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第ニ章 ベリル
45:もしかして寝言?
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「それは、君へのプレゼント。目覚める前に、注文しておいたんだ。職人の手作りでね。注文を受けてから作り出すものだから、時間がかかってしまって」
「アーサーからオレに?開けていい?」
自分以外の存在に、今でも心奪われているようなアーサーがまさか、プレゼントを用意しているとは思わなくて、ベリルのテンションが一気に上がった。
「もちろん。でも、細かい物ばかりだから、失くさないように注意するんだよ。申し訳ないけど、僕はまた少し寝るね」
ふわっとあくびをして、アーサーが歩き始める。
「だったら、アーサーの部屋で開けてもいいか?」
「僕の部屋??」
「ダメ?」
「別にいいけど、本当に寝てしまうよ?相手はできないよ?」
「うん。大丈夫」
アーサーの部屋に行くと、彼は宣言通り、すぐにベッドに入ってしまった。
ベリルは居間のテーブルでワクワクしながら、アーサーのプレゼントを開ける。
現れたのは、白手袋、指にはめるリングのついたルーペ、それに仕切りのある標本箱に入ったたくさんの宝石。
数えてみたら、三百個あった。
標本箱から取り出して冬の弱い日差しにかざすと、どの宝石も、キラッ、キラッと光る。
宝石の中で、ベリルはアーサーの瞳そっくりな色を見つけた。指でつまんで、光りや色を楽しむ。
「タンザナイト?」
標本箱の仕切には宝石ごとにラベルが貼られていて、名前を読み上げる。
「アーサーの瞳と比べたら、どっちが深い色をしているんだろう?」
興味が湧いて来て、ベリルはこっそり彼の寝室に向かった。
スースーという寝息が聞こえる。
当然ながらアーサーは目を瞑っていて、瞳の色を確認することはできなかった。
「残念」
ベッドに静かに腰掛けて、タンザナイトを敷布に散らばる金の髪に添える。
よく映えて、見とれる。
アーサーは綺麗な男だ。
背が高くて、体格だってしっかりした大人なんだけど、どこか儚くて。
ベリルは、アーサーの金の髪にそっと触れた。
「……ベリル?」
「あ、ごめん」
アーサーの声にベリルは腰を浮かしかける。だが、彼の寝息は規則正しく、瞳も閉じたままだ。
「もしかして寝言?」
顔を覗き込むと、アーサーの手が急に敷布を上下した。
浅い眠りで、ベリルの声に反応しているようだ。
「ベリルッ。そっちに行ってはダメだ」
ベリルの腰に巻きついたアーサーの手は、物凄い力だった。
あっという間に、ベッドの中に引きずり込まれる。
「アーサー!なあ、アーサー、起きろって」
腕の中でもがくが、アーサーは一向に目を覚ます様子が無い。
暫く抵抗したベリルだったが、やがて諦めた。
黙って身を任せれば、腕の中は気持ちがよく、自分が帰る場所みたいに安心した。
何より、寝言でベリルの名前を呼んでくれた。
まだこの館に存在が残る者ではなく、ベリルの名前を。
要するに、そいつよりアーサーの心を掴む存在であればいいだけだ。
「アーサーからオレに?開けていい?」
自分以外の存在に、今でも心奪われているようなアーサーがまさか、プレゼントを用意しているとは思わなくて、ベリルのテンションが一気に上がった。
「もちろん。でも、細かい物ばかりだから、失くさないように注意するんだよ。申し訳ないけど、僕はまた少し寝るね」
ふわっとあくびをして、アーサーが歩き始める。
「だったら、アーサーの部屋で開けてもいいか?」
「僕の部屋??」
「ダメ?」
「別にいいけど、本当に寝てしまうよ?相手はできないよ?」
「うん。大丈夫」
アーサーの部屋に行くと、彼は宣言通り、すぐにベッドに入ってしまった。
ベリルは居間のテーブルでワクワクしながら、アーサーのプレゼントを開ける。
現れたのは、白手袋、指にはめるリングのついたルーペ、それに仕切りのある標本箱に入ったたくさんの宝石。
数えてみたら、三百個あった。
標本箱から取り出して冬の弱い日差しにかざすと、どの宝石も、キラッ、キラッと光る。
宝石の中で、ベリルはアーサーの瞳そっくりな色を見つけた。指でつまんで、光りや色を楽しむ。
「タンザナイト?」
標本箱の仕切には宝石ごとにラベルが貼られていて、名前を読み上げる。
「アーサーの瞳と比べたら、どっちが深い色をしているんだろう?」
興味が湧いて来て、ベリルはこっそり彼の寝室に向かった。
スースーという寝息が聞こえる。
当然ながらアーサーは目を瞑っていて、瞳の色を確認することはできなかった。
「残念」
ベッドに静かに腰掛けて、タンザナイトを敷布に散らばる金の髪に添える。
よく映えて、見とれる。
アーサーは綺麗な男だ。
背が高くて、体格だってしっかりした大人なんだけど、どこか儚くて。
ベリルは、アーサーの金の髪にそっと触れた。
「……ベリル?」
「あ、ごめん」
アーサーの声にベリルは腰を浮かしかける。だが、彼の寝息は規則正しく、瞳も閉じたままだ。
「もしかして寝言?」
顔を覗き込むと、アーサーの手が急に敷布を上下した。
浅い眠りで、ベリルの声に反応しているようだ。
「ベリルッ。そっちに行ってはダメだ」
ベリルの腰に巻きついたアーサーの手は、物凄い力だった。
あっという間に、ベッドの中に引きずり込まれる。
「アーサー!なあ、アーサー、起きろって」
腕の中でもがくが、アーサーは一向に目を覚ます様子が無い。
暫く抵抗したベリルだったが、やがて諦めた。
黙って身を任せれば、腕の中は気持ちがよく、自分が帰る場所みたいに安心した。
何より、寝言でベリルの名前を呼んでくれた。
まだこの館に存在が残る者ではなく、ベリルの名前を。
要するに、そいつよりアーサーの心を掴む存在であればいいだけだ。
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