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第十三章 ルシウス

252:……誘わわれるとか、無いから

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「じゃあ、どういう関係?暴徒で溢れてた議会から脱出した君を迎えに来る王太子と、彼に泣きながら駆け寄っていって口づけするオールドドメインって?説明して欲しいんだけど」
ソファーの隅に逃げていくバロンを、ルシウスは迫った。
「説明ってそんな」
「ねえ、もう寝た?殿下って凄そう」
「凄いって、い、一体、何を言ってるの、ルシウス」
「あれ、動揺するってことは、殿下のそういう秘めたる部分を知っているってこと?うーん、ボクの想像上、殿下はテクニシャンではなさそうだけど、軍人だし、身体のパーツパーツが凄そう。きっとさあ、バロンを喜ばす部分も、デカいよね」
「もう、止めてっ!!本当に止めてっ!!」
バロンは、聞きたくないというように耳を塞いだ。
「……あれ?何、そのウブウブな態度?全くの未遂?口づけは?ペッティング?手淫は?口淫は?」
「アアアアアアアッー、もう、止めて」
バロンの頬が、一気に赤く染まっていく。
「うわっ、顔、真っ赤!本当に恥ずかしいんだ?だから、ここは引かずに聞くよ、聞いちゃうよ。君だって鹿の園最長の王のルシウス様に、殿下との夜のことを相談したいんじゃないのかい?」
すると、チラッとバロンがルシウスを見た。
この手の話題、興味がないことはないらしい。
ルシウスは、ピトッとバロンに後ろから抱き付いた。
過剰に筋肉がついた、エドワードやラリーと違って、バロンの体はムチッとしていて触ると気持ちがいい。
一番、ダニエルに近い。
「で、どこまでしたの??」
「口づけ……とか」
「は?」
ルシウスは、バロンに抱き付いたまま顔を覗き込んだ。
「ちょっと聞くけど、いや、敢えて聞くけど。バロン、君の前職は?」
「……鹿の園の男娼」
「だよねー。そうだよねー。最下位の騎士クラスだったとしても、君は肌を重ねるプロだったわけだよねー?なのに、口づけだけってどういうこと?」
「だけじゃない。殿下の少し触らせて貰った。……凄かった」
告白を聞いてルシウスは、バッとバロンから手を離した。
「ウフォーフォー!野生のグリズリーの股間触ったんだ~。ゆーうーきーあーるぅー!」
「からかわないでよ!相談に乗ってくれるって言うから、打ち明けたのに!」
「分かった、分かった。真剣に相談に乗るって」
「もう、いいよ。どうせ、そういう時は来ないんだから」
「ん?そういう時ってどういう時?」
「……」
バロンが沈黙してしまったので、ルシウスはポンッと手を打つ。
「ああ、殿下と身体を重ねるときねー」
「分かっているなら、わざわざ言わないで」
余りにも恥ずかしいのか、バシバシとバロンはルシウスを叩いてくる。
「痛てっ。そんなに怒らないでよ。野生のグリズリーと君がしたいなら、さっさとすればいいだろう?何、誘われ待ち?じゃあ、こう、指を咥えて、殿下~って」
からかうと、分かりやすくバロンはズンとへこむ。
「……誘わわれるとか、無いから」
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