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第六章 エドワード

135:次期国王に凌辱されかけた、とあいつ、ネットフィリップスあたりに垂れこむだろうか

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本当に長く男娼をやってきたのかと言うほど、バロンの受け方は拙く、壁に押し付けた身体は、棒のように硬くなっている。
舌を入れて、口腔をまさぐると、「ンアッ、殿下、ンアッ」と我慢できない嬌声を漏らしながら、必死にエドワードに呼びかけてくる。
バロンの手が、エドワードの両腕を掴んだ。
指がそこに食い込んでくる。
止めて欲しいという、声にならない意思表示がそこに感じられた。
「すまん」
エドワードは、我に返ってバロンから唇を離す。
彼の目には薄く涙の膜が張っており、直視することができなかった。
茫然としているバロンを置き去りにして、バスルームを出る。
今夜は、全く自分をコントロールできそうにない。
頭を冷やすため、ガウンを羽織ってバルコニーに出た。
外は雪がチラチラと降っている。月が出ているが、雲が多く、ぼんやりとした光を放っていた。
涼んでいると、扉が開く音がして、バロンがバスルームから出て来て、自分の部屋に走って入っていくのが見えた。
傷つけてしまった。
あんなことをするつもりはなかった。
ベリルには湧かなかった罪悪感が、エドワードの心を占拠していく。
「次期国王に凌辱されかけた、とあいつ、ネットフィリップスあたりに垂れこむだろうか」
そう呟いたら、笑えてきた。
なんと不自由な身分だろう。
口づけ一つで、お茶の間の一大ニュースだ。
元々無いようなものだったかった好感度はマイナスにめり込み、きっと首相は「エドワード王太子殿下は次期国王にはふさわしくありませんね。アン女王の続投は続きそうです」と手を叩いて喜ぶ。
全く笑えない状況なのに、エドワードは喉を鳴らして、寝室に向かう。
部屋を暗くしてベッドに横たわり、まだ滾りを残している雄を掴んで、上下させる。銀色の包みは、封を切って傍らに置いておいた。
さっさと出して、ダニエルに渡し、寝てしまおう。
こんな状態では、何一つまともな思考などできない。
「ンッッツ、クッ」
枕を腰に当て、ベッドの背もたれにもたれた。ブランケットで腰を隠しその下で激しく動かすが、なかなか兆しはやってこない。
いつも忙しくて、自慰よりも睡眠時間のほうが優先なエドワードは、他の成人男性より圧倒的に回数が少ない。
かといって、やり方を忘れてしまった訳でもないのに、雄は硬く張り詰めるばかりで、終わりは見えない。
「クッソ。ッツ」
息が荒くなってきた。
もう、出すことしか考えられない。
あと、少しだ。
あと、少しなはずなのに……。
息が乱れ顎を上げて呼吸をしていると、突然、肩を揺さぶられた。
「殿下、あのっ。大丈夫ですか?」
闇の中で、バロンの声がする。
「苦しいのですか?前みたいな過呼吸ですか?」
きっと、声をこらして喘いでいるのを勘違いして、駆け付けたのだ。
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