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第九章
145:また、乱れちまった
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香がどんどん効いてきて、いないはずのバットゥータまでアドリーの脳内に登場してきて、小鳥と入れ替わる。
尻の穴をこれでもかと広げられ、喘がされる。
何本も指を沈められ、内部をこねくり回されるうちに、それが指なのか性器なのか分からなくなってくる。
ただ、痛みはない。
違和感もない。
だから、全身を委ねられる。
恥ずかしくて堪らないが、とても気持ちのいい行為だ。
だって、これは間違いとは思わない。
違和感がないからだ。
求められた後は、求める。
それは正解だと、夢現の中でアドリーはわかっている。
しかし、唇をねだろうとすると、そこに人差し指を当てられた。
目が霞んで、それをしているのがバットゥータなのか、小鳥なのかわからない。
はっきりしているのは、かつて、自分もこうやって誰かに同じことをしたということだ。
翌朝、目覚めると身体は綺麗に拭かれていた。
部屋は空気が入れ替えられていて、香炉は使った形跡もないぐらいに掃除されていた。
小鳥は明け方、全ての始末をして帰って行ったのだろう。
一人部屋に残され、虚しさが募る。
「また、乱れちまった」
アドリーは髪をかきむしりながらぼやく。
小鳥とスレイヤーが館にやって来て半年。多くのことが少しずつ進み始めてはいる。
薬商の老人が使っていたグランバザールの店は、小鳥が手に入れ、引き続き、薬屋として営業している。
館の方は、西洋式の看護指導ができる医者が見つかって、女奴隷の希望があればそっちの勉強を重点的にやらせている。どうしても向かないものは刺繍や料理など何かしらに技術が飛び抜けている者が多いので、それを生かせる道を考え中だ。
小鳥は医者と患者を繋ぐ速記兼通訳に周り、日中はそっちで忙しく、夜はアドリーの足が痛めば宿に顔を出す。
スレイヤーの世話はほとんどできず、ファトマに任せっぱなし。
触れられない自分に落ち込んで、たまにアドリーに泣き言を言う。
肝心のバットゥータは、マルキの元に週三で通い、週四はアドリーの館に。館の方は、ファトマやその他の古株を使いそつなく回している。恋に破れる経験は初だろうし、仕事の方だけでもなんとか上手くやろうと必死なのかもしれない。
ほとんど話すことが無くなったので、いつ休んでいるのかは不明だ。
アドリーとバットゥータに訪れた精神的な別れは、やっぱり綺麗にはいかず、なんとなく距離が出来ているのが現状だ。
「人生の円みたいなものがあるとしてさ、それはデカくなったけど、やっぱりおんなじ場所をぐるぐるしている気がする」
どうやったらそれを突き抜けることができるのだろう?
これまで、現状維持が最上の策と思っていたが、最近考え方が変わってきた。
バットゥータの精神的な成長や、小鳥との再会、それも大いにあるが、やはり、スレイヤーという未来の当主に館をいずれ譲るということを考え始めたのが大きなきっかけだ。
アドリーは自分の足を軽く叩く。
「この足を診られる医者がいれば、かかるつもりではいるんだが」
しかし、西洋まで医者を探しに行くというバットゥータには賛成できない。
異国は遠い。
心が離れてしまった今、バットゥータの姿も見ることができなくなってしまったら、自分はどうしたらいいんだ。
「はあ。鬱陶しい」
そこまで考えて、アドリーは杖を手繰り寄せ立ち上がる。
ふと、机の上にある紙の束に目が止まった。
小鳥が忘れていったらしい。
「館で渡すか」
と紙の束をパラパラとめくる。
書いてあるのは、医者の言葉をそのまま訳したものだと思われる。
尻の穴をこれでもかと広げられ、喘がされる。
何本も指を沈められ、内部をこねくり回されるうちに、それが指なのか性器なのか分からなくなってくる。
ただ、痛みはない。
違和感もない。
だから、全身を委ねられる。
恥ずかしくて堪らないが、とても気持ちのいい行為だ。
だって、これは間違いとは思わない。
違和感がないからだ。
求められた後は、求める。
それは正解だと、夢現の中でアドリーはわかっている。
しかし、唇をねだろうとすると、そこに人差し指を当てられた。
目が霞んで、それをしているのがバットゥータなのか、小鳥なのかわからない。
はっきりしているのは、かつて、自分もこうやって誰かに同じことをしたということだ。
翌朝、目覚めると身体は綺麗に拭かれていた。
部屋は空気が入れ替えられていて、香炉は使った形跡もないぐらいに掃除されていた。
小鳥は明け方、全ての始末をして帰って行ったのだろう。
一人部屋に残され、虚しさが募る。
「また、乱れちまった」
アドリーは髪をかきむしりながらぼやく。
小鳥とスレイヤーが館にやって来て半年。多くのことが少しずつ進み始めてはいる。
薬商の老人が使っていたグランバザールの店は、小鳥が手に入れ、引き続き、薬屋として営業している。
館の方は、西洋式の看護指導ができる医者が見つかって、女奴隷の希望があればそっちの勉強を重点的にやらせている。どうしても向かないものは刺繍や料理など何かしらに技術が飛び抜けている者が多いので、それを生かせる道を考え中だ。
小鳥は医者と患者を繋ぐ速記兼通訳に周り、日中はそっちで忙しく、夜はアドリーの足が痛めば宿に顔を出す。
スレイヤーの世話はほとんどできず、ファトマに任せっぱなし。
触れられない自分に落ち込んで、たまにアドリーに泣き言を言う。
肝心のバットゥータは、マルキの元に週三で通い、週四はアドリーの館に。館の方は、ファトマやその他の古株を使いそつなく回している。恋に破れる経験は初だろうし、仕事の方だけでもなんとか上手くやろうと必死なのかもしれない。
ほとんど話すことが無くなったので、いつ休んでいるのかは不明だ。
アドリーとバットゥータに訪れた精神的な別れは、やっぱり綺麗にはいかず、なんとなく距離が出来ているのが現状だ。
「人生の円みたいなものがあるとしてさ、それはデカくなったけど、やっぱりおんなじ場所をぐるぐるしている気がする」
どうやったらそれを突き抜けることができるのだろう?
これまで、現状維持が最上の策と思っていたが、最近考え方が変わってきた。
バットゥータの精神的な成長や、小鳥との再会、それも大いにあるが、やはり、スレイヤーという未来の当主に館をいずれ譲るということを考え始めたのが大きなきっかけだ。
アドリーは自分の足を軽く叩く。
「この足を診られる医者がいれば、かかるつもりではいるんだが」
しかし、西洋まで医者を探しに行くというバットゥータには賛成できない。
異国は遠い。
心が離れてしまった今、バットゥータの姿も見ることができなくなってしまったら、自分はどうしたらいいんだ。
「はあ。鬱陶しい」
そこまで考えて、アドリーは杖を手繰り寄せ立ち上がる。
ふと、机の上にある紙の束に目が止まった。
小鳥が忘れていったらしい。
「館で渡すか」
と紙の束をパラパラとめくる。
書いてあるのは、医者の言葉をそのまま訳したものだと思われる。
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