仮想通貨で大儲けしたので勤めている会社を買ってみた

４４：借入実績

　暇過ぎて意味のない計算をしてしまった。
　そうそう、うちの会社の借り入れについてだったな。

　社長の方針としては、無借金経営を目指すつもりは全くないらしいので、安い金利で借りられるのなら考えようかな、という姿勢だ。

　今のうちの会社の業績でそうそう返してくれと銀行から言われる事はない。
　だからといって借り過ぎても使い道がなく、意味なく利息を払わなければならなくなるので、借り入れに関しては積極的に行っていない。

　工場設備としては整っているし、本社建物もまだ使える。
　車を買い替えたとて大した出費にはならないし、借りた金を株で運用するなんて酔狂な事はしない。
　ドル建ての預金口座を作ったとして、利益が出る可能性もあるが当然損益が出る可能性もあるのだ。

　企業として、もしもの時には必ず銀行に頭を下げて金を借りなければならない。
　そのもしもの時、銀行が金を貸してくれるように実績を作っておかなければならない。

　取引実績のない銀行に頭を下げても、金なんて貸してもらえない。
　金が必要だという事は、その会社には今現在金がないという事だからだ。

　何を当たり前の事を、と思われるかもしれないが、銀行は金のない相手には金を貸さない。
　絶対に貸さない。

　土地や建物、代表者の個人資産がたんまりある場合は貸してくれるだろうが、それでもすんなりとは貸さない。
　だって本当に返してくれるかどうか分からないのだから。

　普段から特に必要がなくても、銀行からある程度の金額を借りておき、毎月コツコツと返していく。
　実績作りだ。
　うちの会社はちゃんとお金返しますよ、だからもしもの時は貸してね。
　その時もきっとコツコツ返すからね。
　と銀行に信頼してもらわないといけない。

　晴れている時に傘を貸して、雨が降ったら取り上げる。
　銀行とはそういう商売らしい。
　何ともまぁ世知辛い世の中なもんだ。


　で、社長はまだ戻って来ないのかな？
　え、得意先と晩飯を食べに出たって？

　そうですか……。