69 / 243
第六章:続、Vtunerデビューの準備
社長、宮坂藍子
しおりを挟む
「編集作業が終わったらチャンネル開設して投稿してしまおうか。
動画内では生配信は一ヶ月って言ってるけど、投稿後に登録者十万人達成した時点で一週間後に前倒しするっていう告知動画を追加投稿しよう。
アバターはとりあえず三日で完成させてもらったものを確保しつつ、残りの四日で見た目と性能を少しずつ改善してもらうようお願いするって感じで……」
(あ、全部俺が決めてるけど、これって俺が男だからって皆が反対出来ない状況なんじゃないだろうか)
伊吹は今後の方針を口にした後、全て自分の一存で決めるべきではないと思い直す。
「あーちゃん、男性Vtuner所属会社の社長として、それで良いかな?」
「ええっ!? ははは、はいっ!!」
藍子は伊吹に気安く話し掛ける事にだけ意識が行っており、突然話を振られて慌ててしまう。
「ごめんね、勝手に話進めちゃって。
おかしいと思うところがあったら遠慮なく言ってね。さっきの智枝みたいに」
また伊吹に褒められたと感じた智枝の口角が上がる。
それを見て、藍子は少しだけ気が楽になった。
「分かったよ。でも、動画投稿についてはさっきの段取りで良いと思う」
「了解、じゃあそれで進めよう」
藍子が社長として、伊吹が話した今後の方針に同意した。
それと同時に、宮坂警備保障の警備員が事務所へと入って来た。
「あの、藍子お嬢様に会わせろと騒いでいる方がおられるのですが……」
「騒いでる? 名前は言ってましたか?」
「はい、伊地藤玲夢だと名乗っているそうなのですが」
どうやら電話に出ない藍子に業を煮やして、直接ビルへ乗り込むつもりだったようだ。残念ならが、伊吹の警備の関係で現在はこのビルに近付く事さえ出来ない。
伊吹が口を開きかけるが、直前で思い留まる。
(あーちゃん自ら指示を出してもらわないとな)
そう思い、伊吹が燈子へ目線を送ると、同じような表情で燈子も伊吹を見ていた。
「あぁ……、追い返して頂戴!」
藍子の力強い言葉を受け、伊吹と燈子は藍子へ抱き着いた。
「ひゃっ!?」
伊吹に抱き着かれた藍子は、先ほどの威勢などなかったかのように顔を真っ赤に染め、膝から崩れ落ちた。
その夕方に燈子が編集作業を終えて、男性に聞く100の質問が完成した。
「とりあえずこんな感じでどう?」
事務所のテレビ画面で編集済みの動画を見終わり、伊吹は自分以外の反応を見るべく事務所内を見回す。皆が小さく頷いてみせたので、問題はないだろうと判断する。
「よし、ちょっと時間が中途半端だけど投稿してしまおうか」
その場で藍子がチャンネルを開設。動画の流れ上、また名前が決まっていない事になっているのでチャンネル名は『名前はまだないチャンネル』とした。
「いや、『恐らく世界発の男性YourTunerのチャンネル』にしない?」
「恐らくって必要?」
曖昧な方がより本物っぽくて良い、という伊吹の意見が通り、仮のチャンネル名が決まった。
動画は『男性に聞く100の質問』の一本のみを投稿する。
「投稿完了しました」
「……さて。今日中に登録者百万人行くだろうから、先に告知動画を作ってくれる?」
「百万人? さっきは十万人って言ってたのに。
投稿が終わったんだからケーキでも囲んで打ち上げしない?」
燈子が呆れたような表情で伊吹を見るが、パソコンで開設したチャンネルを確認してみるよう伊吹が促すと、すでに視聴回数が千回を超えていた。
「何これ、ヤバすぎない?」
投稿開始から僅か三分。まだ動画再生時間にも達していない。
「こういうのは事前準備がものを言うと思うんだ。
さ、前倒し告知動画を作るのと、YoungNatterも開設しないといけないし、それから……」
あれやこれやと皆で作業していると、一時間もせずに登録者は当初目標の十万人を達成。
さらに登録者数を伸ばす事となる。
動画内では生配信は一ヶ月って言ってるけど、投稿後に登録者十万人達成した時点で一週間後に前倒しするっていう告知動画を追加投稿しよう。
アバターはとりあえず三日で完成させてもらったものを確保しつつ、残りの四日で見た目と性能を少しずつ改善してもらうようお願いするって感じで……」
(あ、全部俺が決めてるけど、これって俺が男だからって皆が反対出来ない状況なんじゃないだろうか)
伊吹は今後の方針を口にした後、全て自分の一存で決めるべきではないと思い直す。
「あーちゃん、男性Vtuner所属会社の社長として、それで良いかな?」
「ええっ!? ははは、はいっ!!」
藍子は伊吹に気安く話し掛ける事にだけ意識が行っており、突然話を振られて慌ててしまう。
「ごめんね、勝手に話進めちゃって。
おかしいと思うところがあったら遠慮なく言ってね。さっきの智枝みたいに」
また伊吹に褒められたと感じた智枝の口角が上がる。
それを見て、藍子は少しだけ気が楽になった。
「分かったよ。でも、動画投稿についてはさっきの段取りで良いと思う」
「了解、じゃあそれで進めよう」
藍子が社長として、伊吹が話した今後の方針に同意した。
それと同時に、宮坂警備保障の警備員が事務所へと入って来た。
「あの、藍子お嬢様に会わせろと騒いでいる方がおられるのですが……」
「騒いでる? 名前は言ってましたか?」
「はい、伊地藤玲夢だと名乗っているそうなのですが」
どうやら電話に出ない藍子に業を煮やして、直接ビルへ乗り込むつもりだったようだ。残念ならが、伊吹の警備の関係で現在はこのビルに近付く事さえ出来ない。
伊吹が口を開きかけるが、直前で思い留まる。
(あーちゃん自ら指示を出してもらわないとな)
そう思い、伊吹が燈子へ目線を送ると、同じような表情で燈子も伊吹を見ていた。
「あぁ……、追い返して頂戴!」
藍子の力強い言葉を受け、伊吹と燈子は藍子へ抱き着いた。
「ひゃっ!?」
伊吹に抱き着かれた藍子は、先ほどの威勢などなかったかのように顔を真っ赤に染め、膝から崩れ落ちた。
その夕方に燈子が編集作業を終えて、男性に聞く100の質問が完成した。
「とりあえずこんな感じでどう?」
事務所のテレビ画面で編集済みの動画を見終わり、伊吹は自分以外の反応を見るべく事務所内を見回す。皆が小さく頷いてみせたので、問題はないだろうと判断する。
「よし、ちょっと時間が中途半端だけど投稿してしまおうか」
その場で藍子がチャンネルを開設。動画の流れ上、また名前が決まっていない事になっているのでチャンネル名は『名前はまだないチャンネル』とした。
「いや、『恐らく世界発の男性YourTunerのチャンネル』にしない?」
「恐らくって必要?」
曖昧な方がより本物っぽくて良い、という伊吹の意見が通り、仮のチャンネル名が決まった。
動画は『男性に聞く100の質問』の一本のみを投稿する。
「投稿完了しました」
「……さて。今日中に登録者百万人行くだろうから、先に告知動画を作ってくれる?」
「百万人? さっきは十万人って言ってたのに。
投稿が終わったんだからケーキでも囲んで打ち上げしない?」
燈子が呆れたような表情で伊吹を見るが、パソコンで開設したチャンネルを確認してみるよう伊吹が促すと、すでに視聴回数が千回を超えていた。
「何これ、ヤバすぎない?」
投稿開始から僅か三分。まだ動画再生時間にも達していない。
「こういうのは事前準備がものを言うと思うんだ。
さ、前倒し告知動画を作るのと、YoungNatterも開設しないといけないし、それから……」
あれやこれやと皆で作業していると、一時間もせずに登録者は当初目標の十万人を達成。
さらに登録者数を伸ばす事となる。
85
お気に入りに追加
512
あなたにおすすめの小説
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
異世界に転生したと思ったら、男女比がバグった地球っぽい!?
ぱふ
恋愛
ある仕事終わりの帰り道、主人公前田世一は連勤の疲れが祟って車に轢かれてしまった。朦朧とする意識の中、家族や今世での未練に悔見ながら気を失ってしまった。そして、目が覚めると知らない天井でいつもと違う場所でにいて、さらに調べると男女比がバグっていた!?これで前世の未練や夢を叶えることができる!そう思って様々なことに挑戦していこうと思った矢先、ある少女と出会った。ぱっとみは可憐な少女だったが中身はドMでやばいやつだった!?そんな、やばめな少女から逃げようと別の子に話しかけたら次はドSなやばい少女がいて、愛が重い少女に監禁されかけて、ドロドロに甘やかしてくれるお姉さんに溶かされて、この世界の洗礼を受けていく。「助けて〜!この世界やばい人しかいないんだけど!」そんな悲痛な叫びが鳴り止まない過激なラブコメが始まる。*カクヨム様ハーメルン様にも掲載しています*
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
男子中学生から女子校生になった僕
葵
大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。
普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。
強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!
男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?
悠
ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。
それは——男子は女子より立場が弱い
学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。
拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。
「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」
協力者の鹿波だけは知っている。
大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。
勝利200%ラブコメ!?
既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?
貞操逆転世界ではキモデブの俺の遺伝子を美少女達が狙っている!!!!
お小遣い月3万
恋愛
貞操逆転世界ではキモデブのおっさんでもラブコメ無双である。
美少女達が俺の遺伝子を狙っていて、ハーレムどころの騒ぎじゃない。
幼馴染の美少女も、アイドル似の美少女も俺のことを狙っている。
痴女も変態女も俺のことを狙っている。
イモっこいお嬢様ですら俺のことを狙っている。
お前も俺のことを狙っているのか!
美少女達とイチャイチャしたり、痴女に拉致されたり、変態女に襲われて逃げたり、貞操逆転世界は男性にとっては大変である。
逆にモテすぎて困る。
絶対にヤレる美少女達が俺を落とすために、迫って来る。
俺は32歳の童貞だった。アダルトビデオに登場するようなブリーフ親父に似ている。しかも体重は100キロである。
働いたら負け、という名言があるように、俺は誰にも負けていなかった。
だけどある日、両親が死んで、勝ち続けるための資金源が無くなってしまった。
自殺も考えたけど死ぬのは怖い。だけど働きたくない。
俺の元へ政府の人間がやって来た。
将来、日本になにかあった時のためにコールドスリープする人間を探しているらしい。コールドスリープというのは冷凍保存のことである。
つまり絶望的な未来が来なければ、永遠に冷凍庫の隅っこで眠り続けるらしい。
俺は死んでも働きたくないので冷凍保存されることになった。
目覚めたら、そこは貞操逆転世界だった。
日本にとっては絶望的な未来だったのだ。男性は俺しかいない。
そんな日本を再生させるために、俺が解凍されたのだ。
つまり俺は日本を救う正義のヒーローだった。
じゃんじゃんセッ◯スしまくって女の子を孕ませるのが、正義のヒーローの俺の役目だった。
目覚めた俺は32歳なのに17歳という設定で高校に通い始める。謎展開である。学園ラブコメが始まってしまう。
もしかしたら学生の頃のトラウマを払拭させるために17歳という設定を押し付けられているのかもしれない。
そして俺は初恋である幼馴染の遺伝子を持った女の子と同じクラスになった。
あの時ヤリたかったあんな事やこんな事をしまくれる。絶対に幼馴染とヤレるラブコメ。
目覚めたらハーレムどころの騒ぎじゃなかった。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる