【完結】そっといかせて欲しいのに

遊佐ミチル

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第五章

76:駄目だの何だの言う割に、感じてるじゃねえか。スケベ

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 エイトがエアコンの温度を上げながら側にやってきて、着ていたスウェットを脱いで、全裸になった。
 零の後頭部と腰にそれぞれ手を当てて、優しく押し倒す。
 ちゅう。
 初めてキスした夜みたいに、かわいい音を立てて唇が重なる。
 溺れるような激しいディープキスは口の中が痛くてもう出来ない。エイトもそのことは分かっていて、ちゅちゅと音を立てて軽く触れ続けるだけだ。
 ああ、これしか出来ないのがもどかしい。
 この前みたいな深いキスがしたい。
 こんなに後悔するならもっと早くにエイトに迫っておけばよかった。
 出来もしないくせに。
 そこまでの勇気なんてなかったくせに。
 死のカウントダウンで、命がほんとうに僅かになってからようやく本気でぶつかれた。
 セックスして欲しいと頼むこともできた。
 毛布をかぶったエイトが、零の上で腕立てするみたいにして見下ろしてくる。
 零は身体にコンプレックスがある。特に浮き出た肋骨が嫌いだ。だから、弄り合うことがあっても絶対に上は脱がなかった。性器がついている下半身よりも、上半身を見られるのが恥ずかしいのは変かもしれないが、どうしても嫌なのだ。
 エイトが片肘で身体を支え、開いた手で零の上半身をなぞる。
 鎖骨や乳首、そして、嫌いな肋骨。
「ヘソ。可愛い」
「え?」
 こんな痩せ枯れた自分の身体に褒められる箇所なんてあっただろうか。
 手首を捕まれ、上に挙げさせられた。脇が顕になる。
「何か、これ、恥ずかし」
 枕に顔を埋めると、ティッシュで栓をした鼻から血が溢れ出す。エイトが零の脇にキスをした後、ティッシュを変えてくれた。
「乳首、舐めるけど」
 また手首を抑えられる。今度は両方だ。
 これ、抵抗できない。ゾクゾクする。
 赤い舌をちろっと出されただけで、指定された部位がピンと反応した気がした。
 やがてエイトの唇がそこに吸い付いてきた。
「あっ」
 熱い舌が乳首の上を遠慮無く動き回る。
「駄目って、それ。うあっ」
 抵抗しても相手はびくともしない。
 じゅるっと唾液混じりで舐め上げる下品な音もする。
 それがたまらなくいやらしかった。
 その部分への舌の攻撃が終わると、エイトはもっと布団に潜っていく。
 零のコンプレックスの肋骨を形を確かめるように舐めていき、その間、乳首は指でつままれている。腰がうごめくと肉がみっちり詰まった大きな身体で抑え込まえる。
「駄目だの何だの言う割に、感じてるじゃねえか。スケベ」
 言葉責めまでセットだ。
 蹂躙はまだ続く。へそを舐められ、腰骨を舌先で突かれ、陰毛をむしるように掴まれ、最後には性器を口に含まれた。
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