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第十話 さすがにごめん

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バルハルトの答えにさすがにクルトも驚き、ぽかんと口を開けてしまった。

「強いて言うなら食事には顔を出すこと、だな」

思い出したようにそう付け加えるバルハルトにクルトは更に驚いた。

「じゃあ私がここで暴れたり、大騒ぎしていてもいいの?」

「あぁ」

大したことないようにそういう彼に対してクルトは唖然とした。

「さすがにそれは止めようよ……」

自分から言い出したがそんなことは気にしない、というような彼の態度にクルトは開いた口が塞がらない。


そんなクルトを一瞥するとバルハルトは話し出した。

「そもそも私は家に帰ってこないことのほうが多い。だから誰かここに住んでくれる者を探していた」


「でも使用人達が管理してるでしょ?」


クルトの問いに彼は頷くがさらに言葉を続けた。


「彼らは誰か人がいないと寂しいと言っていてな」


「それって早く結婚しろという意味では?」

クルトが思わず口を挟んでしまうと、バルハルトは無言で彼を睨んだ。
バルハルトが許嫁に逃げられていたことを思い出し、さすがにクルトも口を閉じた。

それ以降二人とも何も喋らず部屋にはただ食器の触れ合う音だけが響いていた。
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