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第五章 アーサー
102:エドワードに、そろそろ返そうと思ってね
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お得意様からの通信で、暫く離席をしていたアーサーがベリルの部屋に戻ると、机に置いたタブレットの位置が少しずれていた。
鑑定をするときは、宝石を失くしたり傷付けたりしないよう、ルーペやピンセットの位置が決まっている。
タブレットはベリルに教えるために図で示したりするために使うので、アーサーはいつも机の左端に置いていた。
余り隅に置きすぎると落としてしまうので、三センチ手前に置くと決めている。その幅が半分ほどになっていた。
隣りに座るベリルに、アーサーは声を掛ける。
「ベリル。僕の部屋に、アン女王から貰った銀の箱があるから持って来てくれないかな?」
すぐにベリルが椅子から腰を浮かした。
「この前、隣家を訪問するとき、それもトランクに入れたんだっけ?」
「ううん。僕が先日、持ち帰ってきたんだ」
「ずっと、貸金庫に入れっぱなしだったのに?」
「エドワードに、そろそろ返そうと思ってね」
アーサーが静かに笑うと、「どうして、そんなに申し訳なさそうな顔するんだよ」とベリルが困った顔をした。
「僕と、幼馴染二人がアン女王から貰ったって、アーサー、言ったじゃないか。幼馴染二人のうちの一人が、エドワードって人だろ?嫌いな人なら、幾ら小さい頃の知り合いでも、幼馴染なんてわざわざ言わない。じゃあ、仲が良かったってことだろ?なのにその顔」
「ごめん。どう説明したらいいんだろうね」
「説明を避けるってことは、オレ、また、壊れちゃうってこと?でも、今度のオレは強いよ。根拠なんかないけど、絶対に大丈夫。アーサーのことだって、守る」
「ヘヘッ」と照れ顔で笑って、椅子に座るアーサーの後ろに回ったベリルは、背中にぎゅっと抱き付いてくる。
鑑定をするときは、宝石を失くしたり傷付けたりしないよう、ルーペやピンセットの位置が決まっている。
タブレットはベリルに教えるために図で示したりするために使うので、アーサーはいつも机の左端に置いていた。
余り隅に置きすぎると落としてしまうので、三センチ手前に置くと決めている。その幅が半分ほどになっていた。
隣りに座るベリルに、アーサーは声を掛ける。
「ベリル。僕の部屋に、アン女王から貰った銀の箱があるから持って来てくれないかな?」
すぐにベリルが椅子から腰を浮かした。
「この前、隣家を訪問するとき、それもトランクに入れたんだっけ?」
「ううん。僕が先日、持ち帰ってきたんだ」
「ずっと、貸金庫に入れっぱなしだったのに?」
「エドワードに、そろそろ返そうと思ってね」
アーサーが静かに笑うと、「どうして、そんなに申し訳なさそうな顔するんだよ」とベリルが困った顔をした。
「僕と、幼馴染二人がアン女王から貰ったって、アーサー、言ったじゃないか。幼馴染二人のうちの一人が、エドワードって人だろ?嫌いな人なら、幾ら小さい頃の知り合いでも、幼馴染なんてわざわざ言わない。じゃあ、仲が良かったってことだろ?なのにその顔」
「ごめん。どう説明したらいいんだろうね」
「説明を避けるってことは、オレ、また、壊れちゃうってこと?でも、今度のオレは強いよ。根拠なんかないけど、絶対に大丈夫。アーサーのことだって、守る」
「ヘヘッ」と照れ顔で笑って、椅子に座るアーサーの後ろに回ったベリルは、背中にぎゅっと抱き付いてくる。
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