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48:次の役員
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「課長が仰るように、役員は最低三人必要なんでしょう?
社長は今すぐには辞めないとしても、専務の次の役員は誰か決める事になるんですよね?」
「そうだね、幸坂君の件がなければどうするつもりだったのか、私は知らされていないからなぁ。
社長のお考えは当然あると思うけどね」
村井さんの質問に、上條課長が事もなげに答える。
上條課長のこの言い方には、実は裏がある。
俺が株を買い取る事になる前、社長はまだ役員候補や次の社長を誰にするか等を一切公言していなかった。
逆に言うと、社長が次の役員を誰にするか考えていれば、俺がいくら金を持っていたとしても株を買うなんて事にはならなかったはずだ。
俺の存在は次の役員にとっては邪魔になる。
また、役員にするならばある程度の株数を譲渡するはずだ。
元名誉顧問の株を機会を見て少しずつコツコツと買い取らせるなどの手順も踏めたはずだ。
上條課長が言っているのは、「私は聞かされていないが、社長はそれなりに考えているんじゃない? 知らんけど」という事だ。
ちなみに、今まで社長と専務の近くにいた俺の感触としては、自分の後釜を誰に据えるかなんて全く考えてなかったと断言出来る。
行き当たりばったりの社長と、早く引退したい専務。
会社の業績を伸ばすのは上手い経営者だが、人を育てる事を得意としないタイプの人達だ。
自分達が創業者で、誰かから会社を受け継いだ経験がないから、自分もどう受け渡すべきか分からなかったのかも知れない。
「社長だけじゃなく、今や幸坂も次の役員を選任する立場だよな。
お前はどう思ってるんだ?
社長と専務にずいぶんみっちりと仕事を教えてもらっているイメージだが」
村井さんが生ビールのお代わりを頼みつつ、俺の目をじっと見つめる。
「お前も役員だ。
役員って事は経営者だという事だ。
俺とは違う視線で会社を見ているんだろ?
次の役員に相応しいのは誰だと思う?」
社長は今すぐには辞めないとしても、専務の次の役員は誰か決める事になるんですよね?」
「そうだね、幸坂君の件がなければどうするつもりだったのか、私は知らされていないからなぁ。
社長のお考えは当然あると思うけどね」
村井さんの質問に、上條課長が事もなげに答える。
上條課長のこの言い方には、実は裏がある。
俺が株を買い取る事になる前、社長はまだ役員候補や次の社長を誰にするか等を一切公言していなかった。
逆に言うと、社長が次の役員を誰にするか考えていれば、俺がいくら金を持っていたとしても株を買うなんて事にはならなかったはずだ。
俺の存在は次の役員にとっては邪魔になる。
また、役員にするならばある程度の株数を譲渡するはずだ。
元名誉顧問の株を機会を見て少しずつコツコツと買い取らせるなどの手順も踏めたはずだ。
上條課長が言っているのは、「私は聞かされていないが、社長はそれなりに考えているんじゃない? 知らんけど」という事だ。
ちなみに、今まで社長と専務の近くにいた俺の感触としては、自分の後釜を誰に据えるかなんて全く考えてなかったと断言出来る。
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会社の業績を伸ばすのは上手い経営者だが、人を育てる事を得意としないタイプの人達だ。
自分達が創業者で、誰かから会社を受け継いだ経験がないから、自分もどう受け渡すべきか分からなかったのかも知れない。
「社長だけじゃなく、今や幸坂も次の役員を選任する立場だよな。
お前はどう思ってるんだ?
社長と専務にずいぶんみっちりと仕事を教えてもらっているイメージだが」
村井さんが生ビールのお代わりを頼みつつ、俺の目をじっと見つめる。
「お前も役員だ。
役員って事は経営者だという事だ。
俺とは違う視線で会社を見ているんだろ?
次の役員に相応しいのは誰だと思う?」
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