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第ニ章 ベリル
42:緊急事態だ。キッチンにおかしな奴がいる!
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アーサーがもう起きていて、何かを落としたのだろううか?
廊下に出ると、奥の方からガシャガシャという音が続く。
まだ勝手が分からない古い館で、分けの分からない音がするのはかなりの恐怖だ。ベリルは足を忍ばせ、そちらに向かう。
そこには、広いキッチンがあった。十人はゆうに座れる大きなテーブルがあり、その奥にはシンクや調理コーナーがある。
割れた皿の破片が一面に散らばっていた。
「うわっ!誰、あんた!」
黒いスーツを着た背の高い男がシンクの傍に立っていて、ベリルの声に、振り向いた。
ギギギギッと音がしそうなほど、不自然な振り向き方だった。
「ギャッアッッ!」
ベリルは叫んで、一目散に廊下を走り出す。
そして、アーサーの部屋に飛び込んだ。
アーサーの部屋は、ベリルの倍以上に広く、部屋数も多かった。
居間、服だらけの部屋、本だらけの部屋などを通り抜け、ようやくアーサーが眠る寝室へと辿りつく。
ベリルは、アーサーのベッドに飛び乘った。
枕元には金髪が散らばり、タブレットから低く音楽が聞こえていた。
「アーサー!アーサー!起きてってば!!」
「んん?何だい、ベリル。僕、寝たのは明け方なんだ」
「緊急事態だ。キッチンにおかしな奴がいる!」
「この館は古いけれど、セキュリティーはしっかりしている。おかしな奴なんて……」
再び寝入ろうとするアーサーを、ベリルは必死に起こす。
ゆらゆらと起き上がったアーサーは、ガウンを羽織りタブレットをポケットに入れスリッパを履いた。
放っておけばそのまま動き出さない様子なので、腕を取って彼を無理やりキッチンに連れていく。
男が、割れた皿の破片を集めていた。
「ほら、あいつだ!勝手にキッチンに入って、何かしている!」
アーサーの影に隠れながら、ベリルが言うと、アーサーが笑い出す。
「な、何で笑うんだよ」
男は、黙々と片付けをしていて、こちらに気付きもしない。
余りの不自然さに怖くなって、アーサーの背中にしがみつく。
「どう見たって、変だろ?!」
「彼は、ニュードメインと呼ばれる人型の元軍事用品。現在は生活用品に転用されて、家事を行っているんだよ。ちなみに今は、割ってしまった皿の掃除中」
「え?」
すると、アーサーは振り向いて、しがみついているベリルを愛おし気な目で見ながら、ポンッと手を打つ。
「そうか。ダニエルのラボには、ニュードメインはいなかったから、見るのは初めてなんだね。じゃあ、ビックリするもしょうがない」
「こいつも一緒に住んでいるのか?」
ベリルは、アーサーから離れながら聞いた。
あまりにもアーサーに笑われ、恥ずかしい。
「彼は、レンタル会社が貸し出しているんだ。だから、決められた時間になると家事をしにきて、終わると勝手に帰っていく」
ニュードメインが床を綺麗にし終わったようで、シンクの水を流し始める。
「間もなく食事が出てくる。ここで待とうか」
アーサーはまだ眠そうな顔だったが、キッチンに入って行き、椅子を引いてベリルに座らせてくれた。
廊下に出ると、奥の方からガシャガシャという音が続く。
まだ勝手が分からない古い館で、分けの分からない音がするのはかなりの恐怖だ。ベリルは足を忍ばせ、そちらに向かう。
そこには、広いキッチンがあった。十人はゆうに座れる大きなテーブルがあり、その奥にはシンクや調理コーナーがある。
割れた皿の破片が一面に散らばっていた。
「うわっ!誰、あんた!」
黒いスーツを着た背の高い男がシンクの傍に立っていて、ベリルの声に、振り向いた。
ギギギギッと音がしそうなほど、不自然な振り向き方だった。
「ギャッアッッ!」
ベリルは叫んで、一目散に廊下を走り出す。
そして、アーサーの部屋に飛び込んだ。
アーサーの部屋は、ベリルの倍以上に広く、部屋数も多かった。
居間、服だらけの部屋、本だらけの部屋などを通り抜け、ようやくアーサーが眠る寝室へと辿りつく。
ベリルは、アーサーのベッドに飛び乘った。
枕元には金髪が散らばり、タブレットから低く音楽が聞こえていた。
「アーサー!アーサー!起きてってば!!」
「んん?何だい、ベリル。僕、寝たのは明け方なんだ」
「緊急事態だ。キッチンにおかしな奴がいる!」
「この館は古いけれど、セキュリティーはしっかりしている。おかしな奴なんて……」
再び寝入ろうとするアーサーを、ベリルは必死に起こす。
ゆらゆらと起き上がったアーサーは、ガウンを羽織りタブレットをポケットに入れスリッパを履いた。
放っておけばそのまま動き出さない様子なので、腕を取って彼を無理やりキッチンに連れていく。
男が、割れた皿の破片を集めていた。
「ほら、あいつだ!勝手にキッチンに入って、何かしている!」
アーサーの影に隠れながら、ベリルが言うと、アーサーが笑い出す。
「な、何で笑うんだよ」
男は、黙々と片付けをしていて、こちらに気付きもしない。
余りの不自然さに怖くなって、アーサーの背中にしがみつく。
「どう見たって、変だろ?!」
「彼は、ニュードメインと呼ばれる人型の元軍事用品。現在は生活用品に転用されて、家事を行っているんだよ。ちなみに今は、割ってしまった皿の掃除中」
「え?」
すると、アーサーは振り向いて、しがみついているベリルを愛おし気な目で見ながら、ポンッと手を打つ。
「そうか。ダニエルのラボには、ニュードメインはいなかったから、見るのは初めてなんだね。じゃあ、ビックリするもしょうがない」
「こいつも一緒に住んでいるのか?」
ベリルは、アーサーから離れながら聞いた。
あまりにもアーサーに笑われ、恥ずかしい。
「彼は、レンタル会社が貸し出しているんだ。だから、決められた時間になると家事をしにきて、終わると勝手に帰っていく」
ニュードメインが床を綺麗にし終わったようで、シンクの水を流し始める。
「間もなく食事が出てくる。ここで待とうか」
アーサーはまだ眠そうな顔だったが、キッチンに入って行き、椅子を引いてベリルに座らせてくれた。
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