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第六走
79:変なところで照れるよね?真顔でエロいことは言うくせに
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リラクシングサウンド作りを本格的に再開し、動画サイトにアップしたり、一件だけだけど作曲依頼があってそれの納品をしたり。
父親と育ての母親の方にメッセージを送ったり。
買ったテーピングや生理学の本を読んでみたり。
ボランティアスタッフの方もずっと続けている。
バナナ五房の差し入れも変わりなく。
カラオケに一緒に行ったあの三人とは、グラウンドでも仲良くなれた。そのつながりで他の部員とも話せるようになり、いい感じの関係が続いている。
次のカラオケの約束もした。年明けの予定だ。
やらなければいけないこと、楽しみにしていること。
夏には出会い系サイトで不安な気持ちで男漁りをしていたのに、季節が二つ変わった頃には全然、違うことを楽しんでいる自分がいる。
海の方は怪我なく順調だ。
グラウンドでは、ほぼ他人みたいな距離感を出してくる態度にたまにムカつくが、二人で会っているときは、やりたいオーラが出ているのがはっきりと分かって、その落差が紬季を安心させる。
いい関係を保てているとは思う。
そうこうしているうちに箱根駅伝の方はあと二週間を切った。
通常の試合なら一週間前の選手発表なのだが、箱根駅伝だけは二週間前。
それだけ、この大会が、赤星にとっても選手にとっても大事ということだ。
海は、去年と同じ一区に選ばれた。
華の二区ではないのが、紬季は悔しい。
スピードだけでなく、持って生まれた選手の特性や性格も兼ねて箱根駅伝の出走区は選ばれるので、赤星は海には一区が適していると判断したのだろう。
五千メートル十三分三十秒を切る記録を直前で出しているのだから、一区でトップ通過をしてもらい弾みを付けたいのだと思う。もちろん、区間賞もいただきだ。
二十五日になった。
箱根駅伝まであと十日と思ってしまうのが、駅伝にのめり込んだ者たちの悲しい性だ。
今日は、世間ではクリスマスという楽しい行事の日だ。
イブも短時間だけれど、海と一緒に外で過ごせたが、今日は久しぶりに部屋まで来てもらうことにした。
紬季はウキウキする。
「こういう待つ楽しみ、久しぶりだあ」
インーフォンが鳴って、紬季は「はいはい」とそちらに向かう。
普段は、玄関で出迎えたい紬季を焦らせないよう、海は気を使ってタワーマンションのエレベーター付近で必ずメッセージをくれるのに、今日はどうしちゃったんだろう、忘れたのかな?
紬季は玄関扉を開ける
海が照れ顔を不機嫌さで隠してランニングジャージ姿で立っていた。手には細長い厚手の茶色の紙袋を持っている。
それを何も言わず渡してきた。
中身は、箱。そこにリボンがかかっている。
付箋が付いていた。
『これ、シアーバターのお礼な』
「え?あれはそこまで高くないよ。いいの、何倍も高そうなのを貰っちゃって」
早くリビングで開けてくれよというように、海が紬季の身体をグイグイと押した。
こんなにあからさまに触れられるのは久しぶりだ。
思わず、抱きついてキスしたくなる。
ソファーに座ってそれを開けると、ミルクティー色のマフラーが出てきた。
「わあああ。暖かい。それに手触りも!」
喜んでいると、海が携帯でメッセージを送ってくる。
『外に出るといつも寒そうに首を縮めているし。だから』
「ありがとう。大切にする。海くんからのクリスマスプレゼント」
『ちげーし。 シアーバターのお礼だし。クリスマスプレゼントなんてそんな小っ恥ずかしいことできるか』
「変なところで照れるよね?真顔でエロいことは言うくせに」
海の言葉は文字だと紬季は思っている。
だから、言うで間違っていない。
紬織は丁寧にマフラーを仕舞う。
「僕もさあ。あるにはあるんだ。プレゼント。あれ、やっぱり照れるね。僕のは食べ物なんだけれど』
紬季はキッチンに向かった、
オーブンから取り出したのは、七面鳥の姿焼きだ。
「えへへ。クリスマスっぽく」
リビングテーブルまで持っていくと、海が真顔で指を三本突き立ててくる。
あれ?この手のことに海くんはまるで詳しく無さそうなのに?
「もしかして、準備期間のことについて聞いている?うん。そう。これ、準備に三日かかる」
冷凍物は三日前から冷蔵庫で解凍。そして、味付けをしていく。
焼くのも結構な時間がかかる。
だから、紬季には大仕事だ。
父親と育ての母親の方にメッセージを送ったり。
買ったテーピングや生理学の本を読んでみたり。
ボランティアスタッフの方もずっと続けている。
バナナ五房の差し入れも変わりなく。
カラオケに一緒に行ったあの三人とは、グラウンドでも仲良くなれた。そのつながりで他の部員とも話せるようになり、いい感じの関係が続いている。
次のカラオケの約束もした。年明けの予定だ。
やらなければいけないこと、楽しみにしていること。
夏には出会い系サイトで不安な気持ちで男漁りをしていたのに、季節が二つ変わった頃には全然、違うことを楽しんでいる自分がいる。
海の方は怪我なく順調だ。
グラウンドでは、ほぼ他人みたいな距離感を出してくる態度にたまにムカつくが、二人で会っているときは、やりたいオーラが出ているのがはっきりと分かって、その落差が紬季を安心させる。
いい関係を保てているとは思う。
そうこうしているうちに箱根駅伝の方はあと二週間を切った。
通常の試合なら一週間前の選手発表なのだが、箱根駅伝だけは二週間前。
それだけ、この大会が、赤星にとっても選手にとっても大事ということだ。
海は、去年と同じ一区に選ばれた。
華の二区ではないのが、紬季は悔しい。
スピードだけでなく、持って生まれた選手の特性や性格も兼ねて箱根駅伝の出走区は選ばれるので、赤星は海には一区が適していると判断したのだろう。
五千メートル十三分三十秒を切る記録を直前で出しているのだから、一区でトップ通過をしてもらい弾みを付けたいのだと思う。もちろん、区間賞もいただきだ。
二十五日になった。
箱根駅伝まであと十日と思ってしまうのが、駅伝にのめり込んだ者たちの悲しい性だ。
今日は、世間ではクリスマスという楽しい行事の日だ。
イブも短時間だけれど、海と一緒に外で過ごせたが、今日は久しぶりに部屋まで来てもらうことにした。
紬季はウキウキする。
「こういう待つ楽しみ、久しぶりだあ」
インーフォンが鳴って、紬季は「はいはい」とそちらに向かう。
普段は、玄関で出迎えたい紬季を焦らせないよう、海は気を使ってタワーマンションのエレベーター付近で必ずメッセージをくれるのに、今日はどうしちゃったんだろう、忘れたのかな?
紬季は玄関扉を開ける
海が照れ顔を不機嫌さで隠してランニングジャージ姿で立っていた。手には細長い厚手の茶色の紙袋を持っている。
それを何も言わず渡してきた。
中身は、箱。そこにリボンがかかっている。
付箋が付いていた。
『これ、シアーバターのお礼な』
「え?あれはそこまで高くないよ。いいの、何倍も高そうなのを貰っちゃって」
早くリビングで開けてくれよというように、海が紬季の身体をグイグイと押した。
こんなにあからさまに触れられるのは久しぶりだ。
思わず、抱きついてキスしたくなる。
ソファーに座ってそれを開けると、ミルクティー色のマフラーが出てきた。
「わあああ。暖かい。それに手触りも!」
喜んでいると、海が携帯でメッセージを送ってくる。
『外に出るといつも寒そうに首を縮めているし。だから』
「ありがとう。大切にする。海くんからのクリスマスプレゼント」
『ちげーし。 シアーバターのお礼だし。クリスマスプレゼントなんてそんな小っ恥ずかしいことできるか』
「変なところで照れるよね?真顔でエロいことは言うくせに」
海の言葉は文字だと紬季は思っている。
だから、言うで間違っていない。
紬織は丁寧にマフラーを仕舞う。
「僕もさあ。あるにはあるんだ。プレゼント。あれ、やっぱり照れるね。僕のは食べ物なんだけれど』
紬季はキッチンに向かった、
オーブンから取り出したのは、七面鳥の姿焼きだ。
「えへへ。クリスマスっぽく」
リビングテーブルまで持っていくと、海が真顔で指を三本突き立ててくる。
あれ?この手のことに海くんはまるで詳しく無さそうなのに?
「もしかして、準備期間のことについて聞いている?うん。そう。これ、準備に三日かかる」
冷凍物は三日前から冷蔵庫で解凍。そして、味付けをしていく。
焼くのも結構な時間がかかる。
だから、紬季には大仕事だ。
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