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第十五章 アーサー
271:アーサー伯爵。殿下が、ティーパーティー開きたいとのこと。ベリルとともに王宮の裏庭においで下さい
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五月。
英国は一番過ごしやすい時期を迎えた。
英国暴動は完全に沈下し、クラッシックシティーには平和な時間が流れ始めていた。
王宮の裏に、アーサーは立っていた。
雪で一面真っ白だったそこは、いまは緑色の絨毯が広がっている。
色とりどりの花が咲き、昔と変わらず蝶々やミツバチが飛んでいた。
『アーサー伯爵。殿下が、ティーパーティー開きたいとのこと。ベリルとともに王宮の裏庭においで下さい』とのバロンからの丁寧な招待状を貰い、アーサーは指定された日時にベリルと一緒にやって来た。
「おーい」
ベリルが、大きな布を広げて坐るための場所作りをしているエドワードとバロンを見つけて、そこに向かって駆けていく。
左の薬指にはアーサーが贈った、ゴールデンベリルの指輪が光っていた。また、アーサーの薬指にも、緑色の石が光っている。
近くには、日傘を差したアンとメアリーが立っていた。
「先を越されたな」
背後で声がして振り向く。
ダニエルとルシウスが立っていた。
二人とも大きなバスケットを持っていて、そこにはシャンパンやワイン、お菓子がギッシリ詰まっている。
ルシウスの胸元には、鎖に通された、赤と青の宝石がはめ込まれた指輪が光っていた。
「やあ、ダニエル、ルシウス。今日は、晴れやかな日差しで、ティーパーティー日和だね」
すると、ダニエルは肩をすくめる。
「エドワードの奴、自分から王宮の裏庭でティーパーティーを開くだなんてどういう風の吹き回しだ?」
「単に飲みたいだけじゃないの?」
とルシウスは、バスケットからチラッとボトルを見せる。
「んなわけあるか、エドワードは下戸って、おい、ルシウス。それは、俺の秘蔵のワインだ」
「ワインセラーに眠らせておくより、みんなでワイワイ飲んだほうが、このワインだって嬉しいって」
英国は一番過ごしやすい時期を迎えた。
英国暴動は完全に沈下し、クラッシックシティーには平和な時間が流れ始めていた。
王宮の裏に、アーサーは立っていた。
雪で一面真っ白だったそこは、いまは緑色の絨毯が広がっている。
色とりどりの花が咲き、昔と変わらず蝶々やミツバチが飛んでいた。
『アーサー伯爵。殿下が、ティーパーティー開きたいとのこと。ベリルとともに王宮の裏庭においで下さい』とのバロンからの丁寧な招待状を貰い、アーサーは指定された日時にベリルと一緒にやって来た。
「おーい」
ベリルが、大きな布を広げて坐るための場所作りをしているエドワードとバロンを見つけて、そこに向かって駆けていく。
左の薬指にはアーサーが贈った、ゴールデンベリルの指輪が光っていた。また、アーサーの薬指にも、緑色の石が光っている。
近くには、日傘を差したアンとメアリーが立っていた。
「先を越されたな」
背後で声がして振り向く。
ダニエルとルシウスが立っていた。
二人とも大きなバスケットを持っていて、そこにはシャンパンやワイン、お菓子がギッシリ詰まっている。
ルシウスの胸元には、鎖に通された、赤と青の宝石がはめ込まれた指輪が光っていた。
「やあ、ダニエル、ルシウス。今日は、晴れやかな日差しで、ティーパーティー日和だね」
すると、ダニエルは肩をすくめる。
「エドワードの奴、自分から王宮の裏庭でティーパーティーを開くだなんてどういう風の吹き回しだ?」
「単に飲みたいだけじゃないの?」
とルシウスは、バスケットからチラッとボトルを見せる。
「んなわけあるか、エドワードは下戸って、おい、ルシウス。それは、俺の秘蔵のワインだ」
「ワインセラーに眠らせておくより、みんなでワイワイ飲んだほうが、このワインだって嬉しいって」
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