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宿 ※
しおりを挟む「風呂に入ったのか?」
部屋の寝台の端に座り、布で濡れた髪を拭くキリトを見てレイルが言った。
「うん。護衛の人たち三人も一緒だったよ」
「...他の男に、あなたの肌を見せたのか」
キリトの腕を掴んでレイルが愕然として言う。
「.......本当に、自覚がないのだな」
俯いているためレイルの表情は見えなかった。
「レイル?」
「どうすればいい。ほんの些細な事でも、俺はキリトの事となると我慢が効かない」
「あの、僕...」
「...少し、頭を冷やしてくる」
レイルはそう言うと、一人部屋を出て行った。
レイルから話を聞いたコルドールは安堵のため息を一つ吐いた。暗い顔をして話を聞いてくれと言うから何事かと思った。
「...まあ、酒でも飲むか」
宿の者に言って葡萄酒を一本持って来させると、部屋の小さなテーブルの上に置いた。テーブルを挟んで向かい合わせに椅子に座ると、二人で杯を傾ける。
「コルドールと飲むのは、初めてだな」
「そうだったか?」
コルドールは首を傾げた。長い付き合いなので何度か飲んでいても良さそうなものだった。
レイルは酒が嫌いではないようで、杯に注いだ端からするすると飲んでいく。
「...俺は、キリトの事になると余裕がない」
「まあ、惚れた弱みだな」
「キリトが魅力的過ぎるのが悪い...」
「それは同意する」
「キリトを、愛しているんだ」
「...ああ、分かっている」
「キリトが攫われた時、俺は本当に気が狂うかと思った。もう、キリト無しでは生きて行けない」
「レイル...」
「こんな俺を笑うか?コルドール」
「いや、それ程までに愛する人がいて羨ましいさ」
「...部屋に戻る」
レイルがそう言った時には葡萄酒の瓶は殆ど空になっていた。
********
「レイル...」
部屋に戻ってきたレイルにキリトが声を掛けた。
「あの、僕、ごめんなさい。今度から気を付ける」
レイルはゆるく首を横に振った。
「お酒飲んだの?匂いがする」
近づいてきたキリトの髪を、レイルはそっと撫でた。艶のある黒髪がするりと手を滑り落ちる。
無言のままで居るレイルをどう思ったのか、キリトは言った。
「僕、がんばるから、僕のこと好きでいて」
「キリト...」
自分の中に渦巻くキリトへの愛とおぞましい程の執着心と独占欲を、キリトは知らないのだろうか。
キリトの頬に手を添え、薄く色づいた唇に親指を滑らせてレイルは言った。
「じゃあ、この口で俺のを舐めてと言っても?」
「...レイル...」
キリトは少し迷う素振りを見せた後、そっとレイルの上着の袖を引っ張るとレイルを寝台に座らせた。自分はレイルの前にしゃがむと、レイルの下衣の紐を引いて前をくつろげる。顔を寄せて下着の上からレイルの男の象徴に口付けると、びくんと反応があった。
「み、見ないで。目を閉じていて」
キリトはそう言ってレイルが目を閉じた事を確認すると、そっと下着から既にゆるく勃ち上がったものを取り出した。レイルに普段されていることを思い出して、そっと上下に擦ると、すぐに固く大きくなった。恐る恐るぺろ、と舌で舐めるとそれだけで感じたのか、更に固さが増す。キリトは嬉しくなって、根本から先端へと舐め上げた。
「ああ」
レイルの艶めいた低い声がする。顔にかかる自分の髪を耳に掛けて、躊躇いがちに先端を口に含んで先を舌でつつくと、先走りのぬめりが舌に触れた。口の中に全てを収めようとするが、大きすぎて叶わない。入るところまで口に含んで、根本は手で扱いた。
「...キリト、上手だ」
レイルはいつの間にか目を開けて、熱のこもった目でキリトを見ていた。
「おいで」
「...ぼく、もっとできる」
「そんなにされたら、達してしまう」
レイルはキリトを自分と向き合うように膝の上に座らせると、香油を馴染ませた指をキリトの後孔にそっと突き入れた。
「ふ、あああ」
キリトの白い肌がほの赤く染まっていく。潤んだ黒い瞳がレイルだけを見ていた。
「レイル、レイル、好き」
「ああ、俺もだ」
キリトはレイルの怒張にそっと手を添えると、ゆっくりと腰を下ろした。
「は、あ、あああああ」
「キリト、愛している」
「う、ん...あ、ああ、あああ」
キリトがゆっくりと腰を振ろうとするが、ゆるい刺激では満足できずにレイルは下から突き上げた。
「ふあ、ああああ」
キリトの嬌声はいつでも容易くレイルの脳を蕩けさせる。堪らなくなって寝台にキリトを組み敷くと、思うさま攻め立てた。
「ひああああああ」
キリトが前を弾けさせ白濁が腹の上に散る。
「...くっ」
キリトが先に極めた際の締め付けに耐えきれず、レイルもすぐに達した。
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