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第六章:続、Vtunerデビューの準備
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「清風明月」
「花鳥風月」
「雪月風花」
「春夏秋冬」
「山紫水明」
「鏡花水月」
「流言飛語」
「酒池肉林」
「方向がズレて来たな」
現在、事務所にてデビューする男性Vtunerの名前を考えている。
伊吹が『男性に聞く100の質問』の中で提案した、一つのチャンネルで四人の男性キャラを使い分けて活動するという前提で話し合っており、名付けの取っ掛かりとして美哉と橘香が四字熟語を挙げていた。
「きよし、かぜ、あきら、つき、ですか。ちょっとしっくりは来ないかもですね」
藍子が先ほど挙げられた四字熟語を入力し終わり、腕を組みながら考える。
弁護士と税理士との約束の時間にはまだ早い為、藍子も名付けに参加している。
燈子も昨日描いたイラストを見比べてどれが良いか考えつつ、皆の話を聞いていた。
大画面のテレビにケーブルを繋ぎ、ノートパソコンの画面を表示させている。
「そのまま使わずにもじって使うのはありかな。長男が一清でいっせい、次男が風次でふうじ、三男が……。
数で合わせるのは無理か。四がそのまま入る名前が思い浮かばない」
「四つ子ならみんな横並びって事で数字を入れなくても良いんじゃない?
春也、夏生、千秋、冬真とか」
「山の入る名前はちょっと思い付かないし、水も無理矢理合わせた感が出てダサくなるかもな」
うんうんと唸りながら候補を挙げていく伊吹と藍子と燈子。美哉と橘香は四字熟語を挙げたのみで、名付け自体には参加せずに控えている。
「別に名前を何かになぞらえて揃えて付ける必要もないんだけどねぇ」
そう燈子は言うが、VividColorsからVtunerデビューした元一期生はしっかりと統一感のある名付けが行われている。
伊地藤玲夢
仁多賀絵夢
美那須来以夢
こちらは姉妹の設定ではないので、名字が初夢で見たら縁起が良いとされる一富士二鷹三茄子を元に付けられ、名前は夢を入れる事とし、後は語感に漢字を当て込んである。
「元一期生の名付けは誰がしたんですか?」
「私がしました。一人でうんうん唸りながら。
楽しかったなぁ……」
藍子は三人の名付けをした勢いのまま、まだデビューが決まっていないどころか、デビュー候補者も決まっていないキャラの名付けを行ってしまう。
一ノ瀬睦月
二階如月
三村弥生
四方卯月
五条皐月
六平水無月
七海文月
八軒葉月
九野長月
十文字神無月
郡士霜月
石王丸極月
これだけの名付けを行った。行ってしまった為に十二人の所属YourTunerを同時にデビューさせる方針を決め、十二人分の機材やアバターを用意しなければならず、出費が膨らんでしまった。
その上、伊地藤玲夢にデビュー予定者を引き抜かれ、機材ごと奪われてしまった。
「あはははははっ」
「あーちゃん帰って来て!」
口を開けて白目を剥いている藍子の肩を燈子が揺する。
(現ゆめきかく所属Vtunerは名前に統一感があるから、逆に統一感がない方が良いかも)
名付けの方向性をガラッと変えて見せる事で、差別化を図っている事をアピールする。相手にしていない事を暗に伝える。
伊吹は伊地藤玲夢をボコボコにしてやりたい、ぶっ潰してやりたいと思ってはいるが、直接名指しして批難したり、誹謗中傷をしたりして引き摺り下ろそうという意味ではない。
自分の配信をクオリティの高い内容にし、如何に自分が低レベルな配信をしているか気付かせるような形を取るのが理想だと考えている。
統一感がないように見える。いや、統一感はあるが伊吹しか知らないもので統一すれば名付けしやすい。
「ねぇ、四字熟語以外に名付けの理由になるものないの?
お兄さんのお母様やおばあ様からあやかったり出来ない?」
燈子が伊吹へと問い掛ける。
「あぁ、そういうのでもいいのか。
僕の母は咲弥で、祖母は心乃春です。
字は……、藍子さん、ちょっと失礼して」
「えぇ、どうぞ」
伊吹は藍子からノートパソコンを借り受け、キーボードで入力してテレビ画面に二人の名を表示させる。
「おばあ様のお名前がコノハさん、その娘さんがサクヤさんか。
これって木花開耶姫に合わせて、おばあ様が娘さんのお名前を付けられたのかな?」
「……初めて気付いた」
コノハナノサクヤヒメは、日本書紀や古事記に登場する日本神話の女神である。
伊吹は自分の祖母と母親の名前にそんな共通点があったなど、今の今まで気付かなかった。
「ご自分のお名前が神様を由来としているのに、お兄さんは神様のお名前じゃないのねぇ」
燈子の何気ない一言が、伊吹に閃きを与えた。
神様の名前。
(神様達の名前を由来にさせてもらおう!)
「ちょっと思い浮かんだ名前があるんですけど、口で言うんで漢字は藍子さんが決めてもらっていいですか?」
ノートパソコンを藍子へ返し、名前を告げる。
「えいじ、
あきら、
おさむ、
しょうたろう。
この並びだとしょうたろうではなく、しょうたでも良いかも知れないな……。
名字は……、安孫子だから安心の安と藤本の藤、えーっと、藤棚の藤で、安藤かな。」
「安心の安と、藤棚の藤っと」
藍子は言われた通りに入力していく。
「お兄さん、それは何に由来する名前なの?」
「僕がいた並行世界の神様達の名前だよ」
「花鳥風月」
「雪月風花」
「春夏秋冬」
「山紫水明」
「鏡花水月」
「流言飛語」
「酒池肉林」
「方向がズレて来たな」
現在、事務所にてデビューする男性Vtunerの名前を考えている。
伊吹が『男性に聞く100の質問』の中で提案した、一つのチャンネルで四人の男性キャラを使い分けて活動するという前提で話し合っており、名付けの取っ掛かりとして美哉と橘香が四字熟語を挙げていた。
「きよし、かぜ、あきら、つき、ですか。ちょっとしっくりは来ないかもですね」
藍子が先ほど挙げられた四字熟語を入力し終わり、腕を組みながら考える。
弁護士と税理士との約束の時間にはまだ早い為、藍子も名付けに参加している。
燈子も昨日描いたイラストを見比べてどれが良いか考えつつ、皆の話を聞いていた。
大画面のテレビにケーブルを繋ぎ、ノートパソコンの画面を表示させている。
「そのまま使わずにもじって使うのはありかな。長男が一清でいっせい、次男が風次でふうじ、三男が……。
数で合わせるのは無理か。四がそのまま入る名前が思い浮かばない」
「四つ子ならみんな横並びって事で数字を入れなくても良いんじゃない?
春也、夏生、千秋、冬真とか」
「山の入る名前はちょっと思い付かないし、水も無理矢理合わせた感が出てダサくなるかもな」
うんうんと唸りながら候補を挙げていく伊吹と藍子と燈子。美哉と橘香は四字熟語を挙げたのみで、名付け自体には参加せずに控えている。
「別に名前を何かになぞらえて揃えて付ける必要もないんだけどねぇ」
そう燈子は言うが、VividColorsからVtunerデビューした元一期生はしっかりと統一感のある名付けが行われている。
伊地藤玲夢
仁多賀絵夢
美那須来以夢
こちらは姉妹の設定ではないので、名字が初夢で見たら縁起が良いとされる一富士二鷹三茄子を元に付けられ、名前は夢を入れる事とし、後は語感に漢字を当て込んである。
「元一期生の名付けは誰がしたんですか?」
「私がしました。一人でうんうん唸りながら。
楽しかったなぁ……」
藍子は三人の名付けをした勢いのまま、まだデビューが決まっていないどころか、デビュー候補者も決まっていないキャラの名付けを行ってしまう。
一ノ瀬睦月
二階如月
三村弥生
四方卯月
五条皐月
六平水無月
七海文月
八軒葉月
九野長月
十文字神無月
郡士霜月
石王丸極月
これだけの名付けを行った。行ってしまった為に十二人の所属YourTunerを同時にデビューさせる方針を決め、十二人分の機材やアバターを用意しなければならず、出費が膨らんでしまった。
その上、伊地藤玲夢にデビュー予定者を引き抜かれ、機材ごと奪われてしまった。
「あはははははっ」
「あーちゃん帰って来て!」
口を開けて白目を剥いている藍子の肩を燈子が揺する。
(現ゆめきかく所属Vtunerは名前に統一感があるから、逆に統一感がない方が良いかも)
名付けの方向性をガラッと変えて見せる事で、差別化を図っている事をアピールする。相手にしていない事を暗に伝える。
伊吹は伊地藤玲夢をボコボコにしてやりたい、ぶっ潰してやりたいと思ってはいるが、直接名指しして批難したり、誹謗中傷をしたりして引き摺り下ろそうという意味ではない。
自分の配信をクオリティの高い内容にし、如何に自分が低レベルな配信をしているか気付かせるような形を取るのが理想だと考えている。
統一感がないように見える。いや、統一感はあるが伊吹しか知らないもので統一すれば名付けしやすい。
「ねぇ、四字熟語以外に名付けの理由になるものないの?
お兄さんのお母様やおばあ様からあやかったり出来ない?」
燈子が伊吹へと問い掛ける。
「あぁ、そういうのでもいいのか。
僕の母は咲弥で、祖母は心乃春です。
字は……、藍子さん、ちょっと失礼して」
「えぇ、どうぞ」
伊吹は藍子からノートパソコンを借り受け、キーボードで入力してテレビ画面に二人の名を表示させる。
「おばあ様のお名前がコノハさん、その娘さんがサクヤさんか。
これって木花開耶姫に合わせて、おばあ様が娘さんのお名前を付けられたのかな?」
「……初めて気付いた」
コノハナノサクヤヒメは、日本書紀や古事記に登場する日本神話の女神である。
伊吹は自分の祖母と母親の名前にそんな共通点があったなど、今の今まで気付かなかった。
「ご自分のお名前が神様を由来としているのに、お兄さんは神様のお名前じゃないのねぇ」
燈子の何気ない一言が、伊吹に閃きを与えた。
神様の名前。
(神様達の名前を由来にさせてもらおう!)
「ちょっと思い浮かんだ名前があるんですけど、口で言うんで漢字は藍子さんが決めてもらっていいですか?」
ノートパソコンを藍子へ返し、名前を告げる。
「えいじ、
あきら、
おさむ、
しょうたろう。
この並びだとしょうたろうではなく、しょうたでも良いかも知れないな……。
名字は……、安孫子だから安心の安と藤本の藤、えーっと、藤棚の藤で、安藤かな。」
「安心の安と、藤棚の藤っと」
藍子は言われた通りに入力していく。
「お兄さん、それは何に由来する名前なの?」
「僕がいた並行世界の神様達の名前だよ」
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