75 / 99
第五章
75:ケツ穴に入るってことか?普通の体調でもきついと思うぜ?
しおりを挟む
エイトが零の髪を掬う。
「百個でもいい」
「そこまで持たないよ、この命。僕、セックスしてから死にたい。真似事じゃなく、挿入までした本気のヤツ」
腕を掴まれた。エイトの股間に導かれる。
「ケツ穴に入るってことか?普通の体調でもきついと思うぜ?」
「でもしてみたい。入れられてみたい」
エイトが向き合うようにして零を膝の上に抱き上げた。ぎゅっとされる。
「僕、これ好きだ。死ぬ瞬間、エイトにぎゅっとされたいなあ」
とかすれ声で言うと、エイトはさらにきつく抱きしめてきた。
風呂に入っていると、扉が叩かれた。
「いつまで身体を磨き上げてんだ?茹だるぞ」
零が倒れていないかどうか、心配して声をかけたのだろう。
かなり熱いお湯に入っているはずなのに、全然、身体が温まらない。
「うん。今、行く」
湯船の手すりを掴んでなんとか立ち上がる。
このマンションに身を隠して三日。食べては吐くの繰り返しですっかり弱ってしまっていた。
それでも、少しは穏やかな時間があって、エイトと映画を見たり、身体を触ってもらったりした。
お菓子も作って貰った。エイトは真剣な顔をして携帯画面で動画レシピを見ながらやってくれてそれでも最初の数回は焦げたり、生焼けだったりして、零を笑わせてくれたが、最終的には濃厚なチーズケーキを作ってくれた。サイコロ一つ分、食べられた。美味しかった。
「うわ。また鼻血」
曇った鏡を手で抜くと、鼻の下が赤くなっている。
風呂に持ち込んでシナシナになったティッシュを抜き取って鼻の穴に詰める。
「これからセックスしようっていうのに、かっこわる」
明日にはきっと動けなくなる。
そんな予感が合った。
風呂場を出ると、エイトが待っていた。
零をふわふわのバスタオルで包んでくれる。
「寒ぃ?」
鎖骨の辺りに軽く触れられた。
「ううん。温度調節が上手く行ってないんだと思う。暑いのか寒いのかも分からない」
風邪を引いたときみたいなゾクゾク感、それに油汗。
「またにしないか?」
エイトが濡れた襟足を拭きながら言った。
「またっていつだよ。僕の身体にかかる負担は気にしないで」
初めてだから、尻が切れて出血だってするかもしれない。でも、どうせ、もうすぐ土に還るはずの身体だ。少しぐらい傷ついたっていい。
「エイトとセックスしたっていう記憶を持ってこの世から消えることができるなら、僕、それでいいんだ」
敷布団の上に座る。
「百個でもいい」
「そこまで持たないよ、この命。僕、セックスしてから死にたい。真似事じゃなく、挿入までした本気のヤツ」
腕を掴まれた。エイトの股間に導かれる。
「ケツ穴に入るってことか?普通の体調でもきついと思うぜ?」
「でもしてみたい。入れられてみたい」
エイトが向き合うようにして零を膝の上に抱き上げた。ぎゅっとされる。
「僕、これ好きだ。死ぬ瞬間、エイトにぎゅっとされたいなあ」
とかすれ声で言うと、エイトはさらにきつく抱きしめてきた。
風呂に入っていると、扉が叩かれた。
「いつまで身体を磨き上げてんだ?茹だるぞ」
零が倒れていないかどうか、心配して声をかけたのだろう。
かなり熱いお湯に入っているはずなのに、全然、身体が温まらない。
「うん。今、行く」
湯船の手すりを掴んでなんとか立ち上がる。
このマンションに身を隠して三日。食べては吐くの繰り返しですっかり弱ってしまっていた。
それでも、少しは穏やかな時間があって、エイトと映画を見たり、身体を触ってもらったりした。
お菓子も作って貰った。エイトは真剣な顔をして携帯画面で動画レシピを見ながらやってくれてそれでも最初の数回は焦げたり、生焼けだったりして、零を笑わせてくれたが、最終的には濃厚なチーズケーキを作ってくれた。サイコロ一つ分、食べられた。美味しかった。
「うわ。また鼻血」
曇った鏡を手で抜くと、鼻の下が赤くなっている。
風呂に持ち込んでシナシナになったティッシュを抜き取って鼻の穴に詰める。
「これからセックスしようっていうのに、かっこわる」
明日にはきっと動けなくなる。
そんな予感が合った。
風呂場を出ると、エイトが待っていた。
零をふわふわのバスタオルで包んでくれる。
「寒ぃ?」
鎖骨の辺りに軽く触れられた。
「ううん。温度調節が上手く行ってないんだと思う。暑いのか寒いのかも分からない」
風邪を引いたときみたいなゾクゾク感、それに油汗。
「またにしないか?」
エイトが濡れた襟足を拭きながら言った。
「またっていつだよ。僕の身体にかかる負担は気にしないで」
初めてだから、尻が切れて出血だってするかもしれない。でも、どうせ、もうすぐ土に還るはずの身体だ。少しぐらい傷ついたっていい。
「エイトとセックスしたっていう記憶を持ってこの世から消えることができるなら、僕、それでいいんだ」
敷布団の上に座る。
0
お気に入りに追加
56
あなたにおすすめの小説
ハイスペックED~元凶の貧乏大学生と同居生活~
みきち@書籍発売中!
BL
イケメン投資家(24)が、学生時代に初恋拗らせてEDになり、元凶の貧乏大学生(19)と同居する話。
成り行きで添い寝してたらとんでも関係になっちゃう、コメディ風+お料理要素あり♪
イケメン投資家(高見)×貧乏大学生(主人公:凛)
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)
淫愛家族
箕田 はる
BL
婿養子として篠山家で生活している睦紀は、結婚一年目にして妻との不仲を悩んでいた。
事あるごとに身の丈に合わない結婚かもしれないと考える睦紀だったが、以前から親交があった義父の俊政と義兄の春馬とは良好な関係を築いていた。
二人から向けられる優しさは心地よく、迷惑をかけたくないという思いから、睦紀は妻と向き合うことを決意する。
だが、同僚から渡された風俗店のカードを返し忘れてしまったことで、正しい三人の関係性が次第に壊れていく――
どうしようもなく甘い一日
佐治尚実
BL
「今日、彼に別れを告げます」
恋人の上司が結婚するという噂話を聞いた。宏也は身を引こうと彼をラブホテルに誘い出す。
上司×部下のリーマンラブです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
今夜のご飯も一緒に食べよう~ある日突然やってきたヒゲの熊男はまさかのスパダリでした~
松本尚生
BL
瞬は失恋して職と住み処を失い、小さなワンルームから弁当屋のバイトに通っている。
ある日瞬が帰ると、「誠~~~!」と背後からヒゲの熊男が襲いかかる。「誠って誰!?」上がりこんだ熊は大量の食材を持っていた。瞬は困り果てながら調理する。瞬が「『誠さん』って恋人?」と尋ねると、彼はふふっと笑って瞬を抱きしめ――。
恋なんてコリゴリの瞬と、正体不明のスパダリ熊男=伸幸のお部屋グルメの顛末。
伸幸の持ちこむ謎の食材と、それらをテキパキとさばいていく瞬のかけ合いもお楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる