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第四章 ダニエル

90:……オールドドメインが人間を囲うのか?

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またダニエルの顎を力任せに離したルシウスが、今度は両手でドンッとダニエルの胸を押してきた。
ベッドにあおむけになったダニエルに、ルシウスが乘ってくる。
ダニエルは、ベルトを強引に外され、履いていたズボンを無理やり脱がされた。
ウエストのボタンが弾け飛んで、「ひゃっあっ」と悲鳴を上げる。
「なんて悲鳴をあげてんだい。おっかしい!これじゃあ、どっちが抱かれる側なのか分からないね」
瞳を冷たく光らせて、ルシウスが笑っている。
しかし、手は止らず、シャツを左右に割ってダニエルの肌を露わにしていく。
「待て、待て待て待てっ!」
「何で?」
身体を倒してダニエルの胸にしなだれかかりながら、ルシウスが言う。
ダニエルの心臓がこれまでにないほど、動悸を激しくしていた。
ベッドに投げ出された手が、ダニエルを抱きしめたいと上下し落ち着きを無くし始めている。全てお見通しだというように、その様子をルシウスが見ていた。
「スーツ……。友人のだ」
ダニエルは、必死で話題を捻り出す。
「借りたの?」
「ああ。俺は、その、うん、そうだ、一般人で、しかも、アルバイトだ」
「へえ。そう」
「貧乏客には興味が無いね」と返してくるかと思ったのに、ルシススは自分が着ているシャツのリボンを解き始める。
「じゃあ、ボクが囲ってあげようか?」
「……オールドドメインが人間を囲うのか?」
「怒った?けど、鹿の園は何でもありな場所だから」
シャツと膝丈までのズボン、それにソックスを脱いだルシウスが、肢体をダニエルに晒す。
「止めろって言ってんだろ」
ダニエルは言葉とは裏腹に、ルシウスを抱きしめていた。
唇が重なる。
電気でも走ったかのように、快感が身体中に広がって、身もだえしそうになる。
爵位持ち、王立細胞研究所勤務。
肩書とそこそこの見た目で、口づけする相手に事欠かなかった。なのに、ルシウスとの口づけはファーストキスより痺れる。
口の相性というものがあれば、多分、群を抜いていいい。
ウソだろう?
人間とドメインだぞ?
極端なことをいえば、俺がこいつを作ったようなもんなんだぞ?
ルシウスがダニエルの頭を抑え込み、息継ぎの合間に言う。
「……思った……通り。君はっ、運命の相手っていう、陳腐な存在」
出会った直後からルシウスも、吸引力のような何かを感じ取っていたらしい。
その吸引力にルシウスは積極的に近づいて来て、ダニエルはそれから逃れようとしていた。
でも、もう無理だ。
脱ぎかけのシャツや靴下を、ルシウスと口づけをかわしたまま脱いでいく。
シャツを脱ぐとき、あまりにも早く抱き合いたい焦りから、ビリッと音がした。借り物という事実もダニエルの頭からすっ飛んでいた。
お互いの身体を触り合い、舐め合う。
どこにも口づけていないところなどないくらい、ルシウスの身体に印をつけてく。
細い雄も、秘部も、まるで甘いデザートを堪能するかのように、味わっていく。
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