29 / 99
第二章
29:わかりやすく言えば男のデリヘルだよ。
しおりを挟む
数ヶ月で運命の相手、エイト的には鳥肌が立つ表現なのだが、そんな人物と出会うのはちょっと難しいかもしれない、でも、それに近い体験なら。
「怒るなよ。下世話的な意味じゃなく、死ぬ前にセックスしてえか聞いてんですけど。なあって」
こたつの中で軽く足を突くと、
「……したい、けど、それは、僕の個人的な問題で」
「あんた、どうしてそう面倒くさい言い方すんの?」
「動物じゃないから」
「じゃあ、何か?俺が動物だって言いたいのか?」
「エイトはセックスが仕事だった時期があったんだろ。そして、それが好きじゃなかったから性欲が枯れた。じゃあ動物とは違うだろ」
「……」
「何で、エイトが黙るんだよ。センシティブな話を振ってきたのはそっち」
「分かんねえけど……、あんたの言い分、あっそうかって思えて。俺はただ、セックスなんてそこまで構えるもんじゃないぜって言いたかっただけ。なんせ、ヒモの前はサオをやらされてたし」
大寒波の夜に命を救ってくれた男もこれで大いに呆れるだろうと思うと、なんだかせいせいした。
メンソールのタブレットを口の中に放りこんだみたいな気分になれると思った。
零と出会ってから警戒心というものがおかしくなっていた。
なんでもかんでもゲロりたくなる。
身知らずの相手に過去を語るのは危険だとわかっているのに。
調子こいた半グレは、どこそこでタタキ(強盗)をやったと仲間に自慢して、後になって謳われ捕まったりする。
世の中、どこでどう繋がるか分かったものじゃない。
でも、言いたい。
この男に限っては。
零はぽかんとしている。
「わかりやすく言えば男のデリヘルだよ。小学生、中学生専門の」
「ちょ、待って」
零が手を突き出し、目を白黒させた。
「そんなの違法だろ?」
「おう」
「当然のことみたいに頷くな。そんなところで働かされてて」
エイトは眉根を寄せる。
違法は違法だけど、周りにはそんな同年代ばっかりだった。そして、みんなそこそこ幸せだったはず。
金はきちんともらえる。うまいもんだって食わせてもらえる。
商品だから殴られることもない。
なのに、零は無抵抗の子供がひど目に合ったみたいな顔をしている。
「怒るなよ。下世話的な意味じゃなく、死ぬ前にセックスしてえか聞いてんですけど。なあって」
こたつの中で軽く足を突くと、
「……したい、けど、それは、僕の個人的な問題で」
「あんた、どうしてそう面倒くさい言い方すんの?」
「動物じゃないから」
「じゃあ、何か?俺が動物だって言いたいのか?」
「エイトはセックスが仕事だった時期があったんだろ。そして、それが好きじゃなかったから性欲が枯れた。じゃあ動物とは違うだろ」
「……」
「何で、エイトが黙るんだよ。センシティブな話を振ってきたのはそっち」
「分かんねえけど……、あんたの言い分、あっそうかって思えて。俺はただ、セックスなんてそこまで構えるもんじゃないぜって言いたかっただけ。なんせ、ヒモの前はサオをやらされてたし」
大寒波の夜に命を救ってくれた男もこれで大いに呆れるだろうと思うと、なんだかせいせいした。
メンソールのタブレットを口の中に放りこんだみたいな気分になれると思った。
零と出会ってから警戒心というものがおかしくなっていた。
なんでもかんでもゲロりたくなる。
身知らずの相手に過去を語るのは危険だとわかっているのに。
調子こいた半グレは、どこそこでタタキ(強盗)をやったと仲間に自慢して、後になって謳われ捕まったりする。
世の中、どこでどう繋がるか分かったものじゃない。
でも、言いたい。
この男に限っては。
零はぽかんとしている。
「わかりやすく言えば男のデリヘルだよ。小学生、中学生専門の」
「ちょ、待って」
零が手を突き出し、目を白黒させた。
「そんなの違法だろ?」
「おう」
「当然のことみたいに頷くな。そんなところで働かされてて」
エイトは眉根を寄せる。
違法は違法だけど、周りにはそんな同年代ばっかりだった。そして、みんなそこそこ幸せだったはず。
金はきちんともらえる。うまいもんだって食わせてもらえる。
商品だから殴られることもない。
なのに、零は無抵抗の子供がひど目に合ったみたいな顔をしている。
0
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説

好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話
あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ハンター ライト(17)
???? アル(20)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後半のキャラ崩壊は許してください;;

俺の親友のことが好きだったんじゃなかったのかよ
雨宮里玖
BL
《あらすじ》放課後、三倉は浅宮に呼び出された。浅宮は三倉の親友・有栖のことを訊ねてくる。三倉はまたこのパターンかとすぐに合点がいく。きっと浅宮も有栖のことが好きで、三倉から有栖の情報を聞き出そうとしているんだなと思い、浅宮の恋を応援すべく協力を申し出る。
浅宮は三倉に「協力して欲しい。だからデートの練習に付き合ってくれ」と言い——。
攻め:浅宮(16)
高校二年生。ビジュアル最強男。
どんな口実でもいいから三倉と一緒にいたいと思っている。
受け:三倉(16)
高校二年生。平凡。
自分じゃなくて俺の親友のことが好きなんだと勘違いしている。

ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる