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寝落ち通話を録音しよう
しおりを挟むhappy69:録音してみたら?
最近こんな事があった、とTwitterで呟くと、フォロワーから提案があった。寝落ち通話を録音して彼女に聞かせてみたら、というものだ。
というのも、彼女の名前を二度も間違えて呼んでしまい、かなり怒らせてLINEも既読スルーを通り越して未読のままなのだ。
単純に忙しいのもあるだろうが、忙しい上に怒っているという最悪な状況のままもう二週間が経った。
Twitter上でのやり取りも彼女の就活が始まってからは皆無。そして、時間が経てば経つほど拒否されるのが怖くて電話を掛ける気になれない。
寂しがり屋の自分としては、何とか今の状況を打開したい。そして寂しがり屋だからこそミユキとの毎日の寝落ち通話も止められない。
新しい寝落ち通話相手を探す気分でもない。
凛ちゃんにミユキとはただの寝落ち通話友達だと理解してもらうには、寝落ち通話している会話を聞いてもらえれば良い、というフォロワーからの提案だ。
寝落ち通話している場に一緒にいるのが一番いいのだけれど、忙しい上に怒っている彼女が来てくれるとは思えない。
寝落ちするまでの一時間くらいの音声を聞く時間を取ってくれるかどうか分からないが、しないよりマシだろうと思った。
iPhoneはいつも通りスピーカー通話にし、その音声をiPadで録音する。準備はすぐに整った。
『まだ起きてる?』
Twitterの寝落ち通話用アカウントへミユキからのDM。すぐにLINEで電話し、通話状態へ。
『今日はねー、レイクタウンに行ったんだよー』
「そうなんだー」
気の抜けた口調とゆっくりとした喋り声。聞いていると不思議と眠気が増す。
iPadの録音アプリが二人の声を拾っているのを確認して、目を閉じて会話を続ける。
『それでねー』
「うんうん、分かるー」
気付けば朝になっていた。
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