上 下
5 / 40

Part5:勇者ちゃん、魔王城の先っちょを見上げて涙ぐむ

しおりを挟む
 はい、どうもこんにちは。神様ちゃんねるをご覧の皆様。神ちゃんでっす。

 えっとね、前回は勇者ちゃんが老婦人の家から逃げ出した、と言うよりもむしろ脱出したって感じでしたが。勇者ちゃんが行方不明になってしまいましたね。
 それからどうなったのかって事なんですが、勇者ちゃんってばどうやら老婦人が毎晩勇者ちゃんの部屋に入ろうかどうしようか迷っていたのに気付いてたみたいなんですね。で、何とかその魔の手(笑)から逃げようと荷物纏めたりして準備していて、遂にヤバイなと思ったタイミングで窓から脱出したみたいなんですよ。
 この危機回避能力すごいよね。さすが歴戦の勇者だわ。

 前回ね、あっ、前々回かな? まぁどっちでもいいけど。勇者ちゃんが何故勇者と呼ばれているのかを解説したと思いますが、それで勇者ちゃんは特別な力を持ってんの? って質問コメントを多く頂いたので、簡単にお答えさせて頂きますね。

 何のっ! 特別なっ! 力などっ! ございませんっ!!

 だって、私が彼を選んで勇者として認定した訳じゃないので。教会が勝手にゼノンって男の子を「お前が今日から勇者ぁ!!」って決めただけなので。
 だから神様からの加護だとか、精霊との契約だとか、王家の血筋だとか、一っ切ございませんっ! 身体の作りとしては一般人と何の差異もございませんっ!!
 あるのは勇者に選ばれたから自分は特別なんだという思い込みですね。その思い込みから来る努力と根性。これだけ。よくここまで来たなって正直思うね。
 すごい! 偉い!! 感動した!!!

 はい、で~ですね、今現在勇者ちゃんがどこにいるのかというと、最後の村からだいぶ離れた山奥ですね。先っちょだけですが、魔王城のテッペンが見えています。いやぁ、1人でも何とかなるもんなんだぁねぇ~。

「カーラ、バンディ、エトラ。遂にここまで来たぞ。俺の命に替えても魔王を倒してみせる。お前達の子供が安心して暮らせる世界にしてみせるからな……」

 ちょっと聞きました!? 勇者ちゃんどんだけ良い子なんだよおいっ!!
 自分を裏切って逃げて行った3人の事、もう許してるどころかこれから生まれる子供の為に命を賭けて魔王と戦うって言いましたよ! 普通こんな事言えますか!? 私なら無理だわ。逆に世界を滅ぼすね。嬉々として滅ぼすね。違いねぇわ。

 そうそう、勇者ちゃんを見失っている間にね、またレベルが上がってたのよ。元々がレベル56で、がむしゃらに修行して老婦人が作る魔物肉を食べてを繰り返して、前回の動画の時点でレベル89まで上がってたんですよね。
 で、今現在の勇者ちゃんのレベルが、ななな何と! 98です!! おしいっ、あと1で99だったのにね。その1レベルはとんでもない経験値を必要とするんだけどね。まぁそれは置いておいて。

 勇者ちゃんを見失っていたのは約2週間でした。あ、現地時間に換算してって事です。勇者ちゃんが老婦人から逃げ出した後にちょっと別の世界の様子を見ていたので、その分時間が経過している訳ですね。
 その間、勇者ちゃんはずっと野宿をして少しずつ魔王城へと近付いて行ってたみたい。何だろうね、悲壮って感じですよね。周辺にいる魔物はとんでもなく強くて、勇者ちゃんは1人だから昼も夜も熟睡する事は出来ないし、食料は魔物を倒せば良いとしても生肉を焼いて食べる程度。正直おいしくはないよね。老婦人による愛の籠った手料理だからおいしく頂けてたんだもんね。

 勇者ちゃんってばよく心が保っているよ。ポッキリ折れちゃっても誰も批難しない。はいお前が言うな禁止。確かにこの状況になるきっかけを作ったのは神ちゃんですよ? でもね、ここまで酷くなるとは思ってなかったよ(苦笑)

 まぁでもそれもあと僅かですよ。もうすぐ着くよ魔王城。このままの勢いで突入してくつもりかな?
 私としてはね、ここまで酷くなるとは思ってなかったのとね、魔王との戦いで勇者ちゃんに死なれたら困るってのもあるからね。ちょちょちょっと手を加えようかなとね、思ってる訳なんですよ。いわゆるゴッドモードですね。そのままかw

「あと少し、あと少しなんだ……」

 魔王城の先っちょを見上げて涙ぐむ勇者ちゃん。頑張れ~、あと少しで神ちゃんが全て台無しにしちゃう訳だけど最後まで諦めないでぇ~w
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件

月風レイ
ファンタジー
 普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。    そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。  そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。  そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。  そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。  食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。  不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。  大修正中!今週中に修正終え更新していきます!

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件

森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。 学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。 そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる

名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。

処理中です...