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第五章 アーサー
125:言うなっ!聞きたくない
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ティーパーティーが済み、アンのヴァレットとなった女性が、銀の箱を取り出しアンに渡した。
開けられたそこには、六つの色違いの宝石が入っていた。
「未来に出会う人のためにペアで」
アーサーとダニエルは顔を見合わせた。
まるで作られたアン女王ではなく、生前のアン王妃のようだ、と。
「指輪を作ろう」
と数か月押し黙っていたエドワードがポツンと言った。
「アーサーは、父親の後を継いで宝石商になるんだろう?だったら、そこで、私はこの宝石を入れ込んだ指輪を作って……」
「エドワード王太子殿下。大切なお話があります」
ヴァレットの女性が話し始めた。
「実は、この方はアン女王ではないのです?」
「どういうことだ?目の前のいるのは、母以外の何者でもないと思うが?」
「ドメインという、アン女王の複製なのです」
「複……製……?」
そして、ヴァレットの女性はアンのベールを捲った。
そこには硬い顔をした女性の顔がある。
「残念なお知らせをするのは心が痛むのですが、あなたのお母様は」
すぐにエドワードは察したようだ。
「言うなっ!聞きたくない」
宝石握りしめ、拳で素早く耳を塞ぐ。
「エドワード王太子殿下。どうか受け入れてください。アン王妃は、核細胞データを我々に託してお亡くなりに。でも、アン女王としてまたこの世に目覚めました。御子息とその友人の未来の相手まで心配できるなんて人間と全然変わらないでしょう?」
ピントのずれたヴァレットの女性の発言に、裏庭はしんとなる。
ヒラヒラ、ヒラヒラと蝶が相変わらず舞っていた。
ブーンと花の蜜を求めてハチがやって来て、エドワードの眼前をかすめていく。
その音で、緊張の糸が切れたのかエドワードの力を失った手から、ポロリ、ポロリと宝石が零れてい地面に紛れていく。
「嘘だっ!嘘だ、嘘だっ、嘘だ。誰か嘘だと言ってくれ!アーサー!ダニエル!頼む」
エドワードからこんな必死な申し出を、アーサーもダニエルも今まで受けたことが無い。
でも、流血している心の傷を塞いでやることはできないのだ。
なぜなら、エドワードの心を傷つけた目の前にいるドメインは、爵位を得たアーサー一家が関与している。そして、ダニエルは、アーサー以上にこのドメインがどうやって作られたのか裏の部分を知っている。
二人して、エドワードを裏切り、深く傷つけたのだ。
「ごめん。エドワードごめん」
放心して空を見上げているエドワードに、アーサーは謝るしかなかった。
空は呆れるほど澄み切っていて、編隊を組んだ軍の飛行機三機が、銀色のボディーを光らせながら猛スピードで飛んでいた。
ジェントルマン・イン・ウエイティングのキースという青年が用意した晩餐会用のスーツを着て、バロンに案内されベリルと一緒に食堂に向かう。
食堂は各国の王族や大使を迎えてパーティなどをする特別な場所で、エドワードの傍付きをしていたアーサーも利用するのは初めてだ。
真っ白いクロスがかけられたテーブルの傍らの椅子に、ダニエルとルシウスが隣り合って座っていた。
アーサーとベリルは、対面の席を案内される。
すでに、テーブルにはカラトリーが並び、シャンパンも用意されてあった。
開けられたそこには、六つの色違いの宝石が入っていた。
「未来に出会う人のためにペアで」
アーサーとダニエルは顔を見合わせた。
まるで作られたアン女王ではなく、生前のアン王妃のようだ、と。
「指輪を作ろう」
と数か月押し黙っていたエドワードがポツンと言った。
「アーサーは、父親の後を継いで宝石商になるんだろう?だったら、そこで、私はこの宝石を入れ込んだ指輪を作って……」
「エドワード王太子殿下。大切なお話があります」
ヴァレットの女性が話し始めた。
「実は、この方はアン女王ではないのです?」
「どういうことだ?目の前のいるのは、母以外の何者でもないと思うが?」
「ドメインという、アン女王の複製なのです」
「複……製……?」
そして、ヴァレットの女性はアンのベールを捲った。
そこには硬い顔をした女性の顔がある。
「残念なお知らせをするのは心が痛むのですが、あなたのお母様は」
すぐにエドワードは察したようだ。
「言うなっ!聞きたくない」
宝石握りしめ、拳で素早く耳を塞ぐ。
「エドワード王太子殿下。どうか受け入れてください。アン王妃は、核細胞データを我々に託してお亡くなりに。でも、アン女王としてまたこの世に目覚めました。御子息とその友人の未来の相手まで心配できるなんて人間と全然変わらないでしょう?」
ピントのずれたヴァレットの女性の発言に、裏庭はしんとなる。
ヒラヒラ、ヒラヒラと蝶が相変わらず舞っていた。
ブーンと花の蜜を求めてハチがやって来て、エドワードの眼前をかすめていく。
その音で、緊張の糸が切れたのかエドワードの力を失った手から、ポロリ、ポロリと宝石が零れてい地面に紛れていく。
「嘘だっ!嘘だ、嘘だっ、嘘だ。誰か嘘だと言ってくれ!アーサー!ダニエル!頼む」
エドワードからこんな必死な申し出を、アーサーもダニエルも今まで受けたことが無い。
でも、流血している心の傷を塞いでやることはできないのだ。
なぜなら、エドワードの心を傷つけた目の前にいるドメインは、爵位を得たアーサー一家が関与している。そして、ダニエルは、アーサー以上にこのドメインがどうやって作られたのか裏の部分を知っている。
二人して、エドワードを裏切り、深く傷つけたのだ。
「ごめん。エドワードごめん」
放心して空を見上げているエドワードに、アーサーは謝るしかなかった。
空は呆れるほど澄み切っていて、編隊を組んだ軍の飛行機三機が、銀色のボディーを光らせながら猛スピードで飛んでいた。
ジェントルマン・イン・ウエイティングのキースという青年が用意した晩餐会用のスーツを着て、バロンに案内されベリルと一緒に食堂に向かう。
食堂は各国の王族や大使を迎えてパーティなどをする特別な場所で、エドワードの傍付きをしていたアーサーも利用するのは初めてだ。
真っ白いクロスがかけられたテーブルの傍らの椅子に、ダニエルとルシウスが隣り合って座っていた。
アーサーとベリルは、対面の席を案内される。
すでに、テーブルにはカラトリーが並び、シャンパンも用意されてあった。
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