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第十一話 ふかふかなベッド!

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黙って食事を終えると、バルハルトはクルトを連れて二階に戻った。

「お前の部屋はここだ」

階段を上って廊下の奥へと行き、彼は手で一番奥の部屋を示した。

「ありがとうございます……」

いつの間にか自分の部屋が用意されていることに驚き、扉の前に突っ立ている間に、バルハルトは自分の部屋に戻ってしまった。


躊躇いがちにそっと扉を開けると、部屋の中は想像していたよりもずっと広く、しかも調度品もかなり高価なものが多い。


「本当にこんなところ、使っちゃっていいのか
な……?」

神官の時に使っていた部屋はもっと狭く、小さなベッドと簡易的な机しか置いてなかった。

そのためこんなに広い部屋は使ったことなどなく、
どことなく落ち着かない気分になった。


戸惑いながらもとりあえず部屋に入り、室内に目を走らせると、部屋の隅には大きなベッドが置かれてることを見つけた。


「ふかふかだぁっ!!」


思わず大きな声を出してしまったことに気づき、慌てて口を塞いでバルハルトまで聞こえてないか、隣の部屋の方を確認した。

そのあとクルトは目を輝かせ、ベッドに駆け寄ると思いっきり顔を枕に埋める。


枕からは微かにラベンダーのよい香りが漂い、それが心を落ち着けてくれた。
布団自体も明らかに質が良いもので、肌触りが心地よい。


(こんなにいいベッドで寝られるなんて)

思わず口元が綻び、笑みが溢れる。

ベッド以外も気になり、片っ端から色々見てみる。


もう一つの扉を開けてみると、そこは浴室室につながっていた。


(もう疲れたし、早速使ってみようかな)

わくわくしながら服を脱ぎ、まず丁寧に体をお湯で流す。

洗髪剤と石鹸は微かにバラの香りがして、使っているだけで貴族にでもなった気分だ。

浴室から出るとバスローブが丁寧にたたんであり、
そっと触ってみると柔らかな触り心地が返ってくる。


「ここの家はなんでも揃っているなぁ……」

バスローブを着て髪の毛の水気を拭きながら、クルトは思わずため息を吐いた。


こんなに良い待遇に加え、給料も高い。

(いや待てよ、もしかしてとてもキツい仕事内容だったりして)


今更ながら不安になってくる。

(もしかして人を集めるために、良いところしか言わなかったりとか?)

バルハルトの性格上、可能性としては排除できない。

(ちょっと様子を見つつ働いてみよう)

今日これ以上悩んだところで解決などしない。

髪を乾かしとりあえずベッドに潜り込んだ。
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