる。
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