【完結】王と伯爵に捧げる七つの指輪

遊佐ミチル

文字の大きさ
上 下
259 / 280
第十三章 ルシウス

259:お前にとっては希望の光みたいに大切な約束を忘れられていて悲しかったな

しおりを挟む
ダニエルはそう言って、深い口づけをしながら、ルシウスの身体を優しく撫でまわす。
こういうのは好きではない。
落ち着かない。
身体を重ねること自体に愛はない、とルシウスは思っていた。
あるのは、快楽だけだ。
ケビンが昔、ルシウスの身体を抱きながら愛していると言ったけれど、結局鹿の園に売った。
だから、身体を重ねることで生じるのは、快楽だけ。
そうじゃないと困る。
「お願い、ダニエル!お願い!」
彼の指を、犬のように舐めてたっぷり濡らし、ルシウスも犬の格好になって秘部をダニエルに晒す。
指でそこそこに解して、一気にダニエルの雄で貫いて欲しかった。
なのに、ダニエルはルシウスの臀部を揉んだり少しつねったりしながら、舌を這わせていく。
秘部をチロチロと長い間舐められて、声を我慢していたルシウスだったが、舌をねじ込まれて「アアアアーンンッ」と鼻から抜けりような甘い声が漏らしてしまった。
まだ肌寒いのに、汗ばむほど喘がされ、秘部の入り口が、ダニエルが欲しい、欲しいとヒクつき始めた。
「ダニエルッ!ダニエルッ!!」
もう、ルシウスは彼の宣言通り蕩かさせて、名前を呼ぶことしかできない。
仰向けにされ彼が入ってくるのかと思ったら、今度は指を一本入れられて、丁寧に内壁を愛撫される。
「ンンッツ。アアアッ」
こんな手放しの嬌声を上げているのが、自分とは思えない。
奥にある気持ちのいい部分を優しく散々いじめられ、何度か達しそうになった。
「何で、何でこんなことするんだよぅ」
もう我慢の限界で、泣き事を言うと、ようやくダニエルが入ってきてくれた。
「クリストファーが、お前を鹿の園から連れ出す日、俺にこっそり言った。あの子は、快楽の涙は流すけれど、本当に悲しくて泣いたことはないと思いますって。だから、お前は泣いた方がいい」
伺うようにルシウスの中に入って来たダニエルは、奥まで辿りつくとそのままルシウスを抱きしめ動かない。
じっくりととろ火で煮られるような快楽を長時間与えられ続け、ようやく入ってきてくれたダニエルに、身体は快楽で喜んでいるのに、ダニエルに泣いた方がいいなんていわれて心は妙に熱くなる。
ダニエルは、ルシウスの耳元に顔を埋め言った。
「親であるケビンに裏切られて、悲しかったな。苦労して鹿の園の王になったのに、手紙も迎えも来なくて悲しかったな」
「……止めてよ、ダニエル」
「おまけに、お前にとっては希望の光みたいに大切な約束を忘れられていて悲しかったな」
「止めてったらっ」
「議会から脱出したお前をすぐに迎えに行ってやれなくてごめんな。その後も、冷たくした。悪かった」
「ダニエルッ、ボクを泣かそうなんて……」
ルシウスは、身体の奥底からこみ上げてきた悲しさを散らそうと歯を食いしばる。
すると、ダニエルがゆらりと腰を揺らした。
「ほら、泣けよ」
そして、いつもの激しさで一気にルシウスを責めたててくる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】人型兵器は電気猫の夢を見るか?

有喜多亜里
BL
【猫キチ男が猫型ロボットを撫で回している、なんちゃってスペースファンタジー(コメディ寄り)】 別宇宙から現れて軍艦を襲う〝何か〟。その〝何か〟に対抗するため、天才少年博士ナイトリーは四体の人型兵器を作り、銀河系を四分する各勢力にパイロット供出を要請した。だが、二年後のある日、ナイトリーは謎の死を遂げてしまう。周囲は頭を抱えるが、パイロットの一人・カガミが飼っている猫型ロボットの中にナイトリーの記憶の一部が潜んでいた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

消えない思い

樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。 高校3年生 矢野浩二 α 高校3年生 佐々木裕也 α 高校1年生 赤城要 Ω 赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。 自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。 そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。 でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。 彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。 そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん
BL
享年59歳、ハッピーエンドで人生の幕を閉じた大樹は、生前の善行から神様の幹部候補に選ばれたがそれを断りあの世に行く事を望んだ。 しかし自分の人生を変えてくれた「アルバード英雄記」がこれから起こる未来を綴った予言書であった事を知り、その本の主人公である呪われた英雄<レオンハルト>を助けたいと望むも、運命を変えることはできないときっぱり告げられてしまう。 しかしそれでも自分なりのハッピーエンドを目指すと誓い転生───しかし平凡の代名詞である大樹が転生したのは平凡な平民ではなく……? 少年マンガとBLの半々の作品が読みたくてコツコツ書いていたら物凄い量になってしまったため投稿してみることにしました。 (後に)美形の英雄 ✕ (中身おじいちゃん)平凡、攻ヤンデレ注意です。 文章を書くことに関して素人ですので、変な言い回しや文章はソッと目を滑らして頂けると幸いです。 また歴史的な知識や出てくる施設などの設定も作者の無知ゆえの全てファンタジーのものだと思って下さい。

君に望むは僕の弔辞

爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。 全9話 匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意 表紙はあいえだ様!! 小説家になろうにも投稿

後輩に嫌われたと思った先輩と その先輩から突然ブロックされた後輩との、その後の話し…

まゆゆ
BL
澄 真広 (スミ マヒロ) は、高校三年の卒業式の日から。 5年に渡って拗らせた恋を抱えていた。 相手は、後輩の久元 朱 (クモト シュウ) 5年前の卒業式の日、想いを告げるか迷いながら待って居たが、シュウは現れず。振られたと思い込む。 一方で、シュウは、澄が急に自分をブロックしてきた事にショックを受ける。 唯一自分を、励ましてくれた先輩からのブロックを時折思い出しては、辛くなっていた。 それは、澄も同じであの日、来てくれたら今とは違っていたはずで仮に振られたとしても、ここまで拗らせることもなかったと考えていた。 そんな5年後の今、シュウは住み込み先で失敗して追い出された途方に暮れていた。 そこへ社会人となっていた澄と再会する。 果たして5年越しの恋は、動き出すのか? 表紙のイラストは、Daysさんで作らせていただきました。

処理中です...