【完結】遠き星にて

紙志木

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エンゲージ

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「途中で止めてやれないが、いいか」

熱のこもった目でシュイが言う。

「...どうして聞くの?」

「...ハルトの意思に反して強要することが規約違反になるからだ。それに、お預けは俺も辛い」

「お預けなんて言わないよ」

ハルトはベッドに座ったシュイの膝の上に向かい合わせに乗ると、シュイの頬を両手で包んで口付けた。シュイの腕がハルトの背中に回り、体が密着してお互いの熱を伝え合う。
ハルトが舌を差し出して唾液を送るとシュイが貪るように嚥下した。濡れた音を立てて唇が離れ、唾液が糸を引く。シュイはそれも舐め取って言った。

「甘い。それに、堪らなく良い匂いだ」

「みんなそう言う。でも自分じゃ分からないよ」

「そういうものか。だが、エンゲージすると俺にしか分からなくなる」

「あの、エンゲージって?」

「俺に、させてくれるんだろう?最後まで」

「...うん」

シュイの手がハルトのパジャマの上着に掛かる。ハルトは急に恥ずかしくなってシュイの手を押さえた。

「僕、自分で脱ぐ」

パジャマの上着を脱ぎ下も脱ぎ捨てると、もう全裸だった。シュイのギラつく目線に全身を舐められたように感じてハルトは顔が赤くなった。

「シュイも、脱いで」

ハルトの裸をじっと見つめたままのシュイに焦れて、ハルトはシュイのラバースーツのファスナーの引き手に手を掛けた。下へ引くとスーツの隙間から鍛え上げた胸筋が覗く。
シュイはハルトの手を止めると床に立ち上がってラバースーツを脱ぎ落とした。

シュイの体は何度見ても男らしくて格好良い。ベッドに座ったシュイに吸い寄せられて、胸元に何度か口付けると、シュイが低く唸った。

「あまり煽るな。手加減出来なくなる」

シュイはそう言うなり、ハルトをベッドに組み敷いた。
ハルトの首に顔を埋めて軽く歯を立てると、音を立てて吸い上げる。しばらくして唇を離すと満足したような顔で吸い上げた箇所を親指ですりすりと撫でた。

「あっ、跡つけたの?」

「ああ。......ハルト、綺麗だ」

ハルトの白い首筋に自分が付けた印が赤く咲いている。恥ずかしそうに頬を上気させて、華奢な裸体を自分の前に晒している。ハルトの姿に容易く欲情を煽り立てられて、シュイはハルトの体に口付けを落とした。胸元に、腕に、脇腹に、腰に。くすぐったそうに身を捩る様が男を更に煽るのだと、ハルトは知らないのだろうか。

口付けに感じたのか緩く勃ち上がったハルトの中心を、シュイは躊躇いなく口に含んだ。
「ああっ」

舌で刺激しているとたちまち芯を持つ。荒くなってゆくハルトの息遣いをうっとりと聴きながら、手と口で執拗に攻め立てた。

「ああああっ、シュイ、でるっ」

シュイの口内にハルトの精が放たれる。ゴクリと飲み込むと甘い余韻が残った。一滴残さず飲みたいと屹立を吸い上げれば、それにも感じてハルトが声を上げた。

「あああっ」

ハルトの息が落ち着くのも待てずに後孔に手を伸ばす。ハルトの片足を持ち上げて、後孔に口付け舌を這わせると、ハルトの焦ったような声がした。

「あ、嘘、うそ、シュイっ」

「力を抜いて」

自分の指に唾液を絡めてそっと差し入れる。

「あ、あ、あ」

「上手だ」

なんとか指二本を納めた時にはハルトは顔を真っ赤にして目に涙を浮かべていた。

「入れてもいいか」

ハルトは体を少し起こしてシュイの怒張を見ると泣きそうな顔をした。

「...そんなに大きいの、無理」

ハルトの言葉に苦笑して先端をひたりと当てる。ずず、と腰を進めるとハルトはいやいやをするように首を横に振った。

「シュ、イ」

ハルトの目から涙が一筋流れる。シュイは涙を舌で舐め取った。涙まで甘い。

「痛いか?」

「...痛い、けど大丈夫。して、シュイ」

ハルトがそっと口付ける。堪らなくなってシュイは奥まで一気に貫いた。

「ああああああっ」

ハルトの悲鳴に似た嬌声がシュイを煽る。我慢できずに腰を振ると、きつく締め付けられて狂気じみた快感が脳を溶かした。

「ひああ、ああああ、あああ」

「ハル、ト、愛している」

「あああ、ああ、ああああっ」

首も胸元もほの赤く染め上げて、黒く艶やかな髪からは汗を滴らせて、シュイの声が聞こえているのかいないのか、ハルトは甘い声を上げ続けている。
シュイは一際激しく責め立てると、そう長くは保たずにハルトの最奥に精を放った。




「無理をさせてすまない」

「...大丈夫」

ベッドの上でシュイの逞しい腕の中に閉じ込められて、一緒に横になっている。

ハルトは手を伸ばしてシュイのターコイズブルーのメッシュにそっと触れた。ずっと触ってみたいと思っていたのだ。銀髪と一緒にひと束指でつまむと、色の対比が綺麗だった。

シュイはそんなハルトを蕩けるような微笑みを浮かべて見つめている。

ハルトは恥ずかしくなって、シュイの厚い胸板に額をぐりぐりと擦り付けた。

「もう一回するか?」

「も、もう無理」

ハルトが眉を下げて情けない顔でそう言うと、シュイの朗らかな笑い声が部屋に響いた。


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