【完結】そっといかせて欲しいのに

遊佐ミチル

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第二章

36:半グレの集まりっていってもでかいところだったし、やる犯罪が細分化されてたってわけ、当時は

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「にがっ」
「それが美味いらしいぜ。俺もあんま、分かんねえけど。うわ、速攻回る」
「僕も」
「ダセえな、二人して」
 夕飯は零が用意してくれた野菜と鳥肉の鍋だった。それを突く。
 一段落してからエイトは言った。
「悪かったな」
「何の謝罪?」
「俺の見立てが悪すぎて。夕方前に終るって思ってたんだ。しかもほぼ俺一人でさ。あんたの貴重な一日を使わせてしまった」
「楽しいって言ったろ。バイト代はどうするの?日用品で足りない物があったなら言ってみて。できる限りのことは、……あ!もしかして携帯を復活させたい?」
「内緒。それにたぶん、この携帯の契約者は携帯会社のブラックリストに載っているから無理だと思う。飛ばしの携帯買ったら犯罪だし、これ以上面倒なことに巻き込まれるの嫌だし」
「じゃあ、何?」
「だから内緒て」
 エイトはビールの缶を口元へと持っていく。
 人生で感じたことのないような緩やかな時間だった。
 その終わりが案外早そうなことだけが悔やまれた。

 零の家に転がり込んで早いものでもう六日目となった。
 昨日で汚部屋の清掃は終わり、賃金はビールが二十本ほどおまけされた状態できちんと支払われた。
 零はそれ以降も少しダルいと言って横たわることはあるが、概ね元気だ。
 朝、起きてこたつでまずぬくぬくするのが二人の間でルーティンになりつつあった。
 テレビでは広域強盗の話題がまだやっている。
 指示役の四人がタイから日本に移送される見通しだとアナウンサーが発表していた。だが、奴らがやらかしたと思われる全国各地の未解決強盗事件が三十以上あった。
「なかなか終わらないね」
「ここまで派手にやらなければ、海外で逃げ切ることも出来ただろうに。まあ、指示役の尻に火がついていたんだろうな。三年前に捕まらなければ、俺の顔もここにあったかもしれない」
「え?!知り合い?」
「親しく話をしたことはねえけど同じカンパニー。半グレの集まりっていってもでかいところだったし、やる犯罪が細分化されてたってわけ、当時は」
「この人ら、何でタイに?」
「犯罪人引渡条約」
 テレビにちょうどよくテロップが映し出される。
「アメリカと韓国以外で結んでいる国が無いから、タイやフィリピンに高跳びするのが多い」
「たった二カ国だけ?」
「死刑がある日本で罪を犯した死刑の無い国の外国人だと不平等って理由らしい。罪を犯しといて何言ってんだか。あ、俺が言えた口じゃないか。でも、組織犯罪は組織犯罪防止条約ってのが適用されるから、その限りじゃないんだけど」
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