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第八章

143:アドリー様。本気の本気でさよならです

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「……」
「なあってば」
 アドリーは、バットゥータの身体を揺する。
「もうこれきりですからね」
と言って、バットゥータがいきり立った雄を知り穴に当ててきた。
 沈められ、腰がゆるく動かき始めた。
 さっきより、かなり優しい抽挿だ。
「んなこと言って、明日もしてるって」
「しませんっ」
「もうこれきり」
「絶対にっ」
とバットゥータが立て続けに言う。
「あなたみたいな主、もう懲り懲りです!」
 バットゥータの首に手を回し、アドリーは口付けをねだった。
 口内を犯すみたいにねぶった後、バットゥータがアドリーの口から舌を引き抜いた。
「アドリー様。本気の本気でさよならです」
 身体の内部で二度目の濡れた感触があって、アドリーは身震いする。
 バットゥータが力を失った雄を引き抜いて、汚したアドリーの尻穴を指を二本入れて広げて処理にかかる。
 思いをぶつけ合ったってさすがにそれは恥ずかしく、
「お前、それはいいって」
と言うが、バットゥータは止めない。
 処理が終わって帰ろうとするバットゥータを、今度はアドリーは引き止めた。
「寝てけよ、朝まで。よそよそしく、新しい関係が始まるのはオレ、嫌だし」
 すると、バットゥータが嬉しさを隠したふくれっ面で寝台の中に潜り込んできた。
「どうやっても一生、あなたにいいように扱われる運命にあるんでしょうね、俺は」
「いちいち小難しい奴だなあ。どう転んだって、オレはお前のことが好きで大切だし、お前だってそうだろ?好きの種類が多少違ったって、そんなの誤差だ」
と言い捨てて、アドリーは眠りに付く。
「誤差?ちょ、俺だって初恋だったんですよ?それを誤差って。ねえ、聞いてます??」
とバットゥータが喚くので、胸に抱きかかえて黙らせる。
 泥のように眠って、腰に残る鈍痛で目が覚めて、胸元にはバットゥータが抱きついていた。
 部屋に残る独特の残滓の匂いに、
「くせえ」
と一人事を言うと、バットゥータが目を開けた。一足先に目覚めていたらしい。
 そして、
「一つの恋が終わった朝だってのに、情緒どこいったんですか?」
とアドリーの身体をギリギリ締め上げてきた。
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