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第十五章 アーサー
288:お前がちゃんと休めるようになったのだって、メアリーのお蔭じゃないのか?
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「だから、それだけ、あの夜はエドワードも針が振りきれてたってことだ。俺、あのとき、あ~あ~あ~あ~って思ったもの。晩餐会とかでたまに世界のお偉方と酒を酌み交わしているエドワードの映像を見るだろう?けど、あいつだけ、ノンアルコールだからな。皆、覚えておけよ」
とダニエルが説明する。
しかし、エドワードは上機嫌でシャンパングラスを口に運ぶ。
「私の心配事が、今一気に解決してうれしいのだから、飲ませろ」
エドワードはバロンの左の薬指を掴んだ。
「私は、バロンに爵位を与え、永久にヴァレットにすると誓った。だが、それじゃあ足りない」
「で、殿下?!」
バロンは目を白黒させる。
「メアリーの夫になってくれるいい男がいないものかとずっと探していた。ラリーだったらいい。許す」
「許すって?!」
ラリーは、それ以降、言葉を失う。
「メアリー。お前、女王になれ」
エドワードが二杯目のシャンパンを注ぎながら言った。
「といっても、お前が女王として公務をすることはまずない。お前の子供が継ぐことになる」
「エドワード、貴方は?」
「もちろん、三年後に国王になり、できるだけ長くその座につく。そして、メアリーとラリーの子に王位を引き継ぐ。もともと同じ家が分かれただけだ。私の血を継いだ子だろうがメアリーの血を継いだ子だろうが、大差ない」
「殿下、あの、お忘れですか?僕は、オールドドメインで……」
「人間とオールドドメインは、生殖可能なところまで研究が進んでいると聞いている。私は、お前たちのお蔭で心置きなくバロンと結婚できる」
「ヒュー」とルシウスがはやし立てた。
「オールドドメインが国王の伴侶に!そして、その次は、オールドドメイン初の国王だ!」
「いや、僕はそんなたいそれたこと……」
とラリーは慌てまくり、バロンは放心する。
「ラリーは女王の配偶者になるから、王配という身分だが、過去には僭称(せんしょう)といって、王を名乗ることもできた。じゃあ、ルシウスの言うオールドドメイン初の国王もないことではないな」
シャンパン二杯ですっかり酔っぱらったエドワードは、ラリーの肩を叩く。
「なあ、ラリー。メアリーは、ちょっとばかし騒がしいし、ちょっとばかし買い物をし過ぎるし、いくらマフィンが甘いといってもレシピを変えないし」
「ちょっと、エドワードけなし過ぎ!」
とメアリーはエドワードを叩く。
その拳を受け、エドワードは笑った。
「でも、常に明るい。お前がちゃんと休めるようになったのだって、メアリーのお蔭じゃないのか?」
「ほら、殿下のお墨付き!」
ラリーの背中をルシウスが押し、メアリーの背後に回ったベリルが彼女の背中を押す。
無理やり抱き合わせられて、二人は照れまくる。
「ちょっと、ちょっと、エドワード!」
バロンが放心しているバロンを放っておきぱなしのエドワードに、アーサーは声を掛ける。
「バロンが、別世界に行ってしまってるよ!早く、呼び戻して!!」
「バロン?おい、バロン?」
とダニエルが説明する。
しかし、エドワードは上機嫌でシャンパングラスを口に運ぶ。
「私の心配事が、今一気に解決してうれしいのだから、飲ませろ」
エドワードはバロンの左の薬指を掴んだ。
「私は、バロンに爵位を与え、永久にヴァレットにすると誓った。だが、それじゃあ足りない」
「で、殿下?!」
バロンは目を白黒させる。
「メアリーの夫になってくれるいい男がいないものかとずっと探していた。ラリーだったらいい。許す」
「許すって?!」
ラリーは、それ以降、言葉を失う。
「メアリー。お前、女王になれ」
エドワードが二杯目のシャンパンを注ぎながら言った。
「といっても、お前が女王として公務をすることはまずない。お前の子供が継ぐことになる」
「エドワード、貴方は?」
「もちろん、三年後に国王になり、できるだけ長くその座につく。そして、メアリーとラリーの子に王位を引き継ぐ。もともと同じ家が分かれただけだ。私の血を継いだ子だろうがメアリーの血を継いだ子だろうが、大差ない」
「殿下、あの、お忘れですか?僕は、オールドドメインで……」
「人間とオールドドメインは、生殖可能なところまで研究が進んでいると聞いている。私は、お前たちのお蔭で心置きなくバロンと結婚できる」
「ヒュー」とルシウスがはやし立てた。
「オールドドメインが国王の伴侶に!そして、その次は、オールドドメイン初の国王だ!」
「いや、僕はそんなたいそれたこと……」
とラリーは慌てまくり、バロンは放心する。
「ラリーは女王の配偶者になるから、王配という身分だが、過去には僭称(せんしょう)といって、王を名乗ることもできた。じゃあ、ルシウスの言うオールドドメイン初の国王もないことではないな」
シャンパン二杯ですっかり酔っぱらったエドワードは、ラリーの肩を叩く。
「なあ、ラリー。メアリーは、ちょっとばかし騒がしいし、ちょっとばかし買い物をし過ぎるし、いくらマフィンが甘いといってもレシピを変えないし」
「ちょっと、エドワードけなし過ぎ!」
とメアリーはエドワードを叩く。
その拳を受け、エドワードは笑った。
「でも、常に明るい。お前がちゃんと休めるようになったのだって、メアリーのお蔭じゃないのか?」
「ほら、殿下のお墨付き!」
ラリーの背中をルシウスが押し、メアリーの背後に回ったベリルが彼女の背中を押す。
無理やり抱き合わせられて、二人は照れまくる。
「ちょっと、ちょっと、エドワード!」
バロンが放心しているバロンを放っておきぱなしのエドワードに、アーサーは声を掛ける。
「バロンが、別世界に行ってしまってるよ!早く、呼び戻して!!」
「バロン?おい、バロン?」
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