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第四章

62:俺にストーカーすんだろ?

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 背中から離れそうな腕に不安を覚える。
「天国よりいい場所にするから、絶対に離すなよな」
と言いながら、首を捻って零の二の腕に唇を押し当てた。

「ふーん、ふふーん」
「鼻歌?」
 翌日になった。
 二人して駅ビルの中にいた。エイトの小二ドリルを買うためだ。
「ラジオ体操。仕事前にやらされてた」
「カンパニーってとこで?」
「違う、違う。ムショの方。俺、スイジョウって仕事だったから。あ、そういやあ、スイジョウってどう書くんだ?飯を作る仕事だったんだよ」
「食事って受刑者が作るの?」
「献立は管理栄養士ってのが作成するけど、料理は実際は俺たちが。包丁を持たせても大丈夫な奴らがやらされるんだ」
 零が携帯を差し出してきた。
「炊場。これだね。僕も初めて聞いた。ああいうところで出されるのって臭い飯って言うけど、実際はどうなの?」
「美味かったよ。白米出るし、アマシャリ、ナガシャリっていって、汁粉や麺類も出たし。身長や年齢、作業内容によっても違うけれど、カロリーが二千から二千四百あるっていってた」
「だから、エイトの身体って立派なんだ」
「高カロリー食だけど、野菜もどっさりでる。生活習慣病、ってヤツ?が治ったなんて奴もいたな」
「へえ、知らないことばかりだ」
「俺もあんたと出会ってたびたびそう感じる」
 昨晩、一回射精させたあと、下半身だけ見せてもらったのだ。
 毛布で上半身を包み顔まで隠した状態で、足を大股開き。
 硬さを取り戻しつつある性器とその下でひくつく尻の穴。
 相当エロかった。
「何笑ってんだよ」
「別に」
「ケーキ屋寄っていこう。僕、奢るから」
「普通、男が奢るもんだろ」
「僕も男だよ」
「俺のフトコロジジョーは気にするな。正直、財布の中身は寂しくなってきたけれど、また稼ぐ。今度はちゃんとした方法で」
「その姿、僕、見られるかなあ」
「零」
 先に立って歩き出す零に、声をかける。
「シュウチャクは?俺にストーカーすんだろ?」
 零は振り返らず、少し冷たい声でさらりと言う。
「あれはその場の流れ」
「本当にねえのか、治療法?」
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