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第三章 エドワード
66:……エドワード。久しぶり
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「それは、私もすでに調べている。議員活動だって、一にワイロ、二にワイロだ。相当配りまくっているだろう。しかも一般人の家柄で、しかも軍人から議員になってあそこまで出世する男も珍しい」
「なかなか尻尾を掴めませんね」
「お前は、あいつに尻尾があると思っているのか?」
「中国には、尻尾が九本ある狐がいるそうです。神獣とも言われる一方、悪狐とも言われています。ドメイン共存派のケビン首相と、ドメイン嫌悪派の殿下では尻尾の数を確認したらどっちが多いでしょうね?」
「ドメイン嫌悪派?ああ、そう言えば、お前もドメインだったな。すまん、たまに忘れてしまう」
「ああ、これは、殿下の方がケビン首相の倍も尻尾の数が多そうだ」とラリーは肩をすくめた。
「そういえば、殿下のヴァレット君は?近待になったのだから、ぴったり傍に張りつかせていると思いましたが」
「バロンのことか?調子を崩している。今朝は、業務につけると言っていたんだがな」
その中には、ラボで口づけしかけたことも入っているのではないかと思うと、エドワードは少し責任を感じる。
あの時は、言葉では表現できない雰囲気が二人の間に流れ、口づけをかわしかけた。例えるなら、逆方向を向いていたベクトルが揃ったみたいな感じだった。
「随分、気に入られているみたいですね。大柄なムチッとした子が好みだったとは。僕も体脂肪を少し増やそうかな」
ラリーは、手首の皮膚を摘みながら執務机を回って、椅子にもたれるエドワードの前に立った。
「私は、バロンを男娼として使ってなどいない」
「分かってますよ。だから、そんなに雄臭い顔をしているんでしょう?」
指摘されてエドワードは、顔を抑える。
すると、ラリーが跪いてエドワードのベルトに手を伸ばしてきた。
「今日のところは……」
「え?いいんですか?僕、時間空いてますけど」
ラリーは色んなことに察しのいい男だが、特に、エドワードの性欲が高まったときは抜群の勘を発揮する。
そして、スポーツでもするみたいに、気軽に誘って来る。
といっても、身体を重ねる訳ではなく、エドワードの雄を口淫したり手淫したりして、あっという間に精を発散させる。
しかし、今日のラリーは違うようで、エドワードが達しそうになると口を離し、寸止めを何度かした。
たまらずエドワードは、口淫するラリーの髪を掴む。
「すまん。だが……」
気持ちがいいくせに、いつまでもグダグダ言い訳するなというように奥まで咥えられて、エドワードはのけ反った。
声が漏れそうになる。
「ンッ……。クッ」
歯を食いしばると、微かに扉が閉まった音がした。
目をやっても誰もいない。
勘違いか。
ラリーに視線を戻すと、彼はエドワードを伺っていて、よそ見した罰だとでもいうようにさらに深く咥えてきた。
「アーサー。私だ。まだ、通信機器のコード番号、変わっていないようだな」
『……エドワード。久しぶり』
「なかなか尻尾を掴めませんね」
「お前は、あいつに尻尾があると思っているのか?」
「中国には、尻尾が九本ある狐がいるそうです。神獣とも言われる一方、悪狐とも言われています。ドメイン共存派のケビン首相と、ドメイン嫌悪派の殿下では尻尾の数を確認したらどっちが多いでしょうね?」
「ドメイン嫌悪派?ああ、そう言えば、お前もドメインだったな。すまん、たまに忘れてしまう」
「ああ、これは、殿下の方がケビン首相の倍も尻尾の数が多そうだ」とラリーは肩をすくめた。
「そういえば、殿下のヴァレット君は?近待になったのだから、ぴったり傍に張りつかせていると思いましたが」
「バロンのことか?調子を崩している。今朝は、業務につけると言っていたんだがな」
その中には、ラボで口づけしかけたことも入っているのではないかと思うと、エドワードは少し責任を感じる。
あの時は、言葉では表現できない雰囲気が二人の間に流れ、口づけをかわしかけた。例えるなら、逆方向を向いていたベクトルが揃ったみたいな感じだった。
「随分、気に入られているみたいですね。大柄なムチッとした子が好みだったとは。僕も体脂肪を少し増やそうかな」
ラリーは、手首の皮膚を摘みながら執務机を回って、椅子にもたれるエドワードの前に立った。
「私は、バロンを男娼として使ってなどいない」
「分かってますよ。だから、そんなに雄臭い顔をしているんでしょう?」
指摘されてエドワードは、顔を抑える。
すると、ラリーが跪いてエドワードのベルトに手を伸ばしてきた。
「今日のところは……」
「え?いいんですか?僕、時間空いてますけど」
ラリーは色んなことに察しのいい男だが、特に、エドワードの性欲が高まったときは抜群の勘を発揮する。
そして、スポーツでもするみたいに、気軽に誘って来る。
といっても、身体を重ねる訳ではなく、エドワードの雄を口淫したり手淫したりして、あっという間に精を発散させる。
しかし、今日のラリーは違うようで、エドワードが達しそうになると口を離し、寸止めを何度かした。
たまらずエドワードは、口淫するラリーの髪を掴む。
「すまん。だが……」
気持ちがいいくせに、いつまでもグダグダ言い訳するなというように奥まで咥えられて、エドワードはのけ反った。
声が漏れそうになる。
「ンッ……。クッ」
歯を食いしばると、微かに扉が閉まった音がした。
目をやっても誰もいない。
勘違いか。
ラリーに視線を戻すと、彼はエドワードを伺っていて、よそ見した罰だとでもいうようにさらに深く咥えてきた。
「アーサー。私だ。まだ、通信機器のコード番号、変わっていないようだな」
『……エドワード。久しぶり』
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