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第七章:安藤さん家の四兄弟チャンネル始動

昂った伊吹

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 初の生配信を終えた夜。
 いつも通り、伊吹いぶきは寝室として借りている配信部屋に敷かれた布団に、美哉みや橘香きっかの三人で横になっていた。
 すでに部屋は暗く、後は眠るだけの状態がだ。

 伊吹は気持ちが昂ぶって、全く眠くならなかった。
 何十万人もの女性に対して話し掛け、コメントに対して返事をし、バイノーラルマイクを通じて視聴者に対して刺激を与える。

 自分が男であるというだけチヤホヤしてくれ、全て受け入れてくれて、投げ銭までもしてくれる。
 自分の中では決して満足出来るような内容ではなかった。
 元一期生に自分のレベルの低さを自覚させる、などと驕った事を考えていた。
 初配信を終えた今、自覚させられたのは自分だった。

 それでも、数多くの女性を楽しませる事が出来たというのもまた事実。

 眠れない。
 上手く行ったと言う実感と、もっと上手く出来るはずだったという後悔と反省と、自分の実力不足を感じての落胆と。

 感情がぐちゃぐちゃになり、思考を止める事が出来ない。目を閉じると瞼の向こうがチカチカと点滅しているように感じる。

(落ち着け、落ち着くんだ……) 

 そして深呼吸をすると、美哉と橘香のふわりとする体臭を感じ……。

 そっと、伊吹は美哉と橘香のそれぞれの手に触れる。指をなぞり、絡ませ、包み込む。
 特に反応は返って来ない。

 伊吹は、もう良いと思った。もう我慢などする必要などないと。
 二人とは想い合っている。身体だけでなく、心も含めて求め合っている。
 だから良いじゃないか。

 伊吹は二人の手を離し、そっと太ももを撫でる。浴衣の裾から直に手を入れて、柔らかい内ももへと指先を沿わせ、そして……。

 ビクリと美哉が身体を震わせた。起きている。
 美哉は起きている上で、自分の手を拒んでいないのだ。

(受け入れてくれる)

 そう判断した伊吹は、気付けば美哉に抱き着いていた。背中に手を回し、身体全体で美哉の柔らかさを確かめる。
 首だけを動かし、美哉と唇を重ねる。ねっとりとした温かい感触。乱暴に掻き回し、味わう。

 すると、伊吹の後ろから橘香が抱き着いて来た。伊吹のうなじに唇を這わせ、ついばむように吸い付く。
 こそばゆいような、気持ち良いような感触が広がる。
 伊吹は美哉の背中からお尻へと手を撫で下ろし、乱暴に揉みしだく。

「もう我慢出来ない! 二人が欲しい!!」

「まだダメ」
「我慢しているのは私達も一緒」

「でも!」

 美哉と橘香が、伊吹を身体全体で包み込むように抱き締める。

「結ばれたいという気持ちはいっちゃんと一緒」
「でも順番が大事」
「結婚相手を先に探さないと」
「伊吹が望む、仲睦まじい家庭は作れない」

「それは分かる、でももう我慢出来ないよ!」

 幼い子供のように、伊吹が首を振って主張する。
 そんな伊吹の耳元で、二人は優しく囁く。

「いっちゃんと私達では本来の立場が違う」
「いっちゃんが優しいのと、咲弥さくや様の願いがあったから今の私達の関係がある」
「私達の欲望のせいで今あるこの関係を壊したくない」
「今この瞬間の欲望のせいで全てを不意にしたくない」

「いつまで、いつまで待てばいいんだよ……」

「私達の身体なら好きに触って、好きにして良い」
「してほしい事なら何だってしてあげる」
「でも最後までは絶対にダメ」
「どうしても挿れたいと言うなら……、お母さん達を呼ぶ」

「違う! 誰でも良い訳じゃない、僕は二人と結ばれたいんだ!!」

「分かってる」
「分かってるよ」

 伊吹を仰向けにして、美哉と橘香が伊吹の唇へキスを落とす。

「……分かった。
 順番を守る事で、三人の幸せな未来が守れるって言うのなら、今は我慢するよ」

 不本意だが、本当に不本意だが、我慢すると伊吹は誓った。
 天井を見上げ、どうしようもない気持ちの昂ぶりを逃がす為、大きく息を吸ってゆっくりと吐いた。

「我慢はしてもらうけど、こっちは我慢する必要はない」
「眠たくなるまで搾り取ってあげるからね?」

 四つの手のひらが、伊吹の伊吹を包み込み、撫で上げる。

「えっ!?」

 伊吹は美哉と橘香に揉みくちゃにされながら、迸る性欲を精液採取器へと吐き出すのだった。
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