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第三章 エドワード
79:あ、イライラしています?じゃあ、本題に入ります
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エドワードがまた戻ってくることに安心したのか、バロンは少しはにかみながら、「分かりました」と答えた。
エドワードが廊下に出ると、ラリーがタブレット越しに話しかけてきた。
『今の声、ヴァレット君ですか?こんな夜更けまでお二人で何を?』
「ヴァレットなんだから、夜だろうが、朝だろうが一緒にいておかしくないだろう。だが、お前の姿が煽情的過ぎて見せられないので、私だけ移動中だ」
『本当にヴァレットの役割を果たさせているんですねえ。形だけかと思っていました』
「当初はそのつもりだった」
『僕も貴方に拾われたのに、あちらはヴァレット、こちらは王立警ら隊としてこき使われ待遇は天と地の差だ』
ラリーは少年男娼二人を引きよせて、額に素早く口づけを落とす。キャッキャッと笑い声が上がった。
そして、ラリーは少年二人を寝室から下がらせた。
ベッドの脇にタブレットをたてかけ、エドワードに身体を見せつけるようにゆうゆうとローブを羽織る。
「偽造カードを作るから待てと言ったのに、勝手に潜入しやがって。他の任務はどうした?隊長のバーンをまた上手く丸めこんだな?」
『丸め込んだなんて、そんな!品行方正な人間であるバーン隊長が鹿の園に潜入したら王立警ら隊の面子が潰れてしまいます!そこで、オールドドメインの僕が涙を飲んで』
「分かった分かった。心にもないこと言うのを止めろ。で、用件はなんだ?」
『いや~。鹿の園に潜入する前に、シファーチェ周辺を調べたら結構面白いことが分かりまして、潜入を早めたんですよ』
「ほう。期待して聞こうじゃないか」
『消えたシファーチェとアーサー伯爵のお話、始まり始まり』
「なぜ、その二人が繋がる?」
『まあ、落ち着いて聞いて下さい。殿下はアーサー伯爵は、十五才から鹿の園通いをしていたとおっしゃいましたね。彼の周辺の人々に聞いてみたら、通ってたんじゃなく、住んでいたんだと言う人がほとんどでした』
「その通りだ。一人で夜を過ごすのが嫌だったんだろう。バロンみたいにヴァレットにして、いつも一緒にいればそのようなことも無かったかもしれないがな」
『殿下。アーサー伯爵が貴方を身を挺して守ったからといって責任を感じすぎでは?アーサー伯爵が寂しいと言えば、床まで共にするつもりだったんですか?彼は細身ですが身長がありますし、殿下は軍で鍛えているから大柄。キングサイズのベッドでも大の男二人が寝れば狭いですし、見た目的にもムサいような。ああ、でも、ヴァレット君もかなり身長がありますよね』
「お前は、何が言いたいんだ?」
『あ、イライラしています?じゃあ、本題に入ります。結論として、アーサー伯爵は、鹿の園に依存していたんでしょう。ですが、宿泊記録を調べるとヴァレット君の放火事件以降、一度も足を運んでいないんですよ』
「一度も?」
エドワードは眉根を曇らせる。
『そうです。一度もです。とすると、別の依存先を見つけたと考えるのが妥当ですよね。放火事件以前のアーサー伯爵の男娼指名履歴を追ってみると、三か月ほど前から同じ男娼を集中的に指名しています。それまでは鹿の園の受付係に、指名のつかないあぶれてしまった男娼を勧められ夜を過ごしていたようなので、明らかにお気に入りの男娼です。はっきりいってリッチモンド伯爵との取り合いで』
「リッチモンド?もしかして、アーサーが気にいった男娼が、シファーチェということか?」
『御名答!そして、これがシファーチェです。殿下にシファーチェの写真を送って』
ポンッと音がして、エドワードのタブレットの下部に写真が映し出された。
エドワードが廊下に出ると、ラリーがタブレット越しに話しかけてきた。
『今の声、ヴァレット君ですか?こんな夜更けまでお二人で何を?』
「ヴァレットなんだから、夜だろうが、朝だろうが一緒にいておかしくないだろう。だが、お前の姿が煽情的過ぎて見せられないので、私だけ移動中だ」
『本当にヴァレットの役割を果たさせているんですねえ。形だけかと思っていました』
「当初はそのつもりだった」
『僕も貴方に拾われたのに、あちらはヴァレット、こちらは王立警ら隊としてこき使われ待遇は天と地の差だ』
ラリーは少年男娼二人を引きよせて、額に素早く口づけを落とす。キャッキャッと笑い声が上がった。
そして、ラリーは少年二人を寝室から下がらせた。
ベッドの脇にタブレットをたてかけ、エドワードに身体を見せつけるようにゆうゆうとローブを羽織る。
「偽造カードを作るから待てと言ったのに、勝手に潜入しやがって。他の任務はどうした?隊長のバーンをまた上手く丸めこんだな?」
『丸め込んだなんて、そんな!品行方正な人間であるバーン隊長が鹿の園に潜入したら王立警ら隊の面子が潰れてしまいます!そこで、オールドドメインの僕が涙を飲んで』
「分かった分かった。心にもないこと言うのを止めろ。で、用件はなんだ?」
『いや~。鹿の園に潜入する前に、シファーチェ周辺を調べたら結構面白いことが分かりまして、潜入を早めたんですよ』
「ほう。期待して聞こうじゃないか」
『消えたシファーチェとアーサー伯爵のお話、始まり始まり』
「なぜ、その二人が繋がる?」
『まあ、落ち着いて聞いて下さい。殿下はアーサー伯爵は、十五才から鹿の園通いをしていたとおっしゃいましたね。彼の周辺の人々に聞いてみたら、通ってたんじゃなく、住んでいたんだと言う人がほとんどでした』
「その通りだ。一人で夜を過ごすのが嫌だったんだろう。バロンみたいにヴァレットにして、いつも一緒にいればそのようなことも無かったかもしれないがな」
『殿下。アーサー伯爵が貴方を身を挺して守ったからといって責任を感じすぎでは?アーサー伯爵が寂しいと言えば、床まで共にするつもりだったんですか?彼は細身ですが身長がありますし、殿下は軍で鍛えているから大柄。キングサイズのベッドでも大の男二人が寝れば狭いですし、見た目的にもムサいような。ああ、でも、ヴァレット君もかなり身長がありますよね』
「お前は、何が言いたいんだ?」
『あ、イライラしています?じゃあ、本題に入ります。結論として、アーサー伯爵は、鹿の園に依存していたんでしょう。ですが、宿泊記録を調べるとヴァレット君の放火事件以降、一度も足を運んでいないんですよ』
「一度も?」
エドワードは眉根を曇らせる。
『そうです。一度もです。とすると、別の依存先を見つけたと考えるのが妥当ですよね。放火事件以前のアーサー伯爵の男娼指名履歴を追ってみると、三か月ほど前から同じ男娼を集中的に指名しています。それまでは鹿の園の受付係に、指名のつかないあぶれてしまった男娼を勧められ夜を過ごしていたようなので、明らかにお気に入りの男娼です。はっきりいってリッチモンド伯爵との取り合いで』
「リッチモンド?もしかして、アーサーが気にいった男娼が、シファーチェということか?」
『御名答!そして、これがシファーチェです。殿下にシファーチェの写真を送って』
ポンッと音がして、エドワードのタブレットの下部に写真が映し出された。
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