85 / 136
第六走
85:紬季が満足したら、今度は俺な。部が休みの三日間獣みたいにやりまくるつもりです
しおりを挟む
「本当に賞状よかったの?僕の家で?」
『大学にはトロフィーがあるし。実家には飾りたくねえしっていうか、紬季の部屋に飾ってもらいたい、俺』
「そっか。あの……おめでとう……ね」
海がふっと笑いながら頷く。
『さて。渡すものは渡した。まず、何する?』
「何って……その」
『する前にソファーで話がしたいとか、和室で寝っ転がりたいとか、色々紬季にだってプランがあんだろ?俺、最初は、それに従う。けど、紬季が満足したら、今度は俺な。部が休みの三日間獣みたいにやりまくるつもりです』
「丁寧に過激なんだけど。それに、獣?」
『うん。前、オナ禁したら、心が爆発しそうって紬季言っただろ?俺、んなわけあるかって思ったんだけど、ありそうだわ、それ。何か、紬季を目の前にすると、鼻血出そう』
「僕……」
言いよどむと『ん?』と海が首を傾げる。
「海くん、走っている姿を見て、鳥肌が立った。テレビに映っているこの人、もうすぐ僕のことを抱きに来るんだって」
紬季が決心して伝える。
「僕、お風呂入ったよ。朝から張り切って部屋も綺麗にした。何回もするだろから、ベタベタになった用に換えのシーツだって何枚も用意して。……どうしよう」
もうわけが分からなくなって紬季は両手で顔を覆う。
すると、海が紬季の顎に羽のみたいなタッチでふわっと触れ、覆った両手を優しく取り払い、クリスマスの別れ際みたいに鼻先を紬季の鼻の頭にこすりつけてきた。
そして、『もう言葉では伝わらないから、無しな』とメッセージしてくる。
「うん、そうだね。さっき、伝えようとすればするほど、僕、混乱した」
海が着ていたランニングジャージをするりと脱ぐ。
「それ、箱根駅伝でも着ていたね。テレビにバッチリ映っていた。わあ、なんか、夢でも見ているみたい」
久しぶりに見る海の半裸に目がチカチカする。
もう喋らないと決めたはずなのに。
カチカチの腹に目が行く。
それに、脂肪のまるで無い引き締まった腕。
踊るように、海がズボンを脱いだ。
細くてしなやかな筋肉が詰まった足が現れる。
ポイポイと靴下までリズムよく脱いで、さあ、ここからだと紬季が覚悟すると、側に寄ってくると思った海がなぜか、後ろ足で紬季から遠ざかっていく。
「え?海くん?何で?」
近づくと、焦らすように海がまた後ずさる。
すごく緊張して構えてしまっているけれど、本当は海の硬い腹を触りたいのだ。
二十一・三キロを駆け抜けた足を撫でたいのだ。
オナ禁させられた上にお触り禁止までされられて、アスリートを性的な目で見るなんてという紬季のこれまでの必死の自制も、もうどこかに吹っ飛んだ。
本当に素晴らしいものって、エロに直結しているのかもしれない。
「待って。海くん、待ってって」
以前なら、浴びるほど与えられていたキスも、スポーツマッサージや保湿を借りた接触も、添い寝も、いつからか途絶えてしまっている。
俺に飢えればいい、と海が前に言った。
本当にその通りになった。
いや、まんまと、か?
砂漠で見つけたペットボトルいっぱいの水みたいに、早く捕まえて彼を飲み干したい。
紬季が追いかけていくと、ボクサーパンツ一枚になった海が、すっかり持ち歌みたいになったカラオケの曲を鼻歌しながら、からかうようにリビングを回り始める。
これからセックスするという緊張で頭が回らなくなっていた紬季も、海のこの長いお預けが変だなと感じる。
あれ??箱根駅伝一区を走って区間賞を獲ったあの身体、もしかして、僕のことを誘っている?!
自慰行為を長く禁止されて、ちょっと頭がおかしくなっているのかもしれない。
まだ鼻歌は続いていた。
リビングを一周した海は、今度はリュックから粘度のある液体が入ったボトルを取り出した。
ローションボトルだ。
なぜ、すぐ分かったのかというと、サイトで購入するときに迷って買わなかった方だからだ。
続いて海は、ビニールでコーティングされた箱を取り出す。
0.001ミリの薄さのコンドームだ。
相手の肉の熱さまでしっかり感じられるそれは、六個しか入っていないがそこそこいい値段がする。
セックスを楽しむために存在するその商品は、紬季も迷わず買った。
海は箱からケースに小分けにされたコンドームを取り出して、床に間隔を開けて置いていく。
最後のコンドームが置かれた場所は紬季の部屋の前だ。
そして、半裸の海は、どうしてこの部屋の扉は仕舞っているのだろうというように、子猿のようにしゃがみ込んで首を傾げる。
紬季は目印のよう置かれたコンドームを拾い、部屋の扉を開けた。
『大学にはトロフィーがあるし。実家には飾りたくねえしっていうか、紬季の部屋に飾ってもらいたい、俺』
「そっか。あの……おめでとう……ね」
海がふっと笑いながら頷く。
『さて。渡すものは渡した。まず、何する?』
「何って……その」
『する前にソファーで話がしたいとか、和室で寝っ転がりたいとか、色々紬季にだってプランがあんだろ?俺、最初は、それに従う。けど、紬季が満足したら、今度は俺な。部が休みの三日間獣みたいにやりまくるつもりです』
「丁寧に過激なんだけど。それに、獣?」
『うん。前、オナ禁したら、心が爆発しそうって紬季言っただろ?俺、んなわけあるかって思ったんだけど、ありそうだわ、それ。何か、紬季を目の前にすると、鼻血出そう』
「僕……」
言いよどむと『ん?』と海が首を傾げる。
「海くん、走っている姿を見て、鳥肌が立った。テレビに映っているこの人、もうすぐ僕のことを抱きに来るんだって」
紬季が決心して伝える。
「僕、お風呂入ったよ。朝から張り切って部屋も綺麗にした。何回もするだろから、ベタベタになった用に換えのシーツだって何枚も用意して。……どうしよう」
もうわけが分からなくなって紬季は両手で顔を覆う。
すると、海が紬季の顎に羽のみたいなタッチでふわっと触れ、覆った両手を優しく取り払い、クリスマスの別れ際みたいに鼻先を紬季の鼻の頭にこすりつけてきた。
そして、『もう言葉では伝わらないから、無しな』とメッセージしてくる。
「うん、そうだね。さっき、伝えようとすればするほど、僕、混乱した」
海が着ていたランニングジャージをするりと脱ぐ。
「それ、箱根駅伝でも着ていたね。テレビにバッチリ映っていた。わあ、なんか、夢でも見ているみたい」
久しぶりに見る海の半裸に目がチカチカする。
もう喋らないと決めたはずなのに。
カチカチの腹に目が行く。
それに、脂肪のまるで無い引き締まった腕。
踊るように、海がズボンを脱いだ。
細くてしなやかな筋肉が詰まった足が現れる。
ポイポイと靴下までリズムよく脱いで、さあ、ここからだと紬季が覚悟すると、側に寄ってくると思った海がなぜか、後ろ足で紬季から遠ざかっていく。
「え?海くん?何で?」
近づくと、焦らすように海がまた後ずさる。
すごく緊張して構えてしまっているけれど、本当は海の硬い腹を触りたいのだ。
二十一・三キロを駆け抜けた足を撫でたいのだ。
オナ禁させられた上にお触り禁止までされられて、アスリートを性的な目で見るなんてという紬季のこれまでの必死の自制も、もうどこかに吹っ飛んだ。
本当に素晴らしいものって、エロに直結しているのかもしれない。
「待って。海くん、待ってって」
以前なら、浴びるほど与えられていたキスも、スポーツマッサージや保湿を借りた接触も、添い寝も、いつからか途絶えてしまっている。
俺に飢えればいい、と海が前に言った。
本当にその通りになった。
いや、まんまと、か?
砂漠で見つけたペットボトルいっぱいの水みたいに、早く捕まえて彼を飲み干したい。
紬季が追いかけていくと、ボクサーパンツ一枚になった海が、すっかり持ち歌みたいになったカラオケの曲を鼻歌しながら、からかうようにリビングを回り始める。
これからセックスするという緊張で頭が回らなくなっていた紬季も、海のこの長いお預けが変だなと感じる。
あれ??箱根駅伝一区を走って区間賞を獲ったあの身体、もしかして、僕のことを誘っている?!
自慰行為を長く禁止されて、ちょっと頭がおかしくなっているのかもしれない。
まだ鼻歌は続いていた。
リビングを一周した海は、今度はリュックから粘度のある液体が入ったボトルを取り出した。
ローションボトルだ。
なぜ、すぐ分かったのかというと、サイトで購入するときに迷って買わなかった方だからだ。
続いて海は、ビニールでコーティングされた箱を取り出す。
0.001ミリの薄さのコンドームだ。
相手の肉の熱さまでしっかり感じられるそれは、六個しか入っていないがそこそこいい値段がする。
セックスを楽しむために存在するその商品は、紬季も迷わず買った。
海は箱からケースに小分けにされたコンドームを取り出して、床に間隔を開けて置いていく。
最後のコンドームが置かれた場所は紬季の部屋の前だ。
そして、半裸の海は、どうしてこの部屋の扉は仕舞っているのだろうというように、子猿のようにしゃがみ込んで首を傾げる。
紬季は目印のよう置かれたコンドームを拾い、部屋の扉を開けた。
0
お気に入りに追加
53
あなたにおすすめの小説
ある宅配便のお兄さんの話
てんつぶ
BL
宅配便のお兄さん(モブ)×淫乱平凡DKのNTR。
ひたすらえっちなことだけしているお話です。
諸々タグ御確認の上、お好きな方どうぞ~。
※こちらを原作としたシチュエーション&BLドラマボイスを公開しています。
【R18】性の目覚め、お相手は幼なじみ♂【完結】
桜花
BL
始まりは中2の夏休み。
あれは幼なじみの春樹と初めてAVを見た日。
僕の中で、何かが壊れた。
何かが、変わってしまった。
何年も続けてきた、当たり前の日常。
全て特別なものに思えてくる。
気付かれるのが怖い。
もし伝えたら、どんな顔をするのかな…。
幼なじみ2人の数年にわたる物語。
彼女ができたら義理の兄にめちゃくちゃにされた
おみなしづき
BL
小学生の時に母が再婚して義理の兄ができた。
それが嬉しくて、幼い頃はよく兄の側にいようとした。
俺の自慢の兄だった。
高二の夏、初めて彼女ができた俺に兄は言った。
「ねぇ、ハル。なんで彼女なんて作ったの?」
俺は兄にめちゃくちゃにされた。
※最初からエロです。R18シーンは*表示しておきます。
※R18シーンの境界がわからず*が無くともR18があるかもしれません。ほぼR18だと思って頂ければ幸いです。
※いきなり拘束、無理矢理あります。苦手な方はご注意を。
※こんなタイトルですが、愛はあります。
※追記……涼の兄の話をスピンオフとして投稿しました。二人のその後も出てきます。よろしければ、そちらも見てみて下さい。
※作者の無駄話……無くていいかなと思い削除しました。お礼等はあとがきでさせて頂きます。
当たって砕けていたら彼氏ができました
ちとせあき
BL
毎月24日は覚悟の日だ。
学校で少し浮いてる三倉莉緒は王子様のような同級生、寺田紘に恋をしている。
教室で意図せず公開告白をしてしまって以来、欠かさずしている月に1度の告白だが、19回目の告白でやっと心が砕けた。
諦めようとする莉緒に突っかかってくるのはあれ程告白を拒否してきた紘で…。
寺田絋
自分と同じくらいモテる莉緒がムカついたのでちょっかいをかけたら好かれた残念男子
×
三倉莉緒
クールイケメン男子と思われているただの陰キャ
そういうシーンはありませんが一応R15にしておきました。
お気に入り登録ありがとうございます。なんだか嬉しいので載せるか迷った紘視点を追加で投稿します。ただ紘は残念な子過ぎるので莉緒視点と印象が変わると思います。ご注意ください。
お気に入り登録100ありがとうございます。お付き合いに浮かれている二人の小話投稿しました。
ノンケの俺がメス堕ち肉便器になるまで
ブラックウォーター
BL
あこがれの駅前タワマンに妻と共に越した青年。
だが、実はそこは鬼畜ゲイセレブたちの巣窟だった。
罠にはめられ、ノンケの青年は男たちに陵辱される悦びに目覚めさせられていく。
多数の方に読んでいただき、心よりお礼申し上げます。
本編は完結ですが、番外編がもう少し続きます。
ご期待ください。
不夜島の少年~兵士と高級男娼の七日間~
四葉 翠花
BL
外界から隔離された巨大な高級娼館、不夜島。
ごく平凡な一介の兵士に与えられた褒賞はその島への通行手形だった。そこで毒花のような美しい少年と出会う。
高級男娼である少年に何故か拉致されてしまい、次第に惹かれていくが……。
※以前ムーンライトノベルズにて掲載していた作品を手直ししたものです(ムーンライトノベルズ削除済み)
■ミゼアスの過去編『きみを待つ』が別にあります(下にリンクがあります)
君が好き過ぎてレイプした
眠りん
BL
ぼくは大柄で力は強いけれど、かなりの小心者です。好きな人に告白なんて絶対出来ません。
放課後の教室で……ぼくの好きな湊也君が一人、席に座って眠っていました。
これはチャンスです。
目隠しをして、体を押え付ければ小柄な湊也君は抵抗出来ません。
どうせ恋人同士になんてなれません。
この先の長い人生、君の隣にいられないのなら、たった一度少しの時間でいい。君とセックスがしたいのです。
それで君への恋心は忘れます。
でも、翌日湊也君がぼくを呼び出しました。犯人がぼくだとバレてしまったのでしょうか?
不安に思いましたが、そんな事はありませんでした。
「犯人が誰か分からないんだ。ねぇ、柚月。しばらく俺と一緒にいて。俺の事守ってよ」
ぼくはガタイが良いだけで弱い人間です。小心者だし、人を守るなんて出来ません。
その時、湊也君が衝撃発言をしました。
「柚月の事……本当はずっと好きだったから」
なんと告白されたのです。
ぼくと湊也君は両思いだったのです。
このままレイプ事件の事はなかった事にしたいと思います。
※誤字脱字があったらすみません
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる