上 下
62 / 99
第四章

62:俺にストーカーすんだろ?

しおりを挟む
 背中から離れそうな腕に不安を覚える。
「天国よりいい場所にするから、絶対に離すなよな」
と言いながら、首を捻って零の二の腕に唇を押し当てた。

「ふーん、ふふーん」
「鼻歌?」
 翌日になった。
 二人して駅ビルの中にいた。エイトの小二ドリルを買うためだ。
「ラジオ体操。仕事前にやらされてた」
「カンパニーってとこで?」
「違う、違う。ムショの方。俺、スイジョウって仕事だったから。あ、そういやあ、スイジョウってどう書くんだ?飯を作る仕事だったんだよ」
「食事って受刑者が作るの?」
「献立は管理栄養士ってのが作成するけど、料理は実際は俺たちが。包丁を持たせても大丈夫な奴らがやらされるんだ」
 零が携帯を差し出してきた。
「炊場。これだね。僕も初めて聞いた。ああいうところで出されるのって臭い飯って言うけど、実際はどうなの?」
「美味かったよ。白米出るし、アマシャリ、ナガシャリっていって、汁粉や麺類も出たし。身長や年齢、作業内容によっても違うけれど、カロリーが二千から二千四百あるっていってた」
「だから、エイトの身体って立派なんだ」
「高カロリー食だけど、野菜もどっさりでる。生活習慣病、ってヤツ?が治ったなんて奴もいたな」
「へえ、知らないことばかりだ」
「俺もあんたと出会ってたびたびそう感じる」
 昨晩、一回射精させたあと、下半身だけ見せてもらったのだ。
 毛布で上半身を包み顔まで隠した状態で、足を大股開き。
 硬さを取り戻しつつある性器とその下でひくつく尻の穴。
 相当エロかった。
「何笑ってんだよ」
「別に」
「ケーキ屋寄っていこう。僕、奢るから」
「普通、男が奢るもんだろ」
「僕も男だよ」
「俺のフトコロジジョーは気にするな。正直、財布の中身は寂しくなってきたけれど、また稼ぐ。今度はちゃんとした方法で」
「その姿、僕、見られるかなあ」
「零」
 先に立って歩き出す零に、声をかける。
「シュウチャクは?俺にストーカーすんだろ?」
 零は振り返らず、少し冷たい声でさらりと言う。
「あれはその場の流れ」
「本当にねえのか、治療法?」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ハイスペックED~元凶の貧乏大学生と同居生活~

みきち@書籍発売中!
BL
イケメン投資家(24)が、学生時代に初恋拗らせてEDになり、元凶の貧乏大学生(19)と同居する話。 成り行きで添い寝してたらとんでも関係になっちゃう、コメディ風+お料理要素あり♪ イケメン投資家(高見)×貧乏大学生(主人公:凛)

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

「恋の熱」-義理の弟×兄- 

悠里
BL
親の再婚で兄弟になるかもしれない、初顔合わせの日。 兄:楓 弟:響也 お互い目が離せなくなる。 再婚して同居、微妙な距離感で過ごしている中。 両親不在のある夏の日。 響也が楓に、ある提案をする。 弟&年下攻めです(^^。 楓サイドは「#蝉の音書き出し企画」に参加させ頂きました。 セミの鳴き声って、ジリジリした焦燥感がある気がするので。 ジリジリした熱い感じで✨ 楽しんでいただけますように。 (表紙のイラストは、ミカスケさまのフリー素材よりお借りしています)

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~

柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】 人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。 その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。 完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。 ところがある日。 篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。 「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」 一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。 いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。 合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)

処理中です...