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第十四章 バロン
263:今夜はお前を抱きつぶすつもりだから、風呂に入り身体を綺麗にし、素っ裸で来いとでも言えばよかったか?
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緊張しすぎて床を踏んでいる感覚もないまま、バロンはエドワードの前に立った。
バスローブのみを羽織った彼からは、湯の香りがした。
髪も乾きかけで、いつものきっちり感が無い。
寝間着を着てバスローブを身に着けた今の自分がただのバロンなら、彼もまたただのエドワードだ。
「何か言え。沈黙は苦手だ」
エドワードが間合いを詰めてきて、バロンを抱き寄せようとする。
しかし、バロンは一歩後ずさっていた。
「あの……この、格好で合っていますか?間違えていたら……着替えて」
「今夜はお前を抱きつぶすつもりだから、風呂に入り身体を綺麗にし、素っ裸で来いとでも言えばよかったか?私にだって、艶事に対して、多少の情緒はある」
「抱きつぶすって……あの……」
バロンは、さらに一歩後ずさる。
「どうした?なぜ、逃げる?」
「別に、逃げてないです」
さらに数歩下がると、居間に繋がる扉にぶつかった。
無意識に扉の取っ手を探して開けかけると、エドワードがそれを片手で阻んだ。
身長は二センチしか変わらないのに、威圧感で押しつぶされそうになる。
バロンは今度は寝室の左奥へと逃げていく。
すると、エドワードはゆっくりとバロンを追い詰めてきた。まるで、獲物をしとめる寸前のグリズリーそのものだ。
「バロン。私は、何度も自由をやると言った。でも、お前は嫌だとそれを断った。私の傍に居られない方が不幸だと言った。私の傍にいたいということは、そこに艶事が含まれていないということか?」
「……それは……そうなんですけど」
また背中が壁に当たった。
部屋の隅にバロンは追い込まれ、またエドワードが壁に手を付いて来る。
今度は、両手だ。
もうどこにも逃げられない。
「口づけや同衾、それ以上もこともした。でも、身体は重ねていない。私の傍にいたいというなら、関係を進ませてもらう。必死に逃がそうとしてやったのに、跳ねのけたお前が悪い」
緊張で足が震えて立っていられなくなったバロンは、ズルズルと壁を滑って床にへたりこんだ。
すると、エドワードもしゃがみ込んできて、バロンは顎を取られた。
「ダニエルのラボでも、こんなことがあったな。お前の艶っぽさにやられて、口づけをしかけた」
「俺はっ、艶っぽくなんて。だったら、ルシウスやベリルの方がっ」
「あの二体が?ベリルは論外としても、私はルシウスにそういう魅力を感じたことがない。綺麗だが、口から生まれてきたかのように、ベラベラとよく喋る。その点、お前は慎ましい。私が聞かれたくないことはそっとしておいてくれる優しさがある」
エドワードがバロンの頬を撫で始めた。
「どうして、こんなに冷たいんだ?バルコニーに出ていたのか?」
「いえ。緊張をどうにかしたくて、冷水を長い間」
すると、エドワードは、バロンの腕を取って立ち上がる。
そして、何も言わずバロンを連れてバスルームに向かった。
「殿下……ちょっと、あの」
脱衣所で、エドワードはさっさと全裸になり、バロンに生まれたままの姿をさらした。
そして、バロンのローブの結び目を解いて、脱がせにかかる。
あっという間に全裸にさせられ、再び手を取られた。
バスローブのみを羽織った彼からは、湯の香りがした。
髪も乾きかけで、いつものきっちり感が無い。
寝間着を着てバスローブを身に着けた今の自分がただのバロンなら、彼もまたただのエドワードだ。
「何か言え。沈黙は苦手だ」
エドワードが間合いを詰めてきて、バロンを抱き寄せようとする。
しかし、バロンは一歩後ずさっていた。
「あの……この、格好で合っていますか?間違えていたら……着替えて」
「今夜はお前を抱きつぶすつもりだから、風呂に入り身体を綺麗にし、素っ裸で来いとでも言えばよかったか?私にだって、艶事に対して、多少の情緒はある」
「抱きつぶすって……あの……」
バロンは、さらに一歩後ずさる。
「どうした?なぜ、逃げる?」
「別に、逃げてないです」
さらに数歩下がると、居間に繋がる扉にぶつかった。
無意識に扉の取っ手を探して開けかけると、エドワードがそれを片手で阻んだ。
身長は二センチしか変わらないのに、威圧感で押しつぶされそうになる。
バロンは今度は寝室の左奥へと逃げていく。
すると、エドワードはゆっくりとバロンを追い詰めてきた。まるで、獲物をしとめる寸前のグリズリーそのものだ。
「バロン。私は、何度も自由をやると言った。でも、お前は嫌だとそれを断った。私の傍に居られない方が不幸だと言った。私の傍にいたいということは、そこに艶事が含まれていないということか?」
「……それは……そうなんですけど」
また背中が壁に当たった。
部屋の隅にバロンは追い込まれ、またエドワードが壁に手を付いて来る。
今度は、両手だ。
もうどこにも逃げられない。
「口づけや同衾、それ以上もこともした。でも、身体は重ねていない。私の傍にいたいというなら、関係を進ませてもらう。必死に逃がそうとしてやったのに、跳ねのけたお前が悪い」
緊張で足が震えて立っていられなくなったバロンは、ズルズルと壁を滑って床にへたりこんだ。
すると、エドワードもしゃがみ込んできて、バロンは顎を取られた。
「ダニエルのラボでも、こんなことがあったな。お前の艶っぽさにやられて、口づけをしかけた」
「俺はっ、艶っぽくなんて。だったら、ルシウスやベリルの方がっ」
「あの二体が?ベリルは論外としても、私はルシウスにそういう魅力を感じたことがない。綺麗だが、口から生まれてきたかのように、ベラベラとよく喋る。その点、お前は慎ましい。私が聞かれたくないことはそっとしておいてくれる優しさがある」
エドワードがバロンの頬を撫で始めた。
「どうして、こんなに冷たいんだ?バルコニーに出ていたのか?」
「いえ。緊張をどうにかしたくて、冷水を長い間」
すると、エドワードは、バロンの腕を取って立ち上がる。
そして、何も言わずバロンを連れてバスルームに向かった。
「殿下……ちょっと、あの」
脱衣所で、エドワードはさっさと全裸になり、バロンに生まれたままの姿をさらした。
そして、バロンのローブの結び目を解いて、脱がせにかかる。
あっという間に全裸にさせられ、再び手を取られた。
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