【未完】オレ、異世界で偽装聖婚して恋愛小説家デビューすることになりました!

遊佐ミチル

文字の大きさ
上 下
79 / 97
第四章

79.そこを触ったら止まらなくなるでしょう。お互いに

しおりを挟む
「そうですか」
 スエンはそれ以上余計無いことは言わず、寝室に引っ込んでしまった。目覚めたショウも、温かい場所で本格的に寝たかったのかスエンの後についていく。
 一人残された森羅は頭を抱えた。
「これじゃ、八つ当たりだ」
 乱れた心では一文もいい文章は書けず、居間の片付けもせずに寝室に向かう。
 寝台では背中を向けるようにしてスエンが寝ていて、足元にショウが丸くなっていた。
 森羅は小机の灯火具に息を吹きかけ、部屋を暗くする。そして、スエンの隣に滑り込んだ。
 しっかりと背中に抱きつく。
「先生。さっきはごめん」
 すると、スエンが寝返りを打って、森羅の額に自分の額をこすりつけてくる。
 だが、何も言わない。
 それが、「怒ってないですよ」の意思表示らしかった。
 自分ではできない対応だ。
(先生はやっぱり大人だよなあ)
「実は、ウトゥさんから依頼された作品の直しが行き詰まっていて」
「ああ。『接吻の作法』でしょう?一文読んだだけで分かりました」
 なんて、小っ恥ずかしいタイトルだ。
 中身は、キスの指南書みたいなもので、いろいろなキスを寸劇形式で紹介されている。
 スエンの指が、森羅の唇をそっと押さえてきた。
 それだけで、何だか感じる。
「『夜明け前の物語のときみたいに、実体験が必要ですか?」
「うん」
「唇はこの前したから書けるでしょう?じゃあ、後ろを向いて」
 右手を下にして身体を横たえると、肩の部分の夜着を少しずらされた。
 スエンが上体を起こし、ちょっとだけ覆いかぶさるような格好になった。
 首筋に唇が落とされる。
 その際、耳たぶにも触れたものだから、広範囲で身体がビリビリする。
「どうです?」
「ヤバい」
 物書きなくせに随分な表現なのは分かっている。でも、それ以上の言葉が出てこない。
 続いて夜着がまくり上げられた。
 背骨に沿うようにキス。
 ぎりぎりまで下がって、下着を少し下げられて、腰の付け根にキス。
「ん、あっ」
 声が漏れて、足が寝台の中でバタついた。
「センセエ。しんどい」
「どこが?もしかして、具合?」
「違う。前」
「そこを触ったら止まらなくなるでしょう。お互いに」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!

めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。 ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。 兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。 義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!? このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。 ※タイトル変更(2024/11/27)

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~

シキ
BL
全寮制学園モノBL。 倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。 倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……? 真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。 一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。 こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。 今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。 当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。

処理中です...