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第ニ章 ベリル
54:スクリーニングは、オールドドメインに所有者が飽きて売るときは必ずされる行為なんだし
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ベリルの声が震える。
ようやくアーサーのことが信じられかけてきたのに。
こんな、結末ってない。
「でも、オレ、そんな、アーサー知らない。朝寝坊でなかなか起きて来なかったり、オレの一言でシュンとしちゃったりする、ちょっとダメなアーサーしか知らない!オレが心地よく暮らせる部屋とか、宝石商助手になれるよう準備してくれるマメなところとか、そういう優しいところしか知らないっ!!」
興奮して勢いよく立ち上がると、椅子が床に倒れ、バンッと音を立てた。
息を荒くしていると、ルシウスが傍にやってきてベリルの腕を掴んだ。そして、そのまま歩き出す。
「ドメイン同士で話をしよう。いいだろう、ダニエル?」
「洗い物は俺がやっておく」
とダニエルが答える。
黒い机やチェスト、それに、寝具まで黒一色の部屋にベリルは連れ込まれた。ここがルシウスの部屋らしい。
さっきまで不機嫌だったルシウスは、鼻歌を歌いながらベリルに椅子を進めてきた。そして自分はベッドへと、びょんとダイブする。
「ほら」
ルシウスは、ポケットから黒いタブレットを取り出し、「スクリーニング。音声読み上げ」と声を発する。
やがて、少し電子的な声がタブレットから聞こえてきた。
『スクリーニングとは、耐用末期のオールドドメインに、再生を施すための治療です。劣化した細胞を取り除かれ、健康な状態に戻ります。なお、副作用で記憶、細胞情報が消えてしまいます』
ベリルは、ベッドに寝そべるルシウスに迫る。
「記憶や細胞情報が?次、目覚めたとき、何にも分からなくなっちゃうのか?それってひどくないか?」
「しょうがないじゃん。スクリーニングは、オールドドメインに所有者が飽きて売るときは必ずされる行為なんだし」
「それって……オレも?」
隣家を訪れたとき、始めた会った女性は目を潤ませていた。そして、ロベルトはベリルの存在を、前から知っているような口ぶりだった。
つまり、オレは、過去にも存在している?
そしてアーサーも、そのことを知っている?
「かもね」とルシウスは曖昧に答える。
「何で、オレ、そんなに秘密にされてんの?さらっと言ってくれればいい話だろ?君は以前も存在していたけれど、スクリーニングを受けているから昔のことがわからないんだって」
「そりゃー。アーサーが君を愛しているから、言えないよねえ」
「愛して??」
それって、まとわりついても怒られないこと?
それとも、宝石の贈り物を貰うこと?
愛らしき行為を思い浮かべてみるが、どれも自分には該当しない。
「しかも、純愛だ」
クックックッとルシウスが笑い出す。
「分かるように説明してくれよ」
「どうしてボクが?」
ルシウスは、猫みたいな瞳をギラッと輝かせる。
「オレ、ルシウスに何かしたか?ラボで目覚めたときから、そういう態度なのは何で?」
「さあ、何ででしょうねえ」
ようやくアーサーのことが信じられかけてきたのに。
こんな、結末ってない。
「でも、オレ、そんな、アーサー知らない。朝寝坊でなかなか起きて来なかったり、オレの一言でシュンとしちゃったりする、ちょっとダメなアーサーしか知らない!オレが心地よく暮らせる部屋とか、宝石商助手になれるよう準備してくれるマメなところとか、そういう優しいところしか知らないっ!!」
興奮して勢いよく立ち上がると、椅子が床に倒れ、バンッと音を立てた。
息を荒くしていると、ルシウスが傍にやってきてベリルの腕を掴んだ。そして、そのまま歩き出す。
「ドメイン同士で話をしよう。いいだろう、ダニエル?」
「洗い物は俺がやっておく」
とダニエルが答える。
黒い机やチェスト、それに、寝具まで黒一色の部屋にベリルは連れ込まれた。ここがルシウスの部屋らしい。
さっきまで不機嫌だったルシウスは、鼻歌を歌いながらベリルに椅子を進めてきた。そして自分はベッドへと、びょんとダイブする。
「ほら」
ルシウスは、ポケットから黒いタブレットを取り出し、「スクリーニング。音声読み上げ」と声を発する。
やがて、少し電子的な声がタブレットから聞こえてきた。
『スクリーニングとは、耐用末期のオールドドメインに、再生を施すための治療です。劣化した細胞を取り除かれ、健康な状態に戻ります。なお、副作用で記憶、細胞情報が消えてしまいます』
ベリルは、ベッドに寝そべるルシウスに迫る。
「記憶や細胞情報が?次、目覚めたとき、何にも分からなくなっちゃうのか?それってひどくないか?」
「しょうがないじゃん。スクリーニングは、オールドドメインに所有者が飽きて売るときは必ずされる行為なんだし」
「それって……オレも?」
隣家を訪れたとき、始めた会った女性は目を潤ませていた。そして、ロベルトはベリルの存在を、前から知っているような口ぶりだった。
つまり、オレは、過去にも存在している?
そしてアーサーも、そのことを知っている?
「かもね」とルシウスは曖昧に答える。
「何で、オレ、そんなに秘密にされてんの?さらっと言ってくれればいい話だろ?君は以前も存在していたけれど、スクリーニングを受けているから昔のことがわからないんだって」
「そりゃー。アーサーが君を愛しているから、言えないよねえ」
「愛して??」
それって、まとわりついても怒られないこと?
それとも、宝石の贈り物を貰うこと?
愛らしき行為を思い浮かべてみるが、どれも自分には該当しない。
「しかも、純愛だ」
クックックッとルシウスが笑い出す。
「分かるように説明してくれよ」
「どうしてボクが?」
ルシウスは、猫みたいな瞳をギラッと輝かせる。
「オレ、ルシウスに何かしたか?ラボで目覚めたときから、そういう態度なのは何で?」
「さあ、何ででしょうねえ」
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