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第七章 ラリー
173:ルシウスの件、十分だけ時間をくれ、考える
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ラリーは、クリストファーの襟首を掴んだ。
「じゃあ、なぜ、ルシウスを危険な目に遭わせようとする??配送ドローンのことを貴方は知らなかったが、ルシウスがケビン相手に何かやらかそうとしていることは分かっていたはずだ。ルシウスが憎いからか?」
すると、クリストファーが目を瞑る。
「どちらかというと、力のない私に変わって復讐してほしかったんだと思います」
ラリーは、通信機にスイッチを押し「今すぐ戻れ!ルシウスッ」と叫ぶ。しかし、向うからは無反応だ。
「お前には、ダニエル元伯爵がいるだろうっ!!」
通信機に向かって叫ぶラリーに、クリストファーがフッと笑う。
そして、ソファーから立ち上がって、ラリーの傍までやってくると、通信機をかけていない方の耳に向かって囁いた。
「愛と憎悪は別物です」
身体中の血が凍るような、冷たい声だった。
「ルシウスの行き先はどこだ?ケビンの館か?」
「議会です」
クリストファーを押しのけラリーは今度は、エドワードに通信した。
こんな時間だ、寝ているだろうかと思ったら、数コールで彼が出た。
『どうした?』という声がはっきりしている。
「殿下。大変なことになってしまいました」
『何だ、急に』
「黒幕はやはりケビン首相です。その彼のもとに、ルシウスが乗り込みました。彼の過去を暴露するUSBスティック、九千九百九十九個を配送ドローンにくくりつけ、いつでもクラッシックシティーにバラまける準備をしています」
『ルシウスが、ケビンの元に?」
エドワードの怪訝な声とともに、女性の叫び声が聞こえた。
『アン女王っ。アン女王っ』
「あの……どうされたんですか?日中、殿下の部屋に伺ったときは、お加減が良くないと」
『ああ、いま、重篤な状態に陥っている』
エドワードの声は、今日はいい天気だとでもいうような、感情の籠らなさだった。
「なんですって?」
『ルシウスの件、十分だけ時間をくれ、考える』
通信はプツンと途切れた。
現首相の黒い過去が暴露されるのが先か。
それとも、英国を守って来たアン女王の死が先か。
英国はどうなってしまうのだろう。
ラリーには一分先のことも、予測がつかなかった。
「じゃあ、なぜ、ルシウスを危険な目に遭わせようとする??配送ドローンのことを貴方は知らなかったが、ルシウスがケビン相手に何かやらかそうとしていることは分かっていたはずだ。ルシウスが憎いからか?」
すると、クリストファーが目を瞑る。
「どちらかというと、力のない私に変わって復讐してほしかったんだと思います」
ラリーは、通信機にスイッチを押し「今すぐ戻れ!ルシウスッ」と叫ぶ。しかし、向うからは無反応だ。
「お前には、ダニエル元伯爵がいるだろうっ!!」
通信機に向かって叫ぶラリーに、クリストファーがフッと笑う。
そして、ソファーから立ち上がって、ラリーの傍までやってくると、通信機をかけていない方の耳に向かって囁いた。
「愛と憎悪は別物です」
身体中の血が凍るような、冷たい声だった。
「ルシウスの行き先はどこだ?ケビンの館か?」
「議会です」
クリストファーを押しのけラリーは今度は、エドワードに通信した。
こんな時間だ、寝ているだろうかと思ったら、数コールで彼が出た。
『どうした?』という声がはっきりしている。
「殿下。大変なことになってしまいました」
『何だ、急に』
「黒幕はやはりケビン首相です。その彼のもとに、ルシウスが乗り込みました。彼の過去を暴露するUSBスティック、九千九百九十九個を配送ドローンにくくりつけ、いつでもクラッシックシティーにバラまける準備をしています」
『ルシウスが、ケビンの元に?」
エドワードの怪訝な声とともに、女性の叫び声が聞こえた。
『アン女王っ。アン女王っ』
「あの……どうされたんですか?日中、殿下の部屋に伺ったときは、お加減が良くないと」
『ああ、いま、重篤な状態に陥っている』
エドワードの声は、今日はいい天気だとでもいうような、感情の籠らなさだった。
「なんですって?」
『ルシウスの件、十分だけ時間をくれ、考える』
通信はプツンと途切れた。
現首相の黒い過去が暴露されるのが先か。
それとも、英国を守って来たアン女王の死が先か。
英国はどうなってしまうのだろう。
ラリーには一分先のことも、予測がつかなかった。
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