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第八章 ルシウス

190:私がスクリーニングを受けていないと、何を持って判断しました?

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「お願いしますっ」
「……」
喋らなくなった彼はいよいよ恐ろしい。
ルシウスは、焦り始める。
「ねえ、クリストファー。ごめんってば」
必死で謝る。
「……ごめんなさい」
「素直な、貴方は可愛いです」
ようやくクリストファーが喋ってくれた。
「え?何、急に」
褒められるとは思っていなかったルシウスは、ガラにもなくドギマギする。
完全にクリストファーの術中にハマっていると分かっているのに、自分の心をコントロールできない。
「きつそうで、生意気そうで、手におえなそうが貴方の第一印象。けどね、そんな子が実はベッドの中では素直だったら、嬉しいものでしょう?自分だけがこの生意気なドメインを支配している気分になるはずです」
「ボク、散々の言われようじゃない?」
「褒めています」
「分かったよ、従順にね」
すると、クリストファーが薄く笑った。
「さっき、バロンが来たでしょう」
「さあ?誰」
「隠しても無駄です。万年最下位の騎士ランクなのに、自分のライバルになるはずのデビュー前の新人を気にしちゃって」
「昔と変わらずってこと?」
「何が言いたいのですか?」
怖いがルシウスは勇気を出した。
腹に力を入れたが、声が震えていた。
「……バロンは、よく自分が貰ったおやつを食べずにボクたちにくれたよね。いつも他のドメインが優先だった」
「何のことです?」
「バロンはスクリーニングを受けて記憶がないが分かる。でも、クリストファーは、ラボでの記憶があるよね?もしかして、本当はスクリーニングを受けていない?」
クリストファーが、ルシウスの身体を人差し指でツッと触った。
「こんなに身体を震わせて。私にこのことを聞くのが、怖くて堪らないのでしょう?逆鱗に触れたら、貴方はどうなるかわかりませんものね」
「そうだけど……聞きたい」
「私がスクリーニングを受けていないと、何を持って判断しました?」
聞かれてルシウスは、握手や、ケビンの話題が出たときバスローブの脱がし方が少し乱暴だったことを告げる。
すると、クリストファーが笑った。
「なるほど。でも、私はスクリーニングは確かに受けましたよ。記録も残っています」
「じゃあ、何で?」
クリストファーは、質問に答えず、天井から垂れるいくつかの紐を引いて四本の輪を垂らした。
そしてルシウスの戒めをほどくと、今度は頑丈な鉄の手枷をはめる。
それを四本の輪にくくり付けられた。
クリストファーがまた紐を引く。
すると、ルシウスの身体がベッドから浮き上がった。
ベッドに立ったまま、クリストファーがルシウスの臀部を支える。
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