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第十二章 ベリル
247:勃たない?硬くならないってことか?
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「もう駄目」
アーサーはクルリと身体を反転させ、ベリルを抱き込んだ。
しかし、そこから髪を撫でたり頬を擦ったりするだけで、なかなか先に進まない。
こちらは、貸金庫で唇を重ねたとき以来、ずっと切ない思いをしているというのに。
下半身を絡めると、アーサーの腰が逃げていった。
「なあ、アーサー。もしかして、これで終わり?オレ、ルシウスから口づけのことしか聞いていないからちゃんとは分かっていないんだけど、もっと先があるはずだよな?」
「……分からない」
枕に顔を埋め、アーサーが答えた。
「分からないって何でだ?ルシウスが、アーサーは鹿の園で何千夜も過ごしているから、何も心配ないって」
「君との肌の重ね方が分からないんだよ」
「え……?」
ブランケットをはねのけて起き上がったアーサーは、神妙な面持ちで言った。
「初めてなんだ」
「何が?」
と言いながらベリルも起き上がる。
二人して、ベッドの上で向かい合った。
アーサーが、俯きながら言う。
「だから、その、肌を重ね合わすのが」
「こんなときに、変な冗談言うなよ」
ベリルがアーサーの膝をポンポンと叩くと、アーサーはますます俯いてしまう。
「本当に初めてなんだ。その、君とは……」
「はい?」
ベリルの頭の中にクエスチョンマークが大量に浮かぶ。
「待て待て、アーサー。オレたちは、鹿の園で出会ったんだろう?鹿の園は肌を重ねる場所なんだろう?じゃあ、初めてなわけ……」
「本当にしていないんだ。一度も。出会ったとき、他の客の抱かれた直後の君がベランダで『こんなの嫌だ』て泣いていたから。君によく思われたくて、鹿の園では一度も肌を重ねたことはない」
アーサーは、ますます頭を垂れる。
「僕は、確かに鹿の園で何千夜も過ごしてきた。十三才の頃には、肌を重ね方も知っていたし、その手のことには早熟だった。けど、恋はしたことがなくて。何言っているんだって君に叱られるかもしれないけれど、初恋の相手は君だった。だから、手を出せなかった」
アーサーの告白を聞いていて、ベリルの顔が熱くなる。
「遊び人って散々イメージづけておいて、それはないだろう。めちゃめちゃ、純粋じゃないか」
「だから、緊張してしまって」
これでは、どちらが初体験するのか分からない。
ベルルは、笑いながらアーサーに抱き付いた。
「そういうとこ、めちゃめちゃ好きだ」
膝の上に跨ってぴったりと身体をくっつけ、背中を叩く。
「そう言って貰えてすごく嬉しいんだけど、今夜の僕は使い物にならない」
アーサーは片腕でベリルを抱き寄せながら、もう片方の手で臀部を触った。
「僕のを、君のここに入れて抱き合うわけだけど、緊張して勃たない」
だから、今日は横になろうとアーサーが跳ね上げたブランケットを引っ張り上げて、ベリルを抱いたままベッドに横たわった。
「勃たない?硬くならないってことか?」
ベリルがアーサーの下半身を探ろうとすると、アーサーの腰がまた逃げていく。
アーサーはクルリと身体を反転させ、ベリルを抱き込んだ。
しかし、そこから髪を撫でたり頬を擦ったりするだけで、なかなか先に進まない。
こちらは、貸金庫で唇を重ねたとき以来、ずっと切ない思いをしているというのに。
下半身を絡めると、アーサーの腰が逃げていった。
「なあ、アーサー。もしかして、これで終わり?オレ、ルシウスから口づけのことしか聞いていないからちゃんとは分かっていないんだけど、もっと先があるはずだよな?」
「……分からない」
枕に顔を埋め、アーサーが答えた。
「分からないって何でだ?ルシウスが、アーサーは鹿の園で何千夜も過ごしているから、何も心配ないって」
「君との肌の重ね方が分からないんだよ」
「え……?」
ブランケットをはねのけて起き上がったアーサーは、神妙な面持ちで言った。
「初めてなんだ」
「何が?」
と言いながらベリルも起き上がる。
二人して、ベッドの上で向かい合った。
アーサーが、俯きながら言う。
「だから、その、肌を重ね合わすのが」
「こんなときに、変な冗談言うなよ」
ベリルがアーサーの膝をポンポンと叩くと、アーサーはますます俯いてしまう。
「本当に初めてなんだ。その、君とは……」
「はい?」
ベリルの頭の中にクエスチョンマークが大量に浮かぶ。
「待て待て、アーサー。オレたちは、鹿の園で出会ったんだろう?鹿の園は肌を重ねる場所なんだろう?じゃあ、初めてなわけ……」
「本当にしていないんだ。一度も。出会ったとき、他の客の抱かれた直後の君がベランダで『こんなの嫌だ』て泣いていたから。君によく思われたくて、鹿の園では一度も肌を重ねたことはない」
アーサーは、ますます頭を垂れる。
「僕は、確かに鹿の園で何千夜も過ごしてきた。十三才の頃には、肌を重ね方も知っていたし、その手のことには早熟だった。けど、恋はしたことがなくて。何言っているんだって君に叱られるかもしれないけれど、初恋の相手は君だった。だから、手を出せなかった」
アーサーの告白を聞いていて、ベリルの顔が熱くなる。
「遊び人って散々イメージづけておいて、それはないだろう。めちゃめちゃ、純粋じゃないか」
「だから、緊張してしまって」
これでは、どちらが初体験するのか分からない。
ベルルは、笑いながらアーサーに抱き付いた。
「そういうとこ、めちゃめちゃ好きだ」
膝の上に跨ってぴったりと身体をくっつけ、背中を叩く。
「そう言って貰えてすごく嬉しいんだけど、今夜の僕は使い物にならない」
アーサーは片腕でベリルを抱き寄せながら、もう片方の手で臀部を触った。
「僕のを、君のここに入れて抱き合うわけだけど、緊張して勃たない」
だから、今日は横になろうとアーサーが跳ね上げたブランケットを引っ張り上げて、ベリルを抱いたままベッドに横たわった。
「勃たない?硬くならないってことか?」
ベリルがアーサーの下半身を探ろうとすると、アーサーの腰がまた逃げていく。
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