【完結】そっといかせて欲しいのに

第五章

87：メイイがいる病院のベットでキメセクしてやっから

『もう一回、養子縁組届け出書を書かせる。心配すんな。手なづけてるから。ごねたり疑い始めたらケツ穴にシャブ塗って、掘ってやればいい』
『お前、ホモっ気あったのか？』
『ムショで覚えた。暴力で男泣かすのもいいけど、快楽で泣かすのはもっと滾るぞ』
　急に携帯の声が大きくなった。
『上原。相手に聞かれてないだろうな』
「はい。大丈夫です」
と上原は返事をする。
　明らかにわざと聞かせてきたくせに。
　エイトは、いや、新田一はこういうロクでもない男だから、騙されるなと伝えたかったのかしれない。
　そして、零がエイトと再度養子縁組をするとなれば、自分が組織から用済みになり消されると恐怖している。
『相手と話せ、新田。絶対にボロは出すな』
　たっぷり十秒待って上原が零に携帯を近づけてきた。
「もしもし。新田君」
と零が言うと、
「ああ、あんたか」
「新田君？！本当に新田君？！」
と零は繰り返す。
「僕、病院に連れてこられちゃって」
『具合はどうだ？』
「強制入院させられたのに、全然良くならないよ」
『じゃあ、助けに行ってやる。メイイってのがいる病院で治療してもらおうぜ。でな、零』
「何？」
『あんたに養子縁組届け出を書いてもらったろ？あれ、不備があって書き直しになった。もう一回、サインしてくれねえか？』　
　上原がメモ用紙を取り出した。
「とりあえず、はいと返事を」とそこには書かれていた。
「うん。いいよ」
「いい子だな」
　エイトが甘い声を出す。
「メイイがいる病院のベットでキメセクしてやっから」
「いつ、会いに来てくれるの？」
「すぐ行く」
　そこで電話が切れた。
　上原が携帯をポケットにしまう。
「とんでもないヤツだ」
「先生よりいいよ」
と零は冷たくする。
　すると、ベットまで引きずられた。
「書け」
　ペンを持たされ、強要される。
　こういうのってどれぐらいで受理されるものなのだろう？