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第一章 バロン
4:ラリー。手早くな。臭くてたまらん
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二回目だから、達するまで時間がかかるはずだ。相当、乱暴に抱かれるだろうと覚悟していると、部屋の扉が壊れんばかりに音を立てて開いた。
戸口で黒い軍帽を被ったひょろっとした男が、薄笑いを浮かべ足を掲げている。
戸口で黒い軍帽を被ったひょろっとした男が、薄笑いを浮かべ足を掲げている。
「お楽しみのところ悪いけど、終りね。さっさと離れて」
その後ろには、もう一人。眼鏡をかけ軍帽を目深にかぶった、がたいのよい男が立っていて、鋭い視線でこちらを見ていた。
二人とも、黒いロング丈の軍服に同じ色のコートを羽織り、襟には、背を向け合って吠える二頭のライオンのバッチが光っている。
一目見ただけで、バロンの身体に鳥肌が立った。
王立警ら隊だ。
治安を取りしまる王室直轄の部隊で、テロリストのアジト突撃から違法な娼館の摘発まで、さまざまな事件に首を突っ込んでくる。
世界一厳しいといわれる英国軍隊から選ばれたエリートであり、背が高く見目もいい。だから、彼らがニュースにならない日はなかった。
背後にいた男が、不快そうに鼻をつまんだ。
「ラリー。手早くな。臭くてたまらん」
「はーい」
ラリーと呼ばれた男は、緊迫した状況にそぐわない朗らかな返事と薄笑いを浮かべたまま部屋に入って来た。
ドカドカという軍靴の足音に、バロンを抱いていた男が怯えたように雄を引き抜いた。
擦られすぎて、ただでさえジンジンしている穴が、火傷したみたいに一瞬熱くなる。
「ウッ」
バロンが呻いて敷布に突っ伏しているうちに、ラリーが男をベッドから簡単に引きはがし、荷物のごとく廊下に持って行く。
「おい!これを一階に転がしておいてくれ」
「はっ」
「かしこまりましたっ」
男二人以外にも、王立警ら隊の兵士がいるようで、廊下は騒がしい。悲鳴やドタバタと廊下を駆け回る音も聞こえる。一斉突入し、男娼と客を捕まえているのだろう。
身軽になったラリーは、バロンがいる部屋に戻ると、軍靴のままベッドに飛び乘ってきた。
もう一人の男は、壁にもたれ腕組みをしたまま、こちらをじっと見ている。
バロンは、身体を起こして後ずさった。だが、狭いベッドで移動できるスペースなど限られていた。すぐにヘッドボードに背中が触れた。
乱暴されるのだろうか?
違法な娼館での凌辱など、警察よりも権力を持つ王立警ら隊がもみ消すのは簡単だ。
相手は、何人?
底なしの体力を持っているはずだから、数度の気絶では済まない気がする。
薄ら笑いを浮かべたまま、ラリーがバロンの目の前に座った。
手の甲には、ドメインの印である数字の羅列。
え?王立警ら隊にもドメインが?
と目を疑っていると、ラリーは、腰から三十センチほどの、蛍光色に光る棒を取り出して、バロンの身体を撫でていく。
ドメインチェッカーだ。
これは、ドメインの体内に仕込まれた装置をチェックするのもので、通常左手しかできないデータ孔が他の部位に違法増設されていないか調べたり、許可を超えてのデータ量になっていないかなどを検知する。
ドメインは元々軍事目的で造られているので、使用の仕方によっては歩く武器になるからだ。
戸口で黒い軍帽を被ったひょろっとした男が、薄笑いを浮かべ足を掲げている。
戸口で黒い軍帽を被ったひょろっとした男が、薄笑いを浮かべ足を掲げている。
「お楽しみのところ悪いけど、終りね。さっさと離れて」
その後ろには、もう一人。眼鏡をかけ軍帽を目深にかぶった、がたいのよい男が立っていて、鋭い視線でこちらを見ていた。
二人とも、黒いロング丈の軍服に同じ色のコートを羽織り、襟には、背を向け合って吠える二頭のライオンのバッチが光っている。
一目見ただけで、バロンの身体に鳥肌が立った。
王立警ら隊だ。
治安を取りしまる王室直轄の部隊で、テロリストのアジト突撃から違法な娼館の摘発まで、さまざまな事件に首を突っ込んでくる。
世界一厳しいといわれる英国軍隊から選ばれたエリートであり、背が高く見目もいい。だから、彼らがニュースにならない日はなかった。
背後にいた男が、不快そうに鼻をつまんだ。
「ラリー。手早くな。臭くてたまらん」
「はーい」
ラリーと呼ばれた男は、緊迫した状況にそぐわない朗らかな返事と薄笑いを浮かべたまま部屋に入って来た。
ドカドカという軍靴の足音に、バロンを抱いていた男が怯えたように雄を引き抜いた。
擦られすぎて、ただでさえジンジンしている穴が、火傷したみたいに一瞬熱くなる。
「ウッ」
バロンが呻いて敷布に突っ伏しているうちに、ラリーが男をベッドから簡単に引きはがし、荷物のごとく廊下に持って行く。
「おい!これを一階に転がしておいてくれ」
「はっ」
「かしこまりましたっ」
男二人以外にも、王立警ら隊の兵士がいるようで、廊下は騒がしい。悲鳴やドタバタと廊下を駆け回る音も聞こえる。一斉突入し、男娼と客を捕まえているのだろう。
身軽になったラリーは、バロンがいる部屋に戻ると、軍靴のままベッドに飛び乘ってきた。
もう一人の男は、壁にもたれ腕組みをしたまま、こちらをじっと見ている。
バロンは、身体を起こして後ずさった。だが、狭いベッドで移動できるスペースなど限られていた。すぐにヘッドボードに背中が触れた。
乱暴されるのだろうか?
違法な娼館での凌辱など、警察よりも権力を持つ王立警ら隊がもみ消すのは簡単だ。
相手は、何人?
底なしの体力を持っているはずだから、数度の気絶では済まない気がする。
薄ら笑いを浮かべたまま、ラリーがバロンの目の前に座った。
手の甲には、ドメインの印である数字の羅列。
え?王立警ら隊にもドメインが?
と目を疑っていると、ラリーは、腰から三十センチほどの、蛍光色に光る棒を取り出して、バロンの身体を撫でていく。
ドメインチェッカーだ。
これは、ドメインの体内に仕込まれた装置をチェックするのもので、通常左手しかできないデータ孔が他の部位に違法増設されていないか調べたり、許可を超えてのデータ量になっていないかなどを検知する。
ドメインは元々軍事目的で造られているので、使用の仕方によっては歩く武器になるからだ。
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