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第一章 バロン

9:客の体液、まだ出きってないだろ?出して

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それがまた、第三次世界大戦で疲弊した人間とオールドドメインの対立を極めることとなった。
ラリーがシャワーを止め、泡立てたソープをバロンの身体にこすり付けてくる。
「あの、自分でっ」
しかし、ラリーの手は止らない。背後から手を回し、バロンの胸や陰部を泡だらけにしていく。
「君さ、物凄く体液臭い。ちょっと洗っただけじゃ、その臭い、取れないよ」
ラリーの手が、今度は背中に回った。腰。臀部。そして足。各所がクリームみたいな濃厚な泡に包まれていく。
「身体、傷だらけだ。これってタバコのあとだよね?この青黒いのは殴られたあとかな。高級男娼は細胞を活性化させて、傷のない肌を保つらしいけど、君はそういうランクの男娼ではないみたいだね」
蔑まれ悲しいのに、ラリーの繊細な手の動きのせいで、身をくねらせたくなる。当然、中心は活発になっていき、それに気づいたラリーが耳元で笑い出す。
ふいに尻を割られ、秘部にラリーの指が入って来た。
冷たいタイルに額を押し付けて覚悟すると、身体ごとそこに押し付けられた。立ち上がりかけた雄が、身体と壁に挟まれてぐにゃりと潰れた。
「何、勘違いしているの?」
誰がこんな最低ランクの男娼なんか抱くか、と言う口調だ。
「客の体液、まだ出きってないだろ?出して」
「自分でっ、やりますのでっ」
「分かってないなあ」
ラリーの笑い声が、狭いバスルームに響く。
「綺麗にしろって命令を受けたのは、僕なんだよ。上階に行ってから君の処理が甘くて、体液が流れ出たら、誰の失点になるかわかるよね?」
抵抗した腹いせのように、指の数を増やされた。孔を遠慮なく広げられる。
「壁に手をつけっ。腰を突き出して、いきむんだ」
命令になすすべもない。
バロンは、泣きながら下半身に力を入れた。

身体を三度、髪も三度洗われ、ようやくバスルームを出ることができた。
髪を乾かされると、腰に一枚だけバスタオルを巻くことを許された。逃走防止のためだろう。
上階に連れて行かれる。
ラリーが入った部屋は、ランクが一番上の男娼の部屋だった。猫脚のソファーにテーブル。それに天蓋付きの大きなベッドが置かれていて、バロンは入室するのが初めてだ。
大きな窓は全開にされ、外には小雪がちらついていた。冷たい風が吹き込みカーテンが揺れている。
窓辺に、男が背を向けて立っていた。軍コートはどこかで脱いだようで、今は軍服姿だ。がっちりとした身体が、その下に隠れているのが分かる。
「お待たせしました」
「ちょうどいい頃合いだ」
ラリーの声掛けに、男は窓を一瞬覗き込むと、軍帽と眼鏡を取りながらソファーに座った。
その顔を見て、バロンはその場から動けなくなった。
「座れ」
男が、顎で向いのソファーを示した。
身体が勝手に震え始める。
「寒いの?鳥肌が立っている。窓を閉めさせてもらおうか?」
ラリーが言うが、男が間髪入れずに「震えさせておけ」ときつい声で言う。
男の真正面に座らされ、バロンは確信する。
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