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第四章

90.先生とギガって人の子供なんでしょう?

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 灯火具を持って外に出た森羅は、
「オレ、平原の見回りに行ってくるので」
と一声かける。
 すると、ディンがテントの中から飛び出してきた。
「護衛します」
「え、いいよ。先生といつも行っていた道を通るだけだし。放牧している山羊や羊の回収もあるから時間かかるし。休みなよ」
 そう提案したのだが、ディンは親指と人差し指を円にして口に挟むと、「ピュイ」と口笛を吹く。
 ディンの羽つきニャーゴとショウすぐに傍にやってきて、ディンは彼らに皮の手綱を付けた。自身も皮の鞄を背負う。よく見ると継ぎ当ての目立つ鞄だ。
(あの形とか独特の皮の色味、どこかで?ああ、そうか。先生が背負っているのをそっくりなんだ)
 二人と二匹で平原へと向かう。
 原種の森からは、
 グルゥゥゥゴォォォ。
 グルゥゥゥゴォォォ。
と野太い声の大合唱だ。
 まるで森が鳴いているみたいだった。
「原種の森がやけに騒がしいですね」
とディン。
「このところずっとなんだ。たしか、偽装聖婚して以降だ。先生は森に何かいるんじゃないかって。でも、何度も見に行ってたんだけど原種の森のニャーゴたちの起源が悪い原因は分からず終いで」
「そうですか。なら、後日、僕が山に入って確認してきます」
「森羅様。僕がやってくるとき、土人形が罠を仕掛けようとしていました。気を付けて下さい」
「あ、うん。分かった。で、さあ。その森羅様っての、できれば止めてくれない?オレ、ただの土人形だし」
「それはできません」
(うわあ。また頑なが発動だ)
と森羅が心の中で思っていると、ディンが続けた。
「森羅様は夜の守護神スエン様の伴侶なのですし」
「でも、これ、偽神紋だ」
と森羅は自分の手の甲を撫でる。
「ディンさんのは本物なんだよね?」
「ま、まあ」
 手の甲を近づけるとさっと逸らされた。
(オレのと似ている。オレのは先生の持ち物って意味で、先生の完全なコピー。ディンさんのはほんの少し違う)
「僕は半神というだけで、大した存在ではありません」
「先生とギガって人の子供なんでしょう?」
「はい?」
 ディンは驚いたようだった。スエンに似て喜怒哀楽が分かりづらい顔をしているのに、今は物凄く動揺している。
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