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Part26:この大陸(本当は異世界ですが)での一般的な考え方について聞かされた

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「私のプロポーズを受けて下さるという事でよろしいですわねっ!! あぁっ……」

 またもクラクラっとなって座り込んでしまうローラちゃん。しかし今回はツッコミが入りません。ラミィちゃんとイリスちゃんが両目とお口をまんまるにして勇者ちゃんを見つめているからです。頬を赤く染めてwww

「あの、えっと、その……」

 自分の失態が招いたこの状況をどう切り抜けるべきなのか考える勇者ちゃん。女は男を守るという価値観のこの世界。そして勇者ちゃんはこの世界においては特別に弱い存在です。
男女逆転世界とはいえ、この世界の女性にも母性本能はあります。いやむしろ他の世界よりも強いくらいかも知れませんね。
弱くて1人ぼっちの勇者ちゃんを、銀髪姉妹がハイさようならと手放してくれるでしょうか?

「ローラ姉様。それを言うなら私、ではなく私達、でしょう?」

 追い打ちを掛けるようにラミィちゃんが補足をします。ラミィちゃんは勇者ちゃんにはこの世界大陸の常識が通用しない相手であると認識したようですね。ここからハイパー設定説明タイムになるでしょうw

「ゼノン様、念の為にご説明させて頂きます。先ほどもご説明したように私達の国では女が男性を守る慣習があります。
 それに加えまして、女に対して男性の出生率は非常に低いのです。ですから、この国では基本的に一夫多妻が推奨されています」

「一夫、多妻……?」

 はい今ラミィちゃんから説明があったように、この世界は男女逆転世界であり、そして男女比1:100世界なのですね。皆さん一夫多妻ハーレムですよ!

「この世界では結婚適齢期の男性とお知り合いになる機会が非常に少ないのです。ので、男性と結ばれる事があるのならば、姉妹も含めて結婚するケースが一般的です。その際に未成年の女であっても、成人した後に夫婦になるのがこの国の習わしなのです」

「へ、へぇ……」

 ラミィちゃんが有無を言わせぬ勢いで勇者ちゃんに言って聞かせています。相手はこの世界の常識を知らない勇者ちゃん。多少大袈裟に、自分達に都合の良い真実のみ教えたとしても気付く事はないでしょうねw
 まぁ、今のところ事実のみ教えているのですが。

「それと、この辺りは治安が良いので口うるさく言いませんでしたが、男性がお1人で外出するなんて攫って下さいと言っているようなものなのです。ですので、ゼノン様が家の外へ出掛けられる際は私達の誰かが付き添いをします。今後1人でこっそり抜け出すような事はなさらないで下さい!」

「は、はい!!」

 あら、勇者ちゃんったらもうすでに夫としての心得えを躾けられていますねw 確かにこの世界において、男性の1人歩きが危険である事は間違いない事です。

「旦那様……、ふひひっ」

 イリスちゃん、もっと明るく喜んだ方が良いと思うよ? さすがの神ちゃんでもちょっと怖いなって思うなって。

 ローラちゃん、ラミィちゃん、イリスちゃんの3人に熱の籠った視線で見つめられる勇者ちゃん。客観的に見るととっても羨ましい状況なのですが、勇者ちゃんの主観で考えると恐怖でしょうね。蛇に睨まれたネズミ状態というか何というか。だって、相手方は圧倒的強者ですから。その気になれば指先一つでパーンですからwww
 そんな状況に耐え切れなくなったのか、勇者ちゃんが意を決して口を開きます。

「あの、この国での成人年齢って何歳なのでしょうか……?」

 おーっと、3人ともふっと目を逸らしてしまいましたねw 聞かれて都合の悪い事、勇者ちゃんにとっては有効な攻め手になったようです。

「えっと、ちなみにゼノン様の国では何歳なのですか?」

 ローラちゃんは言動が常に桃色ではありますが、非常に頭が回ります。さすが四姉妹の長女、しっかりしているコなのです。
どうすればこの国の成人年齢が16歳である事を隠しつつ、勇者ちゃんをお婿さんとして囲い込み、自分達と結婚してもらう方向へ持って行けるかを考えています。

「20歳ですね」

 勇者ちゃんさらっと嘘を付きましたwww
 なかなかやりますね、神ちゃんとっても感心しました! 素直で正直で誠実なだけでは生きて行けないと、この世界においては脆弱な存在であるからこそ身を守る手段は選んでいられないと、勇者ちゃんは気付いたようです!!
 念の為に言っておきますと、勇者ちゃんの生まれたモトゥイター王国の成人年齢は16歳。つまり勇者ちゃんはすでに成人しています。
 そしてこの国、ランヴェルスマン魔法王国における成人年齢も同じく16歳。つまり、銀髪姉妹長女のローラちゃんはまだ15歳なので未成年です。

さてさて、勇者ちゃんとこの3人の攻防の続きが気になるところではありますが、一旦パートを区切らせてもらいますね。
はい、ではチャンネル登録をして頂きまして、そして高評価をして頂きまして、次回の配信をお待ち頂きますよう、よろしくお願い致します。
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