5 / 280
第一章 バロン
5:ゴムを付けさせ、一人でさせろ。仕事なんだから、それぐらいできるだろ
しおりを挟む
人間の性の相手までするぐらいこの世界に溶け込みつつあるドメインを、差別せずに受け入れようという声がある一方、先ほどTVに映っていたエドワードのようにドメインを危険視する人間も大勢いる。
共存か、それとも支配か。
もしくは、淘汰か。
バロンのようなオールドドメインの命は、人間の手のひらの上でいつも転がされているようなものだった。
ラリーのドメインチェックは続く。
バロンの身体は嫌な汗をかき、右手が、異様なほど突っ張っている。
右手の親指の付け根は、分からないよう違法増設がされている。
そこには、盗み出して返すあてを失ったデータが入っていた。
増設は三年前、闇ラボでしてもらった。店主は、まだ十代の店を開いたばかりの若者で、かなり不安な増設だったが、「オレは天才だから、絶対に見つからない」とのたまった。そして、通信機能や位置情報機能など余計なものまで、お試していろいろ付けられた。
要は彼は、自分が造ったシステムがきちんと機能するか、オールドドメインで実証したかったらしい。
ドメインチェッカーがキュインと鳴った。色が変わったのは、左手のみ。しかも、色は青。
クリアの印だ。
自信家の若い店主の言葉に嘘はなかったようだ。
しかし、ラリーの身体チェックはそこでは終わらない。閉じた膝に手を入れられ、足を開かせられた。
「あらら。可哀想なぐらい萎えちゃってるね」
身体の中心に無遠慮に視線を注がれ、バロンは渾身の力で膝を閉じようとするが、一ミリも動かせない。
「どうします?時間がかかるかもしれませんよ?」
ラリーは、ベッドの隣りの小机を探ってゴムを二枚取り出した。
すると、背後にいた不機嫌な男が答える。
「無理に抱いて後々問題になったら困る。ゴムを付けさせ、一人でさせろ。仕事なんだから、それぐらいできるだろ」
バロンはその言葉を聞き、体温が一瞬で三度ほど下がった気がした。
今度は、ドメイン照合か。
手の甲の刻印はドメインの印であり、歴代の所有者情報や、どこに住んでいたか、どんなラボで治療を受けていたのかなどを知ることができる。だが、今の時代、闇ラボに行けば情報を書き換えることは簡単だ。金さえ払えば、所有者を伴わないオールドドメインにだって、処置を施してくれる人間は大勢いる。
だから、治安を取り締まる王立警ら隊はドメインを確実に取り押さえるため、皮膚や頭髪、体液を用いたドメイン照合を行う。チェックにかかる時間は体液が一番短く正確で、所有者の元から逃走したドメインを道端で見つけた場合、路地裏で強制採取したりなど、非道なことを行う。
「良かったね。君のソコ、もう限界だろ?」
数十時間、ほとんど休みなく使われ入り口が赤く腫れあがった秘部を覗きこみながら、ラリーが言う。
目の前でゴムの袋が裂かれた。
ラリーがそれを中指に装着し、ローションボトルから液を片方の手の平に出す。それをすくってバロンの秘部に塗り込んで来た。
「止めっ……」
拒絶の言葉を吐こうとすると、
「手を膝の裏にっ。足を限界まで開けっ」
軍隊式の命令に、バロンは怯えた。
息が上手く吸えなくて苦しい。
共存か、それとも支配か。
もしくは、淘汰か。
バロンのようなオールドドメインの命は、人間の手のひらの上でいつも転がされているようなものだった。
ラリーのドメインチェックは続く。
バロンの身体は嫌な汗をかき、右手が、異様なほど突っ張っている。
右手の親指の付け根は、分からないよう違法増設がされている。
そこには、盗み出して返すあてを失ったデータが入っていた。
増設は三年前、闇ラボでしてもらった。店主は、まだ十代の店を開いたばかりの若者で、かなり不安な増設だったが、「オレは天才だから、絶対に見つからない」とのたまった。そして、通信機能や位置情報機能など余計なものまで、お試していろいろ付けられた。
要は彼は、自分が造ったシステムがきちんと機能するか、オールドドメインで実証したかったらしい。
ドメインチェッカーがキュインと鳴った。色が変わったのは、左手のみ。しかも、色は青。
クリアの印だ。
自信家の若い店主の言葉に嘘はなかったようだ。
しかし、ラリーの身体チェックはそこでは終わらない。閉じた膝に手を入れられ、足を開かせられた。
「あらら。可哀想なぐらい萎えちゃってるね」
身体の中心に無遠慮に視線を注がれ、バロンは渾身の力で膝を閉じようとするが、一ミリも動かせない。
「どうします?時間がかかるかもしれませんよ?」
ラリーは、ベッドの隣りの小机を探ってゴムを二枚取り出した。
すると、背後にいた不機嫌な男が答える。
「無理に抱いて後々問題になったら困る。ゴムを付けさせ、一人でさせろ。仕事なんだから、それぐらいできるだろ」
バロンはその言葉を聞き、体温が一瞬で三度ほど下がった気がした。
今度は、ドメイン照合か。
手の甲の刻印はドメインの印であり、歴代の所有者情報や、どこに住んでいたか、どんなラボで治療を受けていたのかなどを知ることができる。だが、今の時代、闇ラボに行けば情報を書き換えることは簡単だ。金さえ払えば、所有者を伴わないオールドドメインにだって、処置を施してくれる人間は大勢いる。
だから、治安を取り締まる王立警ら隊はドメインを確実に取り押さえるため、皮膚や頭髪、体液を用いたドメイン照合を行う。チェックにかかる時間は体液が一番短く正確で、所有者の元から逃走したドメインを道端で見つけた場合、路地裏で強制採取したりなど、非道なことを行う。
「良かったね。君のソコ、もう限界だろ?」
数十時間、ほとんど休みなく使われ入り口が赤く腫れあがった秘部を覗きこみながら、ラリーが言う。
目の前でゴムの袋が裂かれた。
ラリーがそれを中指に装着し、ローションボトルから液を片方の手の平に出す。それをすくってバロンの秘部に塗り込んで来た。
「止めっ……」
拒絶の言葉を吐こうとすると、
「手を膝の裏にっ。足を限界まで開けっ」
軍隊式の命令に、バロンは怯えた。
息が上手く吸えなくて苦しい。
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
【完結】人型兵器は電気猫の夢を見るか?
有喜多亜里
BL
【猫キチ男が猫型ロボットを撫で回している、なんちゃってスペースファンタジー(コメディ寄り)】
別宇宙から現れて軍艦を襲う〝何か〟。その〝何か〟に対抗するため、天才少年博士ナイトリーは四体の人型兵器を作り、銀河系を四分する各勢力にパイロット供出を要請した。だが、二年後のある日、ナイトリーは謎の死を遂げてしまう。周囲は頭を抱えるが、パイロットの一人・カガミが飼っている猫型ロボットの中にナイトリーの記憶の一部が潜んでいた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ざまぁから始まるモブの成り上がり!〜現実とゲームは違うのだよ!〜
KeyBow
ファンタジー
カクヨムで異世界もの週間ランク70位!
VRMMORゲームの大会のネタ副賞の異世界転生は本物だった!しかもモブスタート!?
副賞は異世界転移権。ネタ特典だと思ったが、何故かリアル異世界に転移した。これは無双の予感?いえ一般人のモブとしてスタートでした!!
ある女神の妨害工作により本来出会える仲間は冒頭で死亡・・・
ゲームとリアルの違いに戸惑いつつも、メインヒロインとの出会いがあるのか?あるよね?と主人公は思うのだが・・・
しかし主人公はそんな妨害をゲーム知識で切り抜け、無双していく!
新世界
午後野つばな
BL
20XX年。掃除ロボットのマルは人間に虐げられたところを崇嗣(たかし)に助けられる。
実は崇嗣はマルが個人宅で働いていた頃、初めて優しくしてくれた人間だった。崇嗣に再び会いたいと願うマルは、REX社のセクサロイドの少年、ヴィオラと中身を交換するが……。
昔、自分に唯一やさしくしてくれた相手のことが忘れられず、一途に思いを寄せる純粋な掃除ロボットと、不器用で孤独な人間の恋物語です。
表紙のイラストはShivaさん(@kiringo69)に描いていただきました。
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる